魚料理を難しくしているのは、思い込みが原因!?“魚の伝道師”ウエカツさんが教えてくれる魚の特徴や調理の仕組みは、「まさか! そうだったの?」と驚かされることばかり。思い込みをひとつずつ解消していけば、魚料理がきっと、易しくなるはず!
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買った日に使わなくてもいい。ストックしておける、魚料理。
正しい下処理で冷蔵庫にストックを。
魚料理に対する“思い込み”を解消していくために、“仕組み”からお伝えしてきたこの連載。これまでに、魚の下処理(洗う・水分を拭き取るなど)が重要であること、調味料には使う順番があることなどを紹介しました。読者からの喜びの声もあると聞いて、僕も嬉しく思っています。さて、本連載は今回で最終回。最後に、ストックしておいて“さっと作れる魚料理”をお伝えしよう。
その前に、保存についてちょっとおさらいしておこう。魚は“傷みやすいから、買ったらすぐに使うべき”と思っているかもしれないけど、これも思い込み。 きちんと下処理をすれば、冷凍・冷蔵保存は簡単だ(冷蔵保存は、連載第1回、冷凍保存は、第2回の自家製塩鯖の作り方でおさらいを! 冷蔵庫に魚をストックする方法を理解しておくと、“買いづらい”というハードルも下がるはずだ。
連載第2回で紹介したように、魚は野菜炒めや、パスタソース、汁物の具材など、いろんな料理に使える。が、「忙しくてなかなか作る時間がない!」という人も多いだろう。そこで、さらに魚を食べる機会を増やせるように、あらかじめ仕込んでおいて“さっと作れる魚料理”をご紹介。冷蔵庫から出して、焼くだけ、混ぜるだけでできる、簡単な料理だよ。
漬けておけばあとは焼くだけ!
まずは、魚の漬け焼きを。味噌床、醤油だれに漬けておき、焼くだけでできる手軽さが魅力(詳しい作り方は次のページ)。塩焼きも旨いけど、漬け焼きは、ちょっと気が利いている感じがあるよね。
今回は味噌漬けを鯛、醤油漬けをめかじきで作ったんだが、それぞれ、どんな魚でもできる。鮭やさわら、たら、ぶり、鯖など、手に入る魚でやってみよう。ただ、脂がのった魚のほうが、味噌・醤油との相性がいい。めかじきは、脂がのっているものとそうでないものがあるから、わからないときは、信頼できる店で尋ねてみるといいだろう。
味噌漬けと醤油漬けの焼き魚
写真上:めかじきの醤油漬け焼き/写真下:鯛の味噌漬け焼き
忙しい日でも冷蔵庫から出してさっと作れる、魚の漬け焼き。店では、あらかじめ漬けられたものも売られているけど、簡単だから自分で作ってみよう。どんな魚でも作れるが、脂ののった魚がいいだろう。冷蔵なら4、5日、冷凍なら3週間ほど保存できる。ご飯によく合う、気の利いたおかずになる。
漬け焼きの作り方
鯛、めかじきのほか、どんな魚でもできる漬け焼き。脂が多い魚のほうが旨い。1日置けば漬かる。3日以内で食べ頃だ。漬け焼きは焦げやすいので、グリルを確認しながら焼こう。
味噌床・醤油だれは自分の舌で調える。
漬け焼きもやはり、魚の下処理が重要。いつも通り流水で洗い、水気を拭き取ったら、全体に塩を当てる。魚の表面にある雑菌を吸い出しておくためだ。これをやっておくことで、よりにおいもなくなるし、腐敗を遅くすることができる。魚の表面に水分が浮いてきたら、再度素早く流水で洗って、しっかり水気を拭いておこう。
味噌床・醤油だれの作り方で大切なことは、以前からお伝えしているように、自分の舌で味を調えることだ。味噌も、醤油もそれぞれの家庭にあるもので味が違う。だから、調味料を加えるたびに味見をして決めていく。自分好みの味になれば、それでいい。
それぞれ、1日おけば漬かる。あっさりした味わいにしたければ半日でいい。3日目までが食べ頃。何度かやってみると、自分の好みの漬かり具合をつかめると思うよ。
