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ほっこり癒しの時間

ノスタルジックな港町を散策♪瀬戸内海・鞆の浦の旅(1/2)

掲載号 vol.13

Vol.7

記事内容

読了時間:7分

どこをとっても絵になる、なつかしい港町を散策。

瀬戸内海の真ん中潮待ちの港、鞆の浦。

JR福山駅からバスに揺られること約30分。車窓から海が見え始めたら鞆の浦はもう間もなくです。そして「鞆の浦バス停」で下車。そこには、一面の海とともに漁から揚がったばかりの魚をさばいたり、干したりする、のどかな光景が広がります。

瀬戸内海の中央、東西の潮がちょうどぶつかり合う場所に位置する鞆の浦は"潮待ちの港"と呼ばれ、昔から瀬戸内海航路の要所でした。潮待ちとは、潮の流れを利用して航行する船が、潮流が変わるのを待つこと。エンジンなどなかったいにしえの時代、瀬戸内海を渡るたくさんの潮待ち船で、港はたいへんな賑わいだったといいます。そのため、「鞆の繁栄は港のおかげ」と、人々は港を大切に守ってきました。航行の安全を守るための常夜燈や波止場、潮の満ち引きに応じて船を着けられる雁木(がんぎ)、船の保全・修理を行った焚場(たでば)など、江戸時代から続く港湾施設がこれほど多く現存しているのは全国でもここだけです。また、町割りにおいても江戸初期に造られたままの状態が色濃く残る鞆の浦。車の進入を拒むかのような細い路地が不規則に伸び、さらにそんな中、昔ながらの町屋や蔵が軒を連ねて町全体に独特の情緒を漂わせます。どこをとっても絵になる、どこか懐かしいその風景の中に身を置くと、まるで映画の世界に迷い込んだよう。事実、これまでに数多くの映画やテレビドラマのロケ地に選ばれており、とりわけ『崖の上のポニョ』の舞台として描かれたことはアニメーション好きの間では有名な話。作品の構想を練るために滞在していた宮崎駿監督は、地元の店にも足しげく通い、町に溶け込んだ毎日を送っていたようです。

人々のオープンマインドにつられて笑顔に。

もちろん、ノスタルジックな風景だけが鞆の浦のすべてではありません。港町ならではの人々のおおらかさも大きな魅力。立ち寄る先々で明るく私たちを迎え、和ませてくれます。「どこから来はったん?」に始まる会話のもてなしは、気取りがなく温かで、初対面にもかかわらず、親戚にでも会ったような錯覚を覚えるほど。ちょっぴり荒っぽい鞆弁独特のイントネーションもまた親しみやすく、自然と顔がほころびます。立ち止まって話をし、声をかけられてはまた立ち止まり……。小さな町です。先を急いではいけません。ゆっくり、のんびりと、潮待ちの船のように成り行きに身を任せるのが鞆の浦の旅の醍醐味なのです。

懐かしいあの頃にタイムスリップしたかのよう。

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