風邪は季節を問わず一年中罹る病気ですが、「たかが風邪くらい」と無理をしていませんか?症状が軽いとはいえ、昔から「風邪は万病のもと」と言われるくらい、他の病気に転じてしまう可能性もあるのです。今回は感染症が専門の岸田直樹先生に、風邪をひいたときの正しい対処法についてうかがいました。
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風邪とインフルエンザ、新型コロナ
風邪、インフルエンザ、新型コロナ。どれも初期症状は似ていて区別がつきにくいです。中でも、一週間経っても改善せず、むしろ悪化するのは新型コロナの特徴。高熱が続く、味やにおいがわからないなど、おかしいと思ったらすぐに検査を受けましょう。また、重症化しないためにもワクチンの接種をおすすめします。冬に流行するインフルエンザの予防接種もお忘れなく。
風邪
鼻や喉などの上気道にウイルスが感染した状態。原因となるウイルスは200種類以上と言われていますが、どれも症状は軽微です。主な症状は喉の痛み、咳、くしゃみ、鼻水など。症状の進行はゆるく、通常は微熱(37〜38度)で済みます。
インフルエンザ
突然の高熱(38度以上)と、倦怠感や関節痛などの全身症状が特徴。症状が出てから12〜24時間以降に検査を行うと、感染の診断ができます。多くは4〜6日程度で症状が治まると言われています。
新型コロナ
発熱や咳、痰、喉の痛みなどが数日間持続し、鼻詰まりがないのに味がわかりにくい、においがしない、などの症状が出ることがあります。潜伏期間が2~14日間と長く、症状を自覚しないうちに広めてしまう可能性があります。
仕事を休めない。
望ましい。
風邪は軽微な症状が多く「風邪くらいで休めない」という考え方の人が多いのは事実ですが、無理をしてこじらせてしまったり、作業効率が下がることを考えると、自分にとっても社会にとってもいいことではありません。また、ウイルスによる感染症なので、外出すると人にうつすことになりかねません。症状が治まるまで家で安静にしましょう。
すぐに病院に
行くほうがよい。
自然に治るので、
自宅で安静に
するのが一番。
残念ながら風邪の原因となるウイルスに対する薬はなく、病院に行っても風邪自体が治るわけではありません。通常の風邪であれば数日で自然に治ると言われており、体調が悪い中、病院で長時間待つことでの身体への負担や、風邪を人にうつしてしまうリスクを考えると、自宅で安静にしているのが一番です。ただし、高熱が続く、味覚や嗅覚の異常がある、関節痛や筋肉痛がある、などといった場合は、風邪ではない可能性がありますので、早めに検査を受けましょう。周りにコロナ重症化のリスクが高い人がいる場合も同様です。
早く治る。
症状を和らげるもの。
一般的に風邪薬と呼ばれる総合感冒薬は、発熱・咳・鼻水などの風邪によって起こるさまざまな症状を和らげるもの。それは処方薬も市販薬も同じです。大事なことは、ウイルスと戦うための“自分の免疫力を下げない”こと。まずは睡眠をきちんととってゆっくり休むことを心がけましょう。その上で、身体の調子を整える漢方薬や、つらい症状を和らげる総合感冒薬を利用してください。
風邪をひきやすい。
ひきやすくなる
ということはない。
寒い場所にいたり薄着でいたりすると、風邪をひくと言う人もいますが、身体が冷えることと風邪は関係がありません。ではなぜ冬に風邪をひく人が多いのかというと、冬は気温や湿度が低く、ウイルスが増えやすい環境だからです。また、ウイルスはヒトからヒトに感染するので、年末年始やクリスマスなど、人が集まる機会が多いのも要因のひとつ。部屋の湿度を保ち、できるだけ人混みを避けることが大切です。
無理してでも
食べて栄養を摂る。
食べられるもの
だけでよい。
風邪をひいて調子が悪くなると、食欲がなくなるもの。無理をして食べる必要はありません。胃腸の調子もくずれていますから、無理に食べるとかえって消化されにくくなります。スープなどの食べやすいものや、経口補水液を摂るようにしてください。
風邪予防をしている。
マスクが重要。
つけ方にも注意を!
風邪予防に最も効果があるのは手洗いです。マスクは予防はもちろん、周りにウイルスを撒き散らさないためにも重要です。つけ方は顔にマスクをフィットさせることが大事。隙間があるとそこからウイルスが侵入してきます。不織布マスクなら、ワイヤーを鼻の形にフィットさせ、隙間なく鼻と口を覆ってください。また、新型コロナやインフルエンザの予防接種をしている場合でも、自身がブレイクスルー感染(ワクチン接種後の感染)したり、人に感染させてしまう可能性がありますから、必要に応じてマスクをしましょう。
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