Vol.4
食材の力で、毎日をもっと健康に。
管理栄養士がお悩みに答えます。
40代半ばで骨密度が低下!骨の健康を守る食べ方は?
読了時間:5分
40代半ばで骨密度が低下!骨の健康を守る食べ方は?
健康診断で、骨密度の低下がわかりました。女性は骨粗しょう症になりやすいと聞き、しっかりカルシウムを摂ろうと思っています。骨の健康のためにカルシウムの上手な摂り方はありますか?(石川県・豊子さん45歳・会社員)
カルシウムは身体に必要不可欠!
不足している上、失われやすいので効率よく身体にとり込む食べ方を。
カルシウム不足は、なぜ骨を弱くする?
骨粗しょう症は骨がもろくなって骨折しやすくなる病気。女性はみな、加齢による骨密度の低下を避けることができないので、気をつけなければなりません。ちょっと怖い話かもしれませんが、食べるもので骨の健康を守ることはできますから、これから食事を考えていきましょう!
骨を作るためにカルシウムが必要なのは、よく知られていますよね。確かに、カルシウムは骨と歯を作りますが、働きはそれだけではないんです。骨と歯に貯蔵されているカルシウムは99%。残りの1%は体液に存在しています。これは、心臓や筋肉、脳の神経細胞、血流を正常に働かせるため。つまり、体液中の1%は生命維持に欠かせないものなのです。そのために、体液のカルシウム濃度を一定に保つ必要があるのですが、カルシウムはとても失われやすく、体内を巡るうちに一部が尿に排出されてしまいます。失われた分を補うための供給源となるのが、食べものから摂取したカルシウム。それが十分にないと、骨に貯蔵された分から供給しようとして、体液が骨を溶かしてしまうんです。このように、骨からカルシウムが溶け出てしまうことを骨吸収といいます。ヒトは、この骨吸収と、骨にカルシウムが運ばれ、新しい骨が作られる骨形成を繰り返していますが、骨吸収が骨形成を上回ることで、骨密度が低下してしまうんです。
吸収率を高めるために、ビタミンDを併せて。
カルシウムは生命維持のためにも、骨のためにもなくてはならないもの。でも、成人女性のほとんどが、1日の推奨摂取量である650㎎を摂れていないのが実情です。まずは不足しないように、カルシウムが豊富な食品を摂りましょう。牛乳やヨーグルト 、チーズなどの乳製品のほか、小魚、桜えび、小松菜、水菜、チンゲン菜などもカルシウムが豊富です。
それと併せて摂るべきなのがビタミンD。お伝えしたように、カルシウムは失われやすいので、効率よく身体にとり込むために吸収率を高めることが肝心。その役割を果たしてくれるのがビタミンDなのです。松茸や舞茸、椎茸などきのこ全般に豊富です。
また、ビタミンKも併せて摂るとさらによいですよ。カルシウムが骨から出て行くのを抑えたり、カルシウムを骨にとり込む働きがあります。
豊子さんの骨密度の低下は、年齢的に女性ホルモン・エストロゲンの減少も関係しているかもしれません。エストロゲンには、骨吸収を穏やかにして、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあるんです。エストロゲンが減少すると、その働きが弱くなるので、豊子さんをはじめ、女性は特に骨の健康を守る食事で、将来のために備えましょう!
- ビタミンD
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カルシウムの吸収をサポート。きのこに豊富。
秋においしくなるきのこに豊富なビタミンD。干し椎茸は、戻す前に30分ほど天日干しすれば、ビタミンDが増えますよ。
- カルシウム
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牛乳など乳製品のほか、葉物野菜や乾物に豊富。
小松菜など葉物野菜や、胡麻、干しひじきなどの乾物に豊富。小松菜のおひたしに胡麻を振りかければカルシウムたっぷり!
- ビタミンK
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カルシウムの流出を防ぎ、とり込む! 納豆などに豊富。
納豆(特にひきわり納豆)に豊富なビタミンK。ほかには、乾燥わかめ、海苔、小松菜や大葉にも多く含まれます。