ペットを飼っている人も、これから飼おうかなと思っている人にも知ってほしい!生きものを育てるのは簡単なことではありませんが、愛情いっぱいに育てるとペット自身だけではなく、人間の生活にもいい影響を与えてくれるんです。人と動物の関係の研究を続けている谷口 優先生に、ペットが人間にもたらしてくれる健康効果についてお話をうかがいました。
読了時間:分
ペットを飼っている
イギリスには、「子どもが生まれたら犬を飼いなさい」ということわざがあります。犬が子どもを守る存在になり、遊び相手になり、理解者になり、命の尊さを教えてくれる存在になる、というような意味です。このことわざが示すように、犬をはじめ、生きものを飼うことは、子どもの情操教育になるのです。ペットと過ごすことで、子どもの心がより豊かに成長しますし、お世話をすることにより責任感も生まれます。また、一部の研究では動物の存在自体や適度な運動などがストレスを軽減するなど、心の成長以外にもいい影響があるようです。
乳児がいるので衛生面を考えて控えている
免疫が未熟な赤ちゃんとペットの同居は、衛生面やアレルギーなどを心配する人も多いでしょう。しかしペットは、赤ちゃんの健康によい影響をもたらしてくれます。実は乳児期に犬や猫を飼うと、呼吸器疾患やアレルギー発症の予防効果があると、これまでの研究でわかっています(下のグラフを参照)。清潔過ぎる環境で育つよりも、ペットが持つさまざまな菌に触れることで、免疫力が向上し、病気になりにくい身体になると考えられているのです。
ペットが心の支えになる
子育てが一段落するとホッとする反面、寂しさが残りますよね。もちろん空いた時間を趣味に使ったり、地域活動に参加したりするのも大事ですが、ペットと暮らすのもよいことだと言えます。人間は何歳になっても誰かのお世話をすることに生きがいを感じるそうです。新たなペットとの生活は、愛情を持って育てることで生活にもハリが出て、ペットを通じて配偶者や地域との新たなコミュニケーションも増えていくでしょう。
だからペットを飼うのは難しい
健康寿命を延ばしてくれるという報告も
最近の研究で、ペットと一緒に暮らしている高齢者は、要介護や死亡のリスクが減ることが報告されました。ペットから受ける癒しなどによって健康寿命が延びるという、高齢者にとって嬉しい効果があるのです。さらに犬だと散歩に連れていくという行動で、その運動効果により体力アップや新しいコミュニケーションの活性化も期待できます。ただし、高齢になってペットとの生活を始めるのであれば、自分にもしものことがあった場合に備えて、ペットのその後のこともちゃんと考えておくようにしておくのも大切です。
高齢者のペットとの生活は、
介護費の削減にもつながる!?
谷口先生の研究によると、ペットと生活している人は、そうでない人に比べて介護費が半分に抑えられているということがわかったそう。これは介護サービスを利用する頻度が、ペットと暮らしていると少なくなっていたということ。ペットとともに生活することで、気持ちが明るくなったり、家族や周囲とのコミュニケーションがとりやすくなったりすることがあります。また、ペットと暮らすことで、規則正しい生活を心がけるようになるなど、ペットの存在が日常生活の自立によい影響をもたらすことが一因と考えられます。
犬と猫だけ
癒し効果がある
動物と触れ合うと、人間の脳内で“幸せホルモン”とも呼ばれる【オキシトシン】が分泌されます。そのことからストレスの軽減や、心身のリラックス効果が期待でき、近年、一部の医療に動物を介在させる【アニマルセラピー】が注目されています。アニマルセラピーには、犬や猫だけでなく、ハムスターやうさぎ、鳥、爬虫類なども活躍しています。ストレス軽減、リラックス効果は、ペットと過ごすことでも見込めると言えますし、どんな動物にもその効果があると言えます。動物を飼うのはちょっと……と言う人は、アニマルカフェや動物園、水族館などに足を運んでみるのもいいかもしれません。
記事をシェアする