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知っトク!?健康スキル

水不足で筋肉が溶ける!?水分と塩分のコントロールが美と健康の秘訣(3/4)

掲載号 vol.48

塩分の摂り過ぎが問題。水不足で、筋肉が溶かされる!

塩辛い食事が続くと水を摂らなくなる!

体液の塩分濃度0.9%を維持するために、調節をしている私たちの身体。濃度が高くなると水を摂り、水とともに塩を排出させて濃度を下げています。

「塩を摂ると水も摂るように私たちの身体はできています。しかし、私たちの行った調査で、塩辛いものを食べ続けると、次第に水を飲まなくなることがわかりました。これは本来あり得ないことです。塩分濃度を一定に保つようにできていますから、塩を摂ればその分、水を飲まなければならないはずなのです。なぜ水を摂らなくなってしまうのか、マウスに塩分が多い餌を与え続けた実験で調べると、マウスの体重が減ることがわかりました。マウスの身体から減ったのは脂肪ではなく筋肉。水の貯蔵タンクである筋肉を溶かして、必要な水を得ていたのです」

これは、私たちの身体にも起きていることが十分に考えられます。なぜなら、私たちは塩を摂り過ぎているからです。

日本人の1日の塩分摂取量基準は女性が6.5g未満、男性は7.5g未満とされていますが、なかなか基準内に抑えられないのが実情。つまり私たちは、塩辛い食事を食べ続けているわけです。筋肉の90%は水。1kg溶かせば900㏄もの水を得られることになります」

タンパク質不足でも筋肉が溶かされる

さらに、水を作るために筋肉を犠牲にする働きがあるそうです。

「私たちの身体は摂り過ぎている塩を、できるだけ外へ捨てようとしますが、そうするには多くの水も一緒に出さなければなりません。ただ、水だけは残しておきたいわけです。そのために、肝臓で尿素が作られることがわかりました。尿素は保湿クリームなどに使われることでも知られる物質で、塩と同じように水を引っ張る性質があります。それを利用して身体に水を留めておくのです」

尿素を作る材料はタンパク質(アミノ酸)。材料不足では尿素を作ることができません。

「食事から十分なタンパク質を摂れていない場合も、自らの筋肉を溶かしている可能性があります。塩を多く摂ると、尿素が必要になり、食事のタンパク質の量が十分でない場合は筋肉が溶かされる、ということが身体の中で起こっているのです。高齢者は、食が細くなりやすく、喉の渇きにも気づきにくくなるため注意が必要。体液の変化によって筋肉が減り、身体の機能が低下するサルコペニアのリスクが高まると言えます」

水と塩の摂り方だけで、若さと健康維持のかなめとなる筋肉が失われる可能性があることを、考えておかなければなりません。

私たちには、
【夏眠(かみん)】と
同じ仕組みが
備わっている。

必要な水を得るために筋肉を溶かす。それは実はカエルやかたつむりなどがする【夏眠】に見られる現象です。夏眠とは、冬眠と似た休眠状態のこと。食料を得にくくなる冬、できるだけエネルギーを使わないよう活動をやめるのと同じように、暑く乾燥して水を得にくくなる夏に活動をやめるのです。カエルやかたつむりは雨の日は動いていますが、晴れている日はあまり動きません。晴れの日が続き長く水を得られなくなったとき、筋肉を溶かして水を作ります。ヒトにも起こると考えられているこの現象は【夏眠様反応】と呼ばれています。

かたつむり

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