私たちが目指すのは「薬に頼らない製薬会社」。 薬で症状の緩和や改善をはかるだけではなく、身体を作る食から本当の健康を目指したい。 そんな想いから、さまざまな食に取り組んでいます。
石垣島の自然の恵みを活かし
おいしくて力のある食を追求。
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石垣島の自然の恵みを活かし
おいしくて力のある食を追求。
食こそ健康の基本!その未来も見据えて島での農業に挑戦。
こんにちは、くらこです。前回は『パレタス』を紹介し、フローズンフルーツバーを作るきっかけとなった『やえやまファーム』のパイナップルについてもお話ししました。今回は、その『やえやまファーム』のこと、なぜロート製薬が沖縄の石垣島で畜産を含む農業に取り組むのか?がテーマです。
健康のための食の大切さを痛感し、アグリ・ファーム事業部を設立したのが2013年。日本の食料自給率問題もきっかけのひとつでした。この20年、食料自給率(カロリーベース)は40%前後で、主要先進国で最低水準。 カナダ、オーストラリア、アメリカ、フランスなどは100%を大きく上回ります(農林水産省試算)。大切な食を輸入に頼っている日本。もし、輸入が途絶えてしまったら食料不足になりかねません。ロート一社で食料自給率を高めることはできなくても、縁あって出合った石垣島の農地で小規模ながら農業に取り組めば、この問題に一石を投じることにつながるかもしれない!と考えたのです。
小規模とはいえ島内にふたつの農場を持ち、あわせて86ヘクタール、東京ドーム約18個分の広さなんですよ!そこで、独自の循環型農業を展開しています。
環境にも人にもやさしい循環型農業。
循環型農業とは、農作物の一部を家畜の飼料とし、その家畜の糞尿を堆肥として作物を育て、資源を循環させる農業体系。自然の恵みを活かすことで作物は力強く育ち、おいしくなり、また、環境への負荷が少なくなります。『やえやまファーム』の畑では主に有機栽培でパイナップルを作り、ジュースに加工する際の搾りカスを自社農場の家畜の飼料に。その畜糞を堆肥にした土壌で、おいしいパイナップルを栽培するというサイクルです。パイナップルを食べて育つオリジナルブランド『南ぬ豚(ぱいぬぶた)』は、肉質が柔らかく、脂肪に甘味があって美味!と人気です。
同じく、オリジナルブランドの『南ぬ牛(ぱいぬうし)』も、くさみがなく、あっさりしたおいしさだと好評をいただいています。こちらは、黒毛和牛に沖縄特有の焼酎・泡盛の酒粕を混ぜた発酵飼料を与えます。島に産業廃棄物処理場がないため、地元の泡盛メーカーが430キロ離れた沖縄本島まで運んでいた酒粕を譲り受け、飼料や堆肥として活用するように。メーカーは輸送の負担が減り、牛は発酵飼料によって腸内環境が整うことで味がよくなります。これも石垣島だからこその循環のかたちです。
石垣島ならではのよい循環が広げる食の可能性。
『やえやまファーム』では、次の4つをミッションとして掲げています。島の魅力を活かす、環境に配慮する、健康作りにつながる食を提供する、地域に愛される。石垣島は台風も多く、オーガニックファーム等の運営を、それも製薬会社が行うなんて無謀とも言われていました。けれど、ミッションを果たすべく試行錯誤を続けるうち、パイナップルや泡盛の活用をはじめ、ロートならではの視点で挑戦できることがあるとわかりました。畜産を含む農業からスタートし、ジュースやフローズンフルーツバー、ハンバーグなどの加工品も作り、オンラインショップで販売も行っています。
生産から販売までトータルで行うことで、安全性へのこだわり、環境への配慮なども、しっかりとできるように。環境を守ることで、そこで育つ作物、牛や豚、飼料の牧草までもおいしくなります。
この土地ならではのよい循環が生まれる中、より多くの安全でおいしい食をお届けするために新たな展開も。今夏は初めて島バナナを出荷しました。ライチ、島唐辛子、アボカド、紅芋の栽培にもトライ中。牧場では脂身の少ない赤牛の飼育も計画しています。すべては人々の健康、安心できる食事情につながると信じて、ロートの挑戦はまだまだ続きます!
本連載は、今号で終了させていただきます。ご愛読ありがとうございました。