専門家に相談&セルフケアで長い人生を、快適なものに!
清潔を保つこと。基本もとても大切。
先生のお話を聞きながら、心の中で「帰ったら、婦人科に予約を入れよう」と決めていた筆者。ちょっと気にかかる症状を相談しようと思ったのです。特集冒頭でもお伝えしたように、筆者がここまでの更年期を上手く乗り切ってこられたのは、かかりつけの婦人科があったから。やはり心強い存在です。
「先にお話しした、1万人を対象にした大規模調査では、約45%がGSM症状があると回答しています。今は人生100年だと言われています。その長い人生を快適に暮らすためにも、婦人科、泌尿器科を受診してほしいと思います。ホルモン療法だけでなく、保湿剤や潤滑剤などホルモンを使わない療法もあります。症状を医師に相談してみてください」
日常のセルフケアも、とても大切だそうです。
「それだけでGSM症状が軽減されることもあります。まずはデリケート部位を清潔に保つこと。排泄のあと、やさしく拭き取る。下着が汚れたら早めに取り替える。尿漏れの不安があれば吸水パッドを使ってもよいでしょう。清潔は基本。とても大事です」
デリケート部位の洗浄は、身体を洗う石けんではなく、専用のものを使うとよいそうです。
「一般的な石けんやボディソープはデリケート部位には洗浄力が強過ぎるので、必要な菌まで洗い流してしまいます。専用の洗浄剤は、デリケート部位に合わせた弱酸性。中には保湿成分の入った製品もあります。腟内まで洗う必要はありません。外陰部をやさしく洗うようにしてください」
筆者も、数年前から専用の洗浄剤を使っています。今は種類も豊富で、ドラッグストアでも手に入ります。まずはここから変えてみるのもいいかもしれません。
GSM症状がある人の多くは、
婦人科・泌尿器科を受診!
GSM対策に役立つ機能性食品も。
「そして、腟内フローラを整えること。腟内フローラはほぼラクトバチルス属の乳酸菌が占めているのがよい状態。ラクトバチルス属の乳酸菌摂取が、腟内フローラを整えるのに役立ちます。ヨーグルトで摂るのもいいでしょう。乳酸菌はさまざまなものがありますので、ラクトバチルス属の乳酸菌を選んでください。サプリメントで摂取するのもよい方法です。腟内フローラを良好に保つことが期待できる、機能性表示食品のサプリメントもあります。日常のケアにとり入れてみてください」
GSMは何もしなければ改善しないもの。さらに症状が増えていくこともあるそうです。でも、医療機関の受診やセルフケアで改善を望めるのです。更年期以降も、私たちの人生は長く続いていきます。不快な症状をガマンしたり、あきらめたりしないで。自分の人生を大切にするために、自分の身体もきちんと手をかけ、大切にしていきましょう。
GSMを予防・改善。私たちに できること。
医療機関を受診する。
症状に合わせ、婦人科・泌尿器科の受診を。ホルモン療法、非ホルモン療法などがあり、自身の希望も含め、医師に相談しましょう。
専用のソープで洗浄。
一般的な石けんやボディソープではなく、デリケート部位専用のソープで洗いましょう。ドラッグストアでも販売されています。
清潔を保つ。
デリケート部位は清潔に。排泄後はやさしくていねいに拭き取り、下着が汚れたらはき替えて。吸水パッドも適度に取り替えましょう。
ラクトバチルス属乳酸菌を摂る。
腟内フローラを整えるために、ラクトバチルス属乳酸菌を摂って。ヨーグルトのほか、サプリメントもあります。

太田 博明 先生
おおた ひろあき
川崎医科大学 産婦人科学
特任教授
川崎医科大学 総合医療センター
産婦人科 特任部長