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知っトク!?健康スキル

要介護リスクの低減にも。ペットとの生活が健康につながる理由

掲載号 vol.54

あなたの常識それ、本当?プラス

ペットを飼っている人も、これから飼おうかなと思っている人にも知ってほしい!生きものを育てるのは簡単なことではありませんが、愛情いっぱいに育てるとペット自身だけではなく、人間の生活にもいい影響を与えてくれるんです。人と動物の関係の研究を続けている谷口 優先生に、ペットが人間にもたらしてくれる健康効果についてお話をうかがいました。

記事内容

読了時間:分

疑問1
小さい子どもの遊び相手として、
ペットを飼っている
◯
遊び相手として以外にも、さまざまなメリットが

イギリスには、「子どもが生まれたら犬を飼いなさい」ということわざがあります。犬が子どもを守る存在になり、遊び相手になり、理解者になり、命の尊さを教えてくれる存在になる、というような意味です。このことわざが示すように、犬をはじめ、生きものを飼うことは、子どもの情操教育になるのです。ペットと過ごすことで、子どもの心がより豊かに成長しますし、お世話をすることにより責任感も生まれます。また、一部の研究では動物の存在自体や適度な運動などがストレスを軽減するなど、心の成長以外にもいい影響があるようです。


疑問2
ペットを飼いたいが、
乳児がいるので衛生面を考えて控えている
×
ペットと暮らす乳児は免疫力が高まる

免疫が未熟な赤ちゃんとペットの同居は、衛生面やアレルギーなどを心配する人も多いでしょう。しかしペットは、赤ちゃんの健康によい影響をもたらしてくれます。実は乳児期に犬や猫を飼うと、呼吸器疾患やアレルギー発症の予防効果があると、これまでの研究でわかっています(下のグラフを参照)。清潔過ぎる環境で育つよりも、ペットが持つさまざまな菌に触れることで、免疫力が向上し、病気になりにくい身体になると考えられているのです。

子どもの息発生確率

疑問3
子どもが巣立った後
ペットが心の支えになる
◯
ペットで第二の子育てを体験できる

子育てが一段落するとホッとする反面、寂しさが残りますよね。もちろん空いた時間を趣味に使ったり、地域活動に参加したりするのも大事ですが、ペットと暮らすのもよいことだと言えます。人間は何歳になっても誰かのお世話をすることに生きがいを感じるそうです。新たなペットとの生活は、愛情を持って育てることで生活にもハリが出て、ペットを通じて配偶者や地域との新たなコミュニケーションも増えていくでしょう。

ペットで第二の子育て

疑問4
高齢で、いつ病気になるか心配。
だからペットを飼うのは難しい
▲
ペットとの暮らしは、
健康寿命を延ばしてくれるという報告も

最近の研究で、ペットと一緒に暮らしている高齢者は、要介護や死亡のリスクが減ることが報告されました。ペットから受ける癒しなどによって健康寿命が延びるという、高齢者にとって嬉しい効果があるのです。さらに犬だと散歩に連れていくという行動で、その運動効果により体力アップや新しいコミュニケーションの活性化も期待できます。ただし、高齢になってペットとの生活を始めるのであれば、自分にもしものことがあった場合に備えて、ペットのその後のこともちゃんと考えておくようにしておくのも大切です。

自立喪失(要介護or死亡)発生リスク
高齢者のペットとの生活は、
介護費の削減にもつながる!?

谷口先生の研究によると、ペットと生活している人は、そうでない人に比べて介護費が半分に抑えられているということがわかったそう。これは介護サービスを利用する頻度が、ペットと暮らしていると少なくなっていたということ。ペットとともに生活することで、気持ちが明るくなったり、家族や周囲とのコミュニケーションがとりやすくなったりすることがあります。また、ペットと暮らすことで、規則正しい生活を心がけるようになるなど、ペットの存在が日常生活の自立によい影響をもたらすことが一因と考えられます。

散歩中のコミュニケーション

疑問5
健康効果をもたらすペットは
犬と猫だけ
×
鳥やうさぎ、爬虫類にも、
癒し効果がある

動物と触れ合うと、人間の脳内で“幸せホルモン”とも呼ばれる【オキシトシン】が分泌されます。そのことからストレスの軽減や、心身のリラックス効果が期待でき、近年、一部の医療に動物を介在させる【アニマルセラピー】が注目されています。アニマルセラピーには、犬や猫だけでなく、ハムスターやうさぎ、鳥、爬虫類なども活躍しています。ストレス軽減、リラックス効果は、ペットと過ごすことでも見込めると言えますし、どんな動物にもその効果があると言えます。動物を飼うのはちょっと……と言う人は、アニマルカフェや動物園、水族館などに足を運んでみるのもいいかもしれません。


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この先生に聞きました!

谷口 優 先生

谷口 優 先生

たにぐち ゆう

国立研究開発法人
国立環境研究所
主任研究員
医学博士

2012年秋田大学大学院医学系研究科修了。19年より現職。著書に『認知症の始まりは歩幅でわかる ちょこちょこ歩きは危険信号』(主婦の友社)などや、「人と動物の関係学研究チーム」の研究委員として、『ペットがもたらす健康効果』(社会保険出版社)出版に参加している

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