冷凍保存する場合は、漬かった魚を重ならないようにジッパーつきの保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍庫へ。解凍は、保存袋のまま流水に当てるといい。また、氷水につけておく方法もある。半日ほどかかるが、旨味を損なわずに解凍できる。
魚の漬け焼きは焦げやすいから、焼くときは目を離さないこと。味噌漬けは、少し味噌を残す程度にぬぐってから、醤油漬けはザルに上げてタレを切ってから焼く。焼き方は、連載第3回を参考に。
共通の下処理
1| 洗う+拭く
流水で3秒洗い、水分を拭き取る。めかじきはにおいが残る場合があるが、肉がしっかりしているので、少し長めに洗ってもよい
2| 塩を当てる
ボウルに入れて、全体に塩を当てる。このとき、揉み込まないように注意
3| 洗う・拭く
魚の表面に水分が浮いてきたら、流水で洗い、水分を拭き取る。これで魚の表面にあるにおいと雑菌が取れる
味噌漬け
1|味噌床を作る。ボウルに味噌を入れ、砂糖、みりん、酒の順に入れて混ぜる。調味料を入れたら、その都度味見をして好みの味に仕上げる。ホットケーキの生地より少し硬めが目安
2|味噌床はゆるくならないよう、注意。保存容器に、味噌床を敷き、魚を乗せて、さらに味噌床を乗せる
3|キッチンペーパーを貼りつけて、冷蔵庫で保存。焼くときは、味噌床がほんの少し残る程度にぬぐってから。焦げないよう注意しながら焼く
醤油漬け
1|漬けだれを作る。ボウルに醤油を入れ、砂糖、みりんを加える。調味料を入れたら都度味見をして、好みの味に調える。最後にその半量の酒を加えて仕上げる
2|保存容器に魚を入れ、漬けだれを流し込む
3|キッチンペーパーをかぶせて、冷蔵庫で保存。焼くときは、ザルに上げてたれを切ってから
さわらの炊かず飯の作り方
混ぜるだけで完成!炊き込まない〝炊かず飯〟。
次はご飯ものを紹介しよう。炊き込みご飯ではなく“炊かず飯”だ。刻んで塩で味つけした魚を、炊き上がったご飯に混ぜるだけ(作り方は下を参照)。魚は、高温・長時間加熱に弱く、酸化しやすいので、炊き込んでしまうと、冷めたときににおいが出やすい。それを避けられるメリットもあるし、何より簡単だ。忙しい日でもさっと作れる。
今回はさわらで作ったが、これもどんな魚でもいい。刻む行程があるから、ぶりやめかじきなど骨がない魚だと作りやすいね。
先ほど言ったように、魚は高温・長時間加熱に弱いから、残ったご飯は早めに炊飯器から出しておこう。冷めたらラップに包んで冷凍保存もできる。
さわらの炊かず飯
炊き上がったご飯に、魚を混ぜるだけの炊かず飯。さわらのほか、どんな魚でもできる。 刻む作業があるので、骨の処理が楽な魚のほうが作りやすい。
1|さわらを流水で3秒洗い、拭く
2|さわらは、切り身の中央に骨があるので取り除く。皮つきのまま粗みじんに切る
3|ボウルに②を入れ、魚の重さの2%の塩と酒少々入れ、よく混ぜる
4|保存する場合は、食品保存袋などに入れて、冷凍庫へ。細かく刻んでいるため、冷蔵は向かない。使うときは、袋のまま流水に当てて解凍を
5|炊き上がったご飯に③を入れ、しゃもじで切るように混ぜ、蓋をして3分。その後、香りづけの醤油、しそや胡麻など好みの薬味を入れて混ぜ合わせる
炊き上がったご飯に、味付けした生魚を混ぜる炊かず飯。低温・短時間で加熱するので、魚のにおいが出にくいのが魅力。残ったらおにぎりやお茶漬けに。
全6回でお届けした本連載。短い連載ではあったけど、基本的なことはお伝えできたと思っています。苦手意識はなくなったかな?魚料理は決して難しくない。仕組みがわかれば、シンプルな料理でも魚は十分旨くなる。これからも、楽しんで魚を食べ続けてもらえれば、とても嬉しいです。















