自分では気づきにくい。だからこそ、気になるのが体臭。本格的な夏に向けて、汗臭やワキ臭のケアを考えている人も多いと思います。ただ、入浴やデオドラント製品では抑えられない体臭もあるそうです。ここ20年ほどでにおいについての研究が進み、体臭についても、さまざまな種類があるとわかってきました。本特集では、意外なことが原因となる体臭をとり上げ、その正体と改善策をお伝えします。
解決も目指せる!わかってきた、体臭の正体。
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解決も目指せる!わかってきた、体臭の正体。
人がにおいを発するのは、生きている証。
筆者と友人や仕事仲間との会話には、よく家族の話題がのぼります。楽しい話題が多いのですが、時々出てくるのが、体臭の話。夫の枕のにおいが変わったとか、部活終わりの子どもの足のにおいがすごいとか……。困ったわぁ~と、言いながらも笑顔なので、家族の体臭さえ愛おしく思っているのだなと感じます。ただ、自分のこととなると、やはりみんな口ごもってしまいます。筆者ももちろん同じ。私もにおっていたらどうしよう、そんな心配からそれまでのように饒舌になれないのです。
今回は、きっと誰もが気になっている体臭を特集。お話をお聞きしたのは、東海大学の関根嘉香先生。“人が発するにおい”について研究する先生です。
「私はもともと、環境中にある化学物質を研究していました。20年ほど前のある調査で、部屋の空気中にある化学物質を測定していると、しっかり空気をクリーンにしたはずなのに、なぜか化学物質が検出されるということが起こりました。それは何なのか、どこから出てくるものなのか、調べていくと、そこにいる私たちの皮膚から出ているとわかったのです。それをきっかけに、人の皮膚から出る微量なガス【皮膚ガス】の研究を続けています」
皮膚からガスが出てくるとは驚きですが、これが体臭のもとになるのだそうです。
「研究が進み、現在、皮膚ガスは約800種類あるとわかっています。ほぼにおいを感じられないものも、体臭として感じられるにおいの強いものもあります。皮膚ガスは、誰の身体からも出てくるもの。生きている証とも言えます」

洗っても落とせない、血液由来のにおい。
皮膚ガスの経路は、主に3つあるそうです。
「ひとつは皮膚の表面。以前から体臭の主な原因と考えられていた経路です。皮膚の表面に存在する常在菌が、汗や皮脂を餌にして作る物質がにおいの原因になります。汗が変化したにおいや、加齢臭などがあります。次に皮膚腺。汗を出す汗腺や、皮脂を分泌する脂腺といった皮膚腺から出てきます。お酢のようなすっぱいにおいが特徴。3つ目は血液です。血液中の成分が皮膚の表面から出てきます。食べもののほか、お酒やタバコなどが大きく関係。例えば、ニコチンやアルコールは血液中に移り全身を巡りますから、それが皮膚にしみ出してくるわけです」
にんにくなどにおいの強いものを食べたとき、お酒をたくさん飲んだときなどのにおいが、口からだけでなく、血液から皮膚を通じて出てくると知り、大切な約束がある日は気をつけないといけないな……、と思った筆者。
「皮膚の表面、皮膚腺を経路とする皮膚ガスは、入浴やシャワーで洗い流せば落とせますが、血液から出てくるものは落とせません。注意が必要だと言えます」
実は、血液を経路とするこの皮膚ガスには、食べものやタバコ、アルコールのほかに、疲れやストレスが原因になるものもあるそうです。それは【疲労臭】と呼ばれるもの。疲労臭について、先生に詳しくお聞きしていきます!