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知っトク!?健康スキル

正しい歯磨きは、食べた後すぐ?時間をおいてから?(2/2)

掲載号 vol.11

記事内容

読了時間:7分

歯磨きにまつわる 疑問Q&A

どうして虫歯になるの?
口の中の細菌は、グルカンというねばねばの物質を作り出し、歯にへばり付いて取れにくい塊となります。これが歯垢(プラーク)で、虫歯菌はその中でエサとなる糖を取り込んで酸を出し、歯垢内を酸性にします。酸性になることでエナメル質を溶かして穴をあける。これが虫歯です。歯垢中には歯周病菌も含まれていて歯肉炎や歯周炎の原因にもなります。
歯磨きは1日の回数を多くするほうがいいの?
正しい磨き方を身に付ければ多い方がいいかもしれませんが、推奨されているのは毎食後です。朝食後、昼食後、夕食後はきちんと歯磨きをする習慣を付けましょう。特に夕食後(就寝前)の歯磨きは重要。就寝中は口の中を自浄する効果のあるだ液の分泌が少なくなるので、細菌は増殖しやすい環境になります。その前に歯磨きで徹底的にお掃除しましょう。
食後どのタイミングで歯を磨けばいいの?
歯のエナメル質は、酸性の食物(糖分、フルーツ、酒類、酢など)によって口の中が酸性になると一時的に柔らかくもろい状態になります。この状態は、だ液に含まれるミネラル成分によって約30分で再石灰化されますが、それまでに硬いものでこするとエナメル質を傷付ける恐れがあります。きちんと歯磨きが習慣となっている人は、歯そのものを守ることを優先して食後30分経ってから歯磨きするほうがいいでしょう。ただし歯磨きの習慣が十分でない子どもや、歯周病があるなど口中に細菌がたくさんいる状態の人は、まずは毎食後すぐの歯磨き習慣を付けることから始めましょう。
正しい歯の磨き方は?
正しい歯磨きとは、歯ブラシでブラッシングするだけでなく「ブラッシング+フロッシング(糸ようじ)」をすることです。細菌の塊である歯垢(プラーク)がへばり付くのは、歯と歯ぐきの間、歯と歯の間、詰め物と自分の歯の間の3か所です。歯と歯の間はブラシが届かないので、フロスを使って念入りに。1日3回が難しいという人は、就寝前にていねいにフロスをしましょう。
ゴシゴシとブラッシングしたほうがいい?
力を入れてゴシゴシ磨くと、歯ぐきが後退してエナメル質の下の象牙質が露出する原因になります。歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に垂直に当てて、力を入れずに細かく微振動させる磨き方が、歯垢(プラーク)を除去するのに効果的。1か所(歯2本分ごと)10回3セット、細かく動かして毎日のケアを。
歯磨き粉を使ったほうがいいの?
一般的に歯磨き粉には研磨剤が含まれていますが、これらの研磨剤は歯を極度に削ってしまうことはなく、お茶やワインなどによる歯表面の着色汚れを防ぐ働きがあります。またフッ素が配合されているものは虫歯の予防には効果的です。知覚過敏専用の歯磨き粉も改善効果があります。自分に合ったものを選びましょう。
歯垢(プラーク)や歯石って歯磨きで取り除ける?
毎日ていねいに歯磨きをしていても歯垢を完全に取り除くことは難しく、残った歯垢は数日経つと硬い歯石になります。歯石は、歯磨き&フロスでは簡単に取り除けないため、クリニックなどでケアしてもらいましょう。虫歯がなくても3か月〜半年に1度、検診を受けることで虫歯・歯周病を防ぐことにもつながります。
ガムを歯磨きの代わりに使っていいの?
ガムは歯磨きの代わりにはなりませんが、だ液の分必を促進する効果があります。また最近では、口内細菌のエサにならない糖分(キシリトール、エリスリトール、マルチトールほか)を含み、さらにリン酸カルシウムなど歯の再石灰化を促す成分を配合しているガムもあります。再石灰化が行われる食後30分の間に噛むとより効果的です。

虫歯は遺伝しない!?

「お母さんの虫歯が遺伝して、私も虫歯がいっぱい」という話をときどき聞きますが、実は虫歯は"遺伝"はしないのです。私たちはみんな生まれた時、口の中は無菌の状態です。その後の日常生活から、口の中に細菌(良い菌も悪い菌も)が入ります。一番身近な家族を通じて細菌が入ることが多いので口の中の細菌構成は、家族と似ています。また必然的に食生活、歯磨きの習慣など生活行動も家族と似ているため、虫歯の多い親から虫歯が遺伝するように見えるのです。

まずは一度自分の歯磨き習慣を見直し、改善してみませんか?

遺伝のように見える虫歯をなくすためには、正しい歯磨き習慣を身に付け、口の中を清潔にすることが大切なのです。虫歯が遺伝するとあきらめていたあなたも、まずは歯磨き習慣を見直して虫歯ゼロを目指しましょう。


この先生に聞きました!

田上順次先生

田上順次先生

たがみ じゅんじ

東京医科歯科大学 理事・副学長

1955年生まれ。1980年東京医科歯科大学卒業、1984年同大学院修了。1994年奥羽大学歯学部教授、1995年東京医科歯科大学大学院教授、2005年歯学部長を経て、現在、同大学院 医歯学総合研究科 う蝕制御学分野 教授。『保存修復学21』『う蝕学-チェアサイドの予防と回復のプログラム』ほか専門著書多数

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