自分では気づきにくい、お口のにおい。だからこそ、食後の歯磨きは重要、と思っていませんか?実はそれ、逆効果かも! 口臭の原因になる上、虫歯の原因になる可能性もあるのです。においの心配を減らし、笑顔で会話を楽しめる、正しい口臭予防法をお伝えします!
「口臭予防」に食後の歯磨きはNG!?唾液の流れをよくするオーラルケアとは?
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「口臭予防」に食後の歯磨きはNG!?唾液の流れをよくするオーラルケアとは?
欧米人の約70%が「日本人の口臭は不快」。
ないと思う。だけど、あったら困る。口臭に対するそんな思いから、きっと誰もが心がけているオーラルケア。歯磨きなどで1日2回以上オーラルケアをする人は、実に約70%。食後の歯磨きは、口臭予防のほか、口内の健康維持の常識となっています。
「ほとんどの人が、食後の歯磨きで口臭を予防できていると思っているようですが、実は違います」と、『ほんだ歯科』の院長・本田俊一先生。2000年に口臭外来を立ち上げ、以降研究と治療にあたっている先生です。
「観光などで日本を訪れた欧米人に聞くと、約70%が『日本人の口臭にがっかりした』と答えています(下のグラフを参照)。あいさつとしてキスやハグをする欧米人には、ほぼ口臭はありません。そんな彼らにとって日本人の口臭は、とても不快なようです」
オーラルケアをしているのに!?日本人が気づかない、口臭。
日本人が気づかない、口臭。
オーラルケアをしているのに!?
歯ぐきの健康を通じ、身体の健康を推進する団体『オーラルプロテクトコンソーシアム』の調べによると、日本人のオーラルケアの頻度は1日2回以上が約70%。忙しい中でも多くの人が歯磨きなどのオーラルケアを行っていると考えられます。しかし、在日外国人100人(米国60人、欧州40人)に、日本人の口臭に関して調査すると、約70%が「がっかりした」と答えています。日本人のオーラルケアは間違っていると言えます。
清潔を心がける私たち日本人にとって、それはとても意外な事実! 周囲の人の口臭をそこまで不快に感じないだけに、信じられないような話です。
「自分のにおいに気づきにくいのは、嗅覚に順化が起きているから。嗅覚は同じ刺激を受け続けると、そのにおいを感じにくくなります。例えば、香水をつけた瞬間、その香りを感じますが、時間が経つにつれて感じなくなりますよね。日本人の口臭は、日本人が気づきにくいものなのです」
そのオーラルケアが間違っている⁉
オーラルケアをしているはずなのに、自分では気づかない口臭があるということ。正しく予防をするために、まず口臭が起こる原因を知っておく必要があります。
「口臭は、口のにおいと書きますが、胃や腸、鼻などとつながっているため、口や喉由来のガスのほか、代謝の過程で、腸や肝臓などで発生したにおいなども排出されます。例えば蓄膿症(ちくのうしょう)や、糖尿病、肝疾患が原因の口臭もあります。それらを病的口臭と言います。また健康な人でも、妊娠時や月経時などホルモンに変調があったとき、にんにくやアルコールを摂ったときなどに口臭があります。それらは生理的口臭と言います」
口臭の原因は実にさまざまですが、多くの場合は生理的口臭。中でも“一般的な生理的口臭”に分けられるものは、誰にでもごく当たり前に起こるもので、必要以上に不安になることはないそうです。
「朝起きたときや、お腹が空いたとき、緊張したとき、そしてちょっと疲れたときなどに起こるのが一般的な生理的口臭です。これは誰にでもありますが、簡単に防ぐ方法があります」
起床時、空腹時、緊張時、疲労時。なぜ、口臭が起きるのか? それを理解することが、口臭予防にはとても大切なこと。
「オーラルケアを欠かさないのに、日本人にはなぜ口臭があるのでしょうか? その答えは簡単です。オーラルケアの方法を間違えているからです。エチケットとして食後の歯磨きを続けているのだと思いますが、正しいケアではありません。虫歯になってしまう可能性がありますから、食後すぐは、歯磨きではないケアをとり入れるべきなのです」
長く習慣になっている食後の歯磨きをやめるのは勇気のいることですが、多くの人の口臭の原因が何なのかがわかれば、口臭を予防するために本当に必要なことが、わかってくるのです。