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なるほど!食の知識

夏が旬の緑黄色野菜!栄養の宝庫、ピーマン畑を訪ねて(1/2)

掲載号 WEB限定

vol.8

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[今回の野菜ピーマン] ピーマン(茨城県 神栖市)

健康野菜として人気が高まる、夏の緑黄色野菜「ピーマン」。ビタミンやカロテンを豊富に含み栄養価が高いため、夏バテ予防をはじめ、美肌作りや老化防止に役立つ野菜です。そんな夏の健康を支える野菜、ピーマンで生産量日本一を誇るのが茨城県。その中でも多くの生産量を占める神栖(かみす)市で、ピーマン作りの秘密を探ってきました。

記事内容

読了時間:5分

夏が旬の緑黄色野菜!栄養の宝庫、ピーマン畑を訪ねて

温暖な気候と砂地は、ピーマンにピッタリの風土

茨城県東部にある神栖市は海と川に挟まれた温暖な気候の地域。この一帯は、かつて海だったため、土壌が砂地という特色があります。実はその砂地こそが、春と秋の年2回、ピーマンを栽培できる秘密。野菜は同じ場所で作り続けると、土にその野菜の害となる病原菌や虫が多くなってしまいます。ですが、砂地は水はけが良いことで病原菌や害虫が住みつきにくいので、ずっと同じ場所でピーマンを作り続けることができます。その神栖市で長年ピーマンを作り続ける、山中さんにお話をお聞きしました。

自らのピーマン作りで、新たな道を切り開く

元々はJAの営農指導員という山中さん。当時、神栖市ではお米が盛んに作られていました。「地元をもっと元気したかった」と、山中さん。そこで神栖市の風土にあったピーマン作りの強化を考えました。しかし、農家の方々にはなかなか聞き入れてもらえませんでした。それならば、まずは自分で作ることを決心。100本の栽培からはじまったピーマン畑は、農家として1人前に認められるという約1300本を育む1反(約1,000m²)にまで広げていきました。畑は平日に父親、JAが休みの土日に山中さんが管理したといいます。農家と同じ土俵に立つことで話を聞いてくださり、ピーマン作りに加わる方も増えていったといいます。

水はけが良い砂丘地帯を生かし、
ピーマンのビニールハウスや水稲が広がる神栖市

その後も山中さんはピーマン畑を広げていき、両親、夫婦で力を合わせたい想いからJAを退職され就農されました。元JAの指導員が作るピーマン。どんなピーマンを作るのかと、農家の方々から注目が集まっていました。「育て方次第で農薬は減らせる」と、山中さんは言います。苗を植えてからの1ヶ月がピーマン作りの最も重要な時期。しっかりと土に根を張り健康的に育ったピーマンは、過酷な環境や病気にも負けないといいます。農薬はできる限り減らす、自然に近いピーマン作りが山中さん流です。

20年以上に渡って栽培状況の記録を録り続け、ピーマン作りの課題を解決してきた山中さん

地域の農業を変え、日本一を支えた選果場

「ひとりで農業はできない」と、山中さんは言います。神栖市のピーマン作りは農家をはじめ、JA職員や普及センターなどたくさんの人が携わっています。神栖市では近年、地域の方々にずっと待ち望まれていたピーマンの選果場が設立されました。選果場はピーマンの選別や箱詰め、出荷などを行う施設。それまでは農家がしていた仕事を分業にすることで、農家は畑の管理に専念することができ、品質や収穫量をアップすることが可能になりました。選果場は茨城県のピーマン生産量日本一の立役者でもあります。また、夜遅くまで働いていた農家の労働時間も変わったことで親の畑を継ぐ子どもが増え、地域が活気づいたといいます。さらに、神栖市へ移り住み、ピーマン作りをはじめる方もいるそうです。山中さんの地元を元気にしたいという想いからはじまったピーマン作り。それは、着実にカタチになっているようです。

手作業や機械の重量計測で選別し、年間約8t(平成26年)ものピーマンが出荷される選果場

日本一の産地だからこそ、難題に挑む。

日本一のピーマン出荷量を誇る茨城県。今、「JAしおさいの青果物生産部会」で作られるピーマンのほとんどが「みおぎピーマン」と呼ばれる品種です。みおぎピーマンの特長は緑の濃さと果肉の柔らかさ、ピーマンが苦手な子どもも食べやすい苦みの少なさ。その品質が市場に求められたことから、神栖市で作るピーマンの品種統一がはじまりました。ただ、品質の良さの反面、みおぎピーマンには病害虫に弱く育てにくいため、部会で反対の声もあったといいます。その難題を解決するため、天敵昆虫や養液土耕栽培などを導入。みんなが同じように育てられるように、JAの営農指導員が足しげく畑に通うのもこの部会ならではの取り組み。その努力があり、部会の農家全員が農薬の少ない特別栽培の認証を茨城県から受けています。山中さんが目指した自然に近いピーマン作りは、今や地域全体に広がっています。次の目標は「部会だけでなく神栖市全体でみおぎピーマンを作り、もっと多くの人に本当においしいピーマンを知ってほしい」と、山中さん。ピーマンと言えば神栖市のみおぎピーマンと呼ばれる日も近いのではないでしょうか。

取材協力

生産者 山中さん(茨城県神栖市)

生産者 
山中さん(茨城県神栖市)

ピーマン作りをはじめてから、休む日が少ないという山中さん。多くの時間を畑仕事に費やす傍ら、時間を作って、してみたいことは、自分の手で思い描いた庭を作ること。理想を求めて自分で作り上げていきたい想いは、趣味であってもピーマン作りと同じようです。

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