痩せているほうが健康。そんな風に考えていませんか?太り過ぎがよくないのは事実ですが、実は痩せ過ぎもよくありません。誤ったダイエットを続けていると、“キレイ”を失うだけでなく、健康を損なうことさえあるのです。あなたにダイエットは本当に必要?健康であるにはどうすべき?健康寿命延伸に向けた研究活動を行ってきた新開省二先生に、ダイエットの考え方を教えていただきました。
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ダイエットが必要
BMIで肥満度を見ましょう
肥満かどうかを、体重だけで判断してはいけません。身長によって適正体重が違ってくるからです。まずは肥満度を表す体格指数【BMI】で確認してみましょう。日本ではBMI18.5未満が低体重、18.5から25.0未満が普通体重、25.0以上が肥満とされています。『国民健康・栄養調査』*によると、日本人女性(20歳以上)の肥満率は22.3%と多くはありません。むしろ、若年女性の痩せ過ぎが問題視されています。20代女性の低体重の割合は20.7%にもなっているのです。痩せ過ぎは貧血や骨粗しょう症のリスクも高まりますから、安易なダイエットはおすすめしません。
*厚生労働省 2019年の調査
痩せたほうがいい
痩せ過ぎの人です
肥満は健康に悪影響。[肥満(2度)]となるBMI30を超えると、急に死亡リスクが高くなります。ただ、痩せると長生きできるということでもありません。BMIが19を下回ると、BMI30以上よりも死亡リスクが高くなるのです。病気になったとき、それと闘えるだけのエネルギーが必要。痩せ過ぎは、栄養や脂肪(カロリー)の蓄積が少なくなりやすいため死亡リスクが高まると考えられます。長生きするには、BMIでの普通体重を維持しましょう。
間食を控えている
という考え方も
カロリー過多になるため、肥満の人は間食を控えたほうがいいでしょう。ただ、痩せ過ぎの人は、食事量が少なく栄養が不足しがちなため、三食で摂れなかった栄養を間食で補う、という考え方もできます。高齢者は食が細く、痩せ過ぎになりやすいため、間食を活用して好きなものを楽しんで食べましょう。
主に野菜を摂っている
低栄養状態になる可能性も
肉は脂肪が多く太りやすい、野菜はヘルシーというイメージがあるかもしれませんが、偏った食事では低栄養状態になり、健康に悪影響。年代を問わずバランスよく食べることが大切です。栄養価の高い10の食品群の頭の文字をとった「さぁ、にぎやかにいただく」という標語があります。これらを摂ることで、栄養素密度の高い食事を目指せます。フレイルの予防にもなりますから、献立を考えるときなどに役立ててください。
足腰に負担をかけないよう、
痩せているほうがいい
骨折しやすくなります
肥満の人は、身体を支えるために足に大きな負担がかかります。ただ、痩せ過ぎも同様です。骨密度が低下しやすくなり、骨折のリスクが高くなるからです。骨は負荷に応じて強くなるもの。自分の体重が負荷となるので、体重がある程度重い人のほうが骨は強くなります。また、痩せ過ぎの人は食事が十分でないことが多く、カルシウムなどの栄養が不足しがち。それも骨が弱くなる原因。一生自分の足で歩きたいのなら、痩せ過ぎは避けるべきです。
しっかり食事も摂っている
筋肉を維持しましょう
運動と食事がセットになったダイエットは◎。食事を減らし、十分な栄養が摂れていない状態で運動を続けると、筋肉が痩せてしまう可能性があります。運動に必要なエネルギーを作るため、タンパク質で構成されている筋肉が分解されてしまうからです。健康のためには、筋肉量の維持を。運動をする際は、特に筋肉の材料になるアミノ酸やタンパク質を摂るとよいでしょう。
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