年に一度の受診が推奨されている健康診断。結果を見ただけで一喜一憂していませんか?健康診断は自身の生活習慣と向き合う大事な機会。年齢や性別によっても気をつけたいポイントが違ってきます。今回は『対馬ルリ子ライフクリニック銀座』院長の石山尚子先生に、年齢とともに見直したい健康診断についてうががいました。
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健康診断は、病気の予防や病気を早期に発見し早期治療につながることを目的としています。身体の異常をすべて判断することは難しく、初期の胃がんや大腸がんなどは基本の健康診断では発見しづらいので、がん検診を追加で受けることをおすすめします。また、健康診断の内容は成人男性を基準に設けているので、女性は乳がん検診や、子宮頸がん、超音波での子宮や卵巣の検査も積極的に受けましょう。特に更年期や閉経後の女性は、子宮体部にできる子宮体がんの発生率が高まるので、その検査も必要に応じて受けるようにしたほうがいいでしょう。
女性が受けたほうがよい検診項目
子宮の入り口付近の細胞をこすりとって調べる検査。子宮頸がんは性行為によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となるので、1回でも性交経験のある人は1年に1回、検診を受けるのがおすすめです。
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかを調べます。細胞診と併せて受けておくと安心です。
子宮内膜の細胞をとって調べる検査。40歳以上で肥満気味の人や出産をしたことがない人、月経不順の人は特に受けたほうがいいでしょう。
問診とマンモグラフィ、超音波(エコー)検査が一般的。乳がんは一生涯で9人に1人はかかるということがわかっているので、女性はぜひ受けるようにしましょう。
クラミジア感染症や淋病などの性感染症は、最近では自覚症状がないことが多く、知らないうちに感染していることも。お互いのためにもパートナーとともに受けておくのがおすすめです。
【要精密検査】がなければ安心
検査結果の数値は一定しているわけではなく、項目によっては日々変動するものもあります。例えば血液検査のうち、血糖や中性脂肪などは、検査する時間帯や、検査の数日前~直前までの食事内容によって変動することがあります。1回の検査ではあくまでもそのときの状態しかわからないので、大事なのはその結果をゴールとしてとらえないこと。よい数値を継続できるように健康的な生活を送るように心がけましょう。
異常はないので心配ない
親や親族がかかった病気に、必ずその子どももかかるというわけではありません。ただ、家族は遺伝的背景だけでなく、生活習慣が似てくることもあり、がんなどの3大疾病や高血圧、糖尿病などはほかの人よりも発症リスクが高くなる傾向にあります。家族の既往歴は、自身の将来のリスクを知る手がかりとなりますので、知っておいたほうがいいでしょう。家族と離れて暮らしている場合は、お正月やお盆などの帰省の際に、お互いの健康状態について話すようにするとよいでしょう。
めまいが続いているので、専門医の診察を受けた
違和感があればすぐ病院に受診を
めまいに限らず身体に違和感があれば、健康診断の結果にとらわれず専門医を受診しましょう。前述の通り健康診断の結果が【異常なし】であったとしても、自分の感覚を信じてください。専門医にかかるときは症状にかかわらず、過去3年分などの健康診断の結果を持っていくと、医師も最適な検査内容を提案しやすく、その人の生活スタイルにあったアドバイスもできるのでおすすめです。
重大な病気の可能性が高い
専門の医療機関に相談を
健康診断の結果で【要精密検査】の項目が出ても、検査を受けない人が多くいます。精密検査によって病気の宣告をされることを恐れているのかもしれませんね。【要精密検査】の結果が出たからと言って、病気と診断されたわけではありません。怖がらずに検査を受けて、医師のアドバイスなどに耳を傾け、その後の生活改善を心がけるようにしてください。
コレステロール値が上がった。治療が必要?
女性のほとんどがLDLは上昇するもの
血中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪は、加齢によって徐々に増加していくことがわかっています。LDLコレステロール基準値は、140mg/dL未満が理想とされていますが、それは一般の成人男性での数値。閉経後、エストロゲンの分泌が低下すると、余分なLDLコレステロールを肝臓にとり込む働きが低下し数値が上がります。女性であれば仕方ないことなのです。ただ、LDL高値は、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。数値や生活習慣によっては治療が必要になる場合がありますので医師に相談を。
LDLコレステロールの女性の新基準値
日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が150万人の調査結果から導き出した基準範囲
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