毎日湯船につかる習慣をもつのは日本だけと言われるくらい、日本人は「世界一のお風呂好き」と言っても過言ではありません。でも入浴の仕方によっては、身体に負担をかけてしまったり、逆に疲れが残ってしまうことも!今回はお風呂研究を20年以上も続けている、温泉療法専門医の早坂信哉先生に、健康によい入浴法について伺いました。
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お風呂と同じ効果が
得られる。
汚れを落とすもの。
湯船につかる最大の効果は、身体が温まって血流がよくなることです。それにより、疲労物質や老廃物の排出を促す、筋肉のコリが和らぐ、慢性の痛みが抑えられるなどの、さまざまな効果があります。シャワーだけではお風呂ほど血流促進の効果はなく、また、お風呂が持ちあわせているほかの効果(下記参照)も期待できません。忙しくてゆっくり入浴する時間がない場合は、シャワーの最中に足湯をしてみましょう。少しでも身体が温まるので効果的です。
半身浴のほうがよい。
使い分けるのが
おすすめ!
健康な人の日常の入浴であれば、基本は全身浴を推奨しています。というのは、同じ時間湯船につかっても、半身浴で身体を温めるのには全身浴の倍の時間がかかってしまうからです。さらに静水圧作用や浮力作用といった入浴の効果も半分になります。ただし、全身浴が息苦しく感じる人や、心臓や肺に疾患がある人は半身浴のほうがよいでしょう。また、湯船につかりながら読書をしたりテレビを見るなど、長い時間のんびりしたい人も、のぼせにくい半身浴がおすすめです。
たくさん汗をかくと、
ダイエット効果がある。
一時的に体重が
減るだけ。
お風呂でたくさん汗をかくと、運動をしたのと同じような効果があると思われるかもしれませんが、運動は脂肪燃焼効果があるのに対して、お風呂での発汗はわずかに代謝機能が上がるだけで、運動ほどの脂肪燃焼効果は期待できません。お風呂上がりに体重を測ると少し減ることがありますが、それは汗が出て脱水状態になっただけのことなので、きちんと水分補給をしましょう。
入浴してはいけない。
入浴しても問題はない。
かつての日本家屋は冬は家の中が寒く、湯冷めしやすいことから入浴を避けるように促していました。しかし、最近は住宅環境もよくなっているので、基本入浴しても問題はありません。お風呂に入ったほうがスッキリするという場合は、疲れない程度に入浴し、リフレッシュしましょう。ただし、体温が37.5度以上あるとき、入浴するほどの体力がない場合は入浴を控えましょう。
すぐお風呂に入って
疲れをとる。
30分〜1時間後に。
運動後にすぐに入浴すると、逆に疲れがとれにくくなってしまうことも。運動をすると筋肉に血液が集中して、疲労物質を排出するように働きます。しかし、すぐに入浴をすると、血液が筋肉に集中せず身体中に分散されるので、疲労物質の排出が滞ってしまうのです。運動後の入浴は30分〜1時間後、呼吸や心拍数が落ち着いてからにしましょう。すぐに汗を流したいなら、シャワーを利用するか、体温により近い38度くらいのぬるめのお湯がよいでしょう。
長時間つかるほうが
温まる。
お湯で10〜15分でOK。
42度くらいの熱いお湯につかると、体温は早く上昇します。しかし、ヒトには体温を一定に保とうとする働きがあるので、反動で急速に体温が下がり湯冷めしやすくなるのです。40度くらいの少しぬるめのお湯ならば、体温の上昇が穏やかなので温かさも持続します。また、長時間入るとのぼせたり、熱中症になってしまう恐れがありますし、短すぎても温熱効果が十分に得られません。10~15分でも長いと思われる人もいるかもしれませんが、ずっと入り続ける必要はありません。途中で身体や髪を洗ったりして数回にわけて湯船につかるなど、合計の時間で考えましょう。
ゆっくりお風呂に入る。
熱めのお湯で短めに。
ぬるめのお湯にゆっくりつかると副交感神経が優位になり、かえって眠気に襲われる場合があります。朝風呂をするなら熱めのお湯に短い時間つかるか、もしくは熱めのシャワーだけにしましょう。そうすると交感神経が刺激され、心身ともに活発に行動できます。また、体臭や加齢臭などが気になる人は、朝にサッとシャワーを浴びるだけでもにおいを抑える効果があるのでおすすめです。
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