自家製塩鯖の作り方
塩のチカラで、旨味凝縮。しっとりした身に!
脂の少ない胡麻鯖をおいしく食べたいなら、塩鯖にするのがいいだろう。塩鯖とは、その字のごとく、塩をしみ込ませた鯖のこと。旨味が凝縮される上、しっとりする。おまけに保存性も高まる。 それはすべて塩のチカラによるものだ。まず身にある水分が外へ出される。切ったきゅうりや大根に塩をすると水が出てくるでしょ、あれと同じ。水分が少なくなると微生物の増殖が防げるから、腐敗への進行が遅くなる。長く保存ができるということね。さらに、水が引き出されると、細胞内の濃度が高くなるから、旨味が強くなるわけです。……水分がなくなるのに、なぜしっとりするの? と思うよね。それは、水が出たあと、身に入った塩の効果で、筋肉を構成するタンパク質が溶けて結合するから。タンパク質が、プリプリでしっとりした状態に変化するんだよ。かまぼこのあの食感も同じ原理。原料であるスケソウダラなどの魚肉に塩を加え、すりつぶすことでタンパク質が変化してプリプリになるわけ。
塩鯖の作り方は、いろいろあるんだけど、塩を振る方法を紹介しよう(下の図を参照)。買ってきてすぐ作りたいとき、保存してあとで使いたいときと、それぞれの方法も紹介しておく。胡麻鯖は(真鯖もだけど)、だいたい二枚におろしたものが売られているから、塩鯖にしたあとの料理は、骨のないほう、あるほうで使い分けるといい。骨のないほうは、野菜炒めの具材にしたり、ひき肉の代わりとして細かく刻んで、パスタのボロネーゼソースにしても旨い。酢に漬ければしめ鯖にもなるよ。もちろん、シンプルに焼いて食べるのもいい。パサパサにならないし、脂は少なくてもその旨味が感じられるはずだ。
骨のあるほうは、塩が均一に入りにくいのが難点なんだが、いいだしがとれるから汁ものに使うのがいい。鯖カレーにしてもいいね。胡麻鯖が安い時期に多めに買って塩鯖を作っておくと、いろんな料理にさっと使えて便利だ。脂がのっていない魚も、ちゃんとそれに向く調理法がある。旨く食べられる方法があるんだよ。
鯖は二枚におろされたものが売られていることが多い。
骨のあるほう、ないほうで、向く料理が違う。上手に使い分けよう。
野菜炒めや、パスタソースなど魚の身だけを使いたい料理に。
もちろん、そのまま焼いて食べるのもいい


骨があるため均一に塩が入りにくいので、そのまま食べるのには向かない。
ただ、いいだしがとれるので、汁もの、カレーなどに使おう




骨があるほうは使いにくい、という人は、最初に骨を取ってしまおう。腹骨に沿って包丁を入れ、そぐように切る。エラの骨が残っている場合もあるので、それも切り落としておく。骨を取ったら、「骨のないほう」の手順で作ろう
時間がないとき
(すぐ料理する場合)
すぐに料理に使いたいときは、塩に当てて、30分おけばOK。
ひと晩おくのと、さほど変わりなくおいしくいただける。




-
流水に当てて洗い、拭く
流水に当てて、3秒でさっと全体を洗い、キッチンペーパーなどで拭く
-
料理しやすいように切る
野菜炒めなどの具にするときは小さめに、汁ものに使うときは大きめに、など料理に合わせて切る。骨のあるほうは骨を下にして包丁を入れる
-
しっかり洗う
切った鯖をボウルの中で水洗いする。水を取り替えながら、水が澄んでくるまでしっかり洗う
-
塩を振り、混ぜる
骨のあるほうは水を切って、骨のないほうはそのままボウルに入れる。鯖に塩を振り、全体的に塩がいきわたるように混ぜる。すり込まないように、和えるような感じで軽く混ぜる
-
30分ほどで完成
骨のあるほうは、血などが落ちてくるためザルに上げる。骨のないほうは、ボウルに入れたままで。30分ほどで身に塩が入り、完成
時間があるとき
(保存する場合)
塩を当ててひと晩で、旨味の詰まった塩鯖が完成。
多めに作って保存すれば、さまざまな料理にすぐ使えて便利。




-
流水に当てて洗い、拭く
流水に当てて、3秒でさっと全体を洗う
-
骨の部分までしっかり洗う
流水に当てて、全体を洗ったら、歯ブラシを使って骨の部分にある血を洗い流す
-
キッチンペーパーなどで拭く
水分は完全に取らなくていい。ここでは、においのもとになる血や汚れを落とすために拭く
-
キッチンペーパーで包む
水分を少し残した状態で、新しいキッチンペーパーに包む
-
塩を当てる
キッチンペーパーの上から、全体にしっかり塩を当てる。その後、余分な塩をはたき落としておく
-
容器に入れる
容器に並べ入れる。冷蔵庫でひと晩おいたら完成。冷凍する場合は、ひとつずつラップに包んで冷凍庫へ。冷蔵なら5~7日、冷凍なら1か月保存できる
ARRANGE MENU自家製塩鯖を作って、
野菜炒めに!夏に旬を迎える胡麻鯖は、真鯖に比べて脂が少ない。そのまま焼くとパサパサしてしまうので、塩鯖を手作りしよう。身がしっとりする上、旨味が凝縮。そのまま焼いてもいいし、野菜炒めの具にもなる。好みの野菜を切って、塩鯖と一緒に炒めるだけ。塩鯖が酸化しないように低温でゆっくり炒めるのがポイント。調味料は不要。塩鯖の旨味だけで味が決まる。

