更年期。この言葉を、あまり聞きたくない人もいるかもしれません。それは、不安な気持ちが大きくなるからではないでしょうか。ただ、更年期とは閉経を挟んだ前後5年、計10年のことで、女性ならば誰しも訪れる時期のこと。その時期に起こる症状は、対策次第で軽くすることもできるのです。この特集では、閉経後に起こりやすい、GSMというデリケート部位のさまざまな不快症状についてお伝え。知っておけば、必要以上に怖がることはありません。上手く乗り越える術を、身につけておきましょう!
ひとりで抱え込まないで!更年期に起こる、GSMとは!?
閉経していなくても、GSMは起こりうる!
現在、筆者は更年期の真っただ中。更年期は、閉経を挟んだ前後5年、計10年間のことですから、筆者は前半の5年を終えて、そろそろ閉経、後半の5年を迎えることになるのかなと思っています。かつては更年期に不安しかなかった筆者でしたが、本誌の取材を通じて更年期と向きあい「対策すれば、怖がることはないんだ!」と思えるようになりました。かかりつけの婦人科を持っておくことに加え、運動、食事、睡眠など生活習慣を整えること。そうしたことで、ここまでの更年期前半を上手く乗り切れたと思っています。
これから迎える更年期後半。“更年期の先輩”たちに聞いてみると、口々に「デリケート部位のトラブルが増えた」「おしっこのトラブルが多くなった」と言います。加えて、何をすればいいのか、解決の糸口も見つかっていない様子。川崎医科大学の太田博明先生にお聞きすると、彼女たちの不調は、GSMと関係しているようです。
「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)とは、日本では【閉経関連尿路性器症候群】と訳される予定です。腟や尿路の不快な症状の総称で、2014年に国際的に承認された医学的な新しい概念です」
太田先生は女性医療の先駆者で、女性の生涯にわたる健康支援をモットーに、さまざまな医療を実践。2019年にGSM研究会を立ち上げ、代表を務めています。
「GSMは閉経後に多く見られますが、45歳くらいから発症するとされており、未閉経の女性の発症も少なくありません。症状は、性器に現れる症状、性交にまつわる症状、下部尿路(膀胱と尿道)に現れる症状の3つに分類されます。性器症状は、乾燥、かゆみ、灼熱感、におい、ゆるみなど。性交関連症状は、性交時の潤い不足や痛みといった性交痛が主。下部尿路症状は、畜尿障害(頻尿、尿意切迫、尿失禁など)、排出障害(排尿困難、残尿感など)が挙げられます」

更年期後半、悩みが変化する!?
閉経後の“更年期の先輩”たちが言っていた症状は、まさに先生が挙げた症状にあてはまります。
「さまざまな更年期症状は、女性ホルモンとして知られるエストロゲンの低下によって起こります。閉経前はエストロゲンの分泌に波があるため、自律神経が乱れやすくなりホットフラッシュや頭痛、倦怠感、メンタルの落ち込みなどが起こりやすくなりますが、それらはいずれ落ち着きます。エストロゲンが卵巣から分泌されなくなると、波もなくなるため落ち着いてくるのです。しかしGSM症状は、何もしなければ症状がさらに悪化し、別の症状まで現れることになります。深刻なQOLの低下につながりますから、GSMを知り、きちんと対策をとってほしいと思います」
更年期後半は、月経から解放されるとき。筆者は閉経をそんな風にポジティブに捉えていますが、一方でGSMが起こりやすくなることも考えておかなければならないと思いました。更年期はもちろん、更年期が終わってからの人生も快適に過ごしたい。あなたもそう思いませんか? 女性であれば無関係ではいられないGSMのこと、一緒に考えていきましょう。