思うように外出できないことは、誰にとってもストレスですが女性よりも、男性のほうがツライ思いをしているのかもしれません。“ずっと家にいる”ことは、男性ホルモンの低下につながるのだそうです。心と身体の健康に大きく関係する男性ホルモン。女性も、その働きを理解することで、パートナーとの関係をよりよいものにできそうです。
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“ステイホーム”で世界的にダメージが!?
ココロ晴れ晴れ、肌もつやつや。そんな1週間があると思えば、だるさで身体が重く、誰に対しても優しくできないような1週間があったり……。女性は、エストロゲンやプロゲステロンなど、女性ホルモンのバランスによって心も身体も変化しています。不調が続くと「そういえば、もうすぐ生理だ」と、不調の原因とホルモンバランスとの関係に気がつくこともあるはずです。悩まされることが多いぶん、ホルモンの影響を受けるのは女性だけだと感じてしまうかもしれませんが、実は、ホルモンによって変化するのは男性も同じ。イキイキとしていたかと思えば、何もできずにいることもあったり。それには、テストステロンという男性ホルモンのバランスが関係しているというのです。
ステイホーム期間中、男性に、元気がないと感じたことはありませんか?
「この春から、多くの人が外出を控え、自宅で仕事をするようになりました。そのことによる心と身体への影響は、女性よりも、男性のほうが大きいと言えます。思うように外へ出られないことで、テストステロンが低下すると考えられているからです。それは、日本だけでなく、自由に外出ができない多くの国で同じことが起こっていると言えます」
お話をうかがったのは、順天堂大学の堀江重郎先生。日本で初めてのメンズヘルス外来を開設、日本メンズヘルス医学会の理事長を務める先生です。
「男性は、太古の昔から、外へ出て“獲物”を得る役割を担ってきました。その役割を果たせなくなると、テストステロンが低下すると考えられています」
“男性は外に行って狩りをするもの、女性は家を構築するもの”。女性も仕事を持つ現代では違和感があるかもしれませんが、これは人類が狩猟採集生活を始めた、500万年前から長きにわたって続いた暮らし方です。
「男性の仕事である狩りを支えるのがテストステロンです。朝起きて出かけようと意欲をかきたてるのも、獲物がいる場所を記憶するのも、獲物を仕留める方法を判断する力も、行動に必要な筋肉や骨を強くする力も、すべてテストステロンがかかわっています。外へ出て活動的になることで、テストステロンは高まりますが、家にいると低下してしまいます。テストステロンの働きから考えれば、男性は家にこもっていられるような生き物ではないのです」
男性は気づきにくいテストステロンの低下。
仕事で成果をあげる、趣味のゴルフでいいスコアを出すなどが、現代の男性にとっての“獲物”だと言えます。“ステイホーム”で、多くの男性がそれらの獲物を得られない状態になりました。
「テストステロンが低下すると、チャレンジする力、ものごとを判断する力が減少しますから、何をするのもおっくうになります。笑わない、怒りっぽくなるということもあります。しかし男性は、不調をテストステロンの低下と関連づけて考えることはほとんどありません。女性のように、月経や閉経というホルモンの変化のサインがないからです」
パートナーの変化に気づけるのは、身近にいるあなたかもしれません。女性もテストステロンの働きや特性を理解する。それが男性の心と身体の健康を守ることにつながると言えます。