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なるほど!食の知識

甘さも栄養も樹熟でアップ!真っ赤なトマト畑を訪ねて(1/2)

掲載号 WEB限定

vol.7

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[今回の野菜トマト] トマト(茨城県 筑西市)

食卓でひときわ目を引く夏野菜といえば真っ赤なトマト。夏に不足しがちなカリウムを多く含み、がんや老化の予防に役立つ抗酸化作用のあるリコピンも含むことから、ますます注目されています。そんなトマトの全国有数の生産量を誇るのが茨城県筑西(ちくせい)市。トマトが樹で赤く色づいてから収穫する「樹熟」にこだわるトマト畑へ行ってきました。

記事内容

読了時間:5分

甘さも栄養も樹熟でアップ!真っ赤なトマト畑を訪ねて

常識を変えた、樹熟のトマトを届ける大地

茨城県の西部に位置する筑西市。山に囲まれ気流が留まることで、筑西市は安定した気温を保っているといいます。また、しっかりとした昼夜の寒暖差で野菜の甘さを引き出す環境にあります。そもそも筑西市でのトマト作りは、スイカ畑の後作からはじまりました。トマトが風土に適していたこと、そして「桃太郎シリーズ」と呼ばれる品種の登場によって、地域のトマト作りはどんどん広がっていきました。大量出荷のトマトは流通に耐えられるように、トマトが青いうちに収穫するのが常識でした。ですが、常識を覆す「樹熟」のトマトが実現したのは首都圏への良好なアクセスがあってこそ。その筑西市で父親の後を継ぎ会社員から農家になり、今では「東部とまと選果場部会」の部会長を務める深谷さんにお話を伺いました。

手をかけた分だけ、トマトは応えてくれる

「毎年が挑戦。作れるのは年に1度だけだからね」と、トマト作りを語る深谷さん。ここではスイカの収穫後にトマトの苗が畑に植えられます。その後3ヶ月ほどで収穫を迎えますが、育つ間に何をするかで味も収穫量も全く変わってしまいます。今、トマトの樹がどんな状態か。何が必要なのか。水、肥料、あるいは何もしないことが一番のこともあるといいます。その判断基準は、失敗を繰り返して、研ぎ澄ましていくしかない。たった1日、対応が遅れるとトマトはダメになってしまうこともあります。苗を植えてから収穫までの3ヶ月、仕事への熱意は年を重ねるごとに強くなっていく。と、わが子のようにトマトを育てる深谷さんは言います。

東部とまと選果場部会 部会長 深谷さん

部会はトマト作りの仲間ですが、ライバルでもある

筑西市には、誰もに一目を置かれるベテラン農家がいます。「彼は畑を見ると、農家の腕が分かる」と深谷さんは言います。しかし、その人は誰かに作り方を教えることは滅多になく、深谷さんも教えてもらうことが難しかったそうです。トマト作りの基本はJAの職員に教えてもらえます。ただ、上手に育てるには、基本だけでは足りません。もっとおいしく、もっと多く、トマトを実らせるために、みんなが試行錯誤して自分の育て方を確立しています。

仕事の結果が収入に直結する農家は、経営者でもあります。だから自分が積み重ねてきたことを、簡単に教えたりしない。それは深谷さんも同じ。それでも、かつて自分が教えてもらった時のように、良いトマトを作りたい一心で何度も訪ねてくる人には、ついつい教えてしまうそうです。

ブランド化への挑戦、もっと甘いトマトをつくる

筑西市にトマトの選別や出荷を担う選果場ができてから、農家の方々はより栽培に専念できるようになりました。筑西市でトマトの収穫量は増え、地域を代表する生産品になっています。ただ、選果にもれたトマトはどうなるのか。形が不揃いでも、おいしいトマトはたくさんあります。そんなトマトをどうにか生かしたいと、立ち上がったのは、なんと地元の高校生。トマトの甘さを存分に味わえる「完熟トマトジャム」が作られました。直売所などで販売され、人気の地元産品となっています。

部会の作るトマトは、樹に成ったまま熟す「樹熟」のトマト。市場に出ている多くのトマトは、青い実のまま収穫されますが、熟してから収穫する方が甘くなるからだといいます。でも、その良さは食べる人にあまり知られていないといいます。だからこそ「次はトマトのブランド化」と深谷さんは言います。ブランドとして広く知ってもらうために必要なのはもっと甘いこと。その糖度を実現するために、トマト作りに新たな工夫を次々と取り入れられています。甘いトマトといえば、筑西市産。その日を目指して、毎年、熱い3ヶ月がはじまります。

取材協力

生産者 山中さん(茨城県神栖市)

生産者 
深谷さん(茨城県筑西市)

お話を聞いた深谷さんは、ゴルフ上手の代名詞「シングルプレイヤー」でもあります。部会の農家の方やJAの方との親睦が目的のゴルフでも真剣勝負。トマト作りも、好きなことも、上手くなりたいという熱意は同じです。

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