外は寒く外出する機会が減るこの季節。ずっと家にいてあっという間に1日が過ぎる。そんなちょっともったいないな、と感じる日を減らしたいと思いませんか?今回は時間の感覚や空間の特性について研究されている一川誠先生に、よりよい時間の過ごし方についてお話しをうかがいました。
読了時間:分
照明を少し暗めにしている。
照明は明るいほうがよい。
これまでの研究では、明るさが人間の感じる時間の長さに影響を与えることがわかっています。明るい空間だと時間が長く感じられ、薄暗い空間では時間が短く感じられるのです。ですから用事がすべて終わってあとは寝るだけという場合は、照明を暗めにするとリラックスしますし、その後の睡眠の質も上がるのでよいと言えます。ただ、部屋を薄暗くするとあっという間に時間が過ぎてしまう感覚になりやすく、ゆとりを感じにくくなると思います。仕事や家事などやるべきことが残っていて、まだ寝なくてもいい時間帯であれば、照明は明るいほうがいいでしょう。
狭い部屋で過ごす
時間を長く感じやすくなる
明るさと同様、空間もより広いほうが時間を長く感じやすくなります。時間が長く感じられるということは、その分、心にもゆとりが生まれるというもの。ゆっくりとした時間を過ごしたいなら、狭い部屋よりもリビングなどの広い部屋のほうがいいでしょう。ただプライベートを確保するために自分の部屋にいたいという場合などは、鏡などで部屋を視覚的に広く見せることも効果的です。またカーテンは閉めっぱなしにせず開けておくとか、テレビやモニターで自然の風景の動画などを流しておくのもおすすめです。
こたつのみで十分だ
時間をゆっくり感じられる
体温を上げ、代謝をよくすると時間が長く感じられるようになります。こたつのみだと下半身しか温まらず代謝も下がってしまうので、エアコンなどで部屋全体を暖めたほうがよいでしょう。階段の上り下りくらいの軽い運動をとり入れると、暖房器具に頼り過ぎずに身体を温めることができます。一番効果的なのが入浴。ゆっくりと入浴するとリラックスにもなりますし、深部体温を上げて代謝もよくしてくれるのでおすすめです。
おしゃれな間接照明にしている
会話などの楽しい記憶が曖昧になる
家族とのコミュニケーションは楽しい時間ですが、間接照明などの薄暗い空間では、いろんなことがちゃんと見えづらく、また記憶に残ることも少なくなりがち。家族の楽しい時間もあとでしっかり思い出せないかもしれません。楽しい時間や会話の内容を鮮明に記憶に残すには、相手の顔や表情の変化がよくわかるくらいの明るさがあったほうがいいでしょう。また、食卓も料理の色がわかるくらいの明るさのほうが、よりおいしく感じられます。
家事をしている
家事を後押ししてくれる
映画やドラマで見たことがある人も多いと思いますが、昔は労働歌や作業歌というものがあり、人々が歌いながら作業や仕事をし、作業能率を上げていたことがあります。家事も同じように掃除や料理、食事の後片付けといったデスクワーク以外の作業なら、テンポのよい曲を聞いたり歌ったりしながら行うとはかどりますし、楽しくできると思います。ただ同じ曲を繰り返して聞くと飽きてしまうので、いろいろと変えてみるのもおすすめ。音楽でなくても、テレビを見入ってしまわないくらいの音量でBGM代わりにつけておくのもいいでしょう。
音楽やラジオを流さない
仕事に集中できることも
作業の内容にもよりますが、シーンとした無音の空間ではほかのことに注意が向きやすくなってしまいます。エアコンや家電が出す小さい音でもあったほうが、静か過ぎる環境よりも集中もできますし、時間をゆったりと感じられるようになります。音楽なら、本を読んだり考える必要があるときは、日本語の歌詞つきの曲ではなく、言葉がわからない洋楽やインストゥルメンタルを小さめの音量で。波の音や鳥のさえずりなどの自然の音もおすすめです。
デスクワークをしている。
多いと集中できない。
自宅で仕事をするときは集中できる環境作りが必要なので、仕事とプライベートは切り離して考えましょう。仕事に関係ないものが目に入ると、そちらに注意が向いてしまい作業に集中できなくなります。ですから、仕事をしている間だけでも片付けるようにしてください。完全に片付けるのは面倒だという人は、自分の後ろ側に置いておくなど目に入らない場所に置くだけでも効果的です。
大人になって、子どもの頃よりも年月が早く過ぎると思ったことはありませんか? 子どもと大人の時間の感じ方が違うのは、初めて経験する出来事の量の違いが関係しています。体験する出来事が多いほど時間は長く感じられるので、新たな体験が多い子どもは時間を長く感じ、経験済みの出来事が多い大人は短く感じるのです。時間の感じ方の違いはどちらがいいのかは場合にもよりますが、多くのことを体験し時間を長く感じられるほうが、満足度が高くなりやすいと言えます。
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