大好きなアイドルや俳優、キャラクターなど、“推し(おし)”を応援する活動、推し活。ある家電メーカーの調査によると、約5人にひとりがやっているのだとか。推し活をしている人たちは、楽しそうで、元気。イキイキとしています。そこに健康に生きるヒントがあるのではないか? と、fufufu編集部では、本特集を企画。取材を進めると、推し活には、単に健康という言葉を超えたウェルビーイング(よい状態)につながる力があるとわかったのです。推し活になぜ、そんな効果があるのでしょうか。それを知れば、よりよく生きる方法が見つかるかもしれません。
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あの人がイキイキしているワケ
病気があったとしても心身がよい状態であること
「この人、イキイキしているなぁ~」。友人や知人の推し活の話を聞くたび、うっとりとそう思う筆者。推しの魅力や、コンサートや作品の素晴らしさ。そういった話はもちろん、推し活によって、“今の私”がとても充実しているんだ! と熱心に語る姿に、こちらも胸が高鳴ってしまいます。
本誌連載『私の運動時間』に登場した、おかぴぃ、ちーこ、ちーに会ったときも同じ感覚がありました。推しとの出会いをきっかけに、ちーこはダンスを始めました。ちーは、推し活が筋トレのモチベーションになり、おかぴぃは、大病を経験しながら心身ともに元気です。推し活は、きっと心と身体を健康にするのだろうと考え、本誌編集部はリサーチを開始。その中で予防医学研究者の石川善樹先生にお話をうかがうと、推し活は、心身の健康だけでなく【ウェルビーイング】につながるとのこと。ウェルビーイングとは、直訳すると“よい状態”という意味です。
「その言葉が日本で使われ始めたのは数年前。新しい言葉のようですが、実は昔からあったものです。今から76年前の1948年に、WHO(世界保健機関)は憲章前文に[健康とは、単に疾病がない状態ではなく、肉体的・精神的・社会的にウェルビーイング(よい状態)である]と定義しています。単に病気や障害がないということではなく、それがあったとしても心と身体、そして社会的なつながりがよい状態であれば、健康だということ。ウェルビーイングは、心身の健康や幸せを超えたところにあるものなのです」
自分がよいと思えば、それがウェルビーイング
石川先生によると、ウェルビーイングは、70年以上前と比べ、少し変化してきているそうです。
「ウェルビーイングには、大きく【客観的ウェルビーイング】と【主観的ウェルビーイング】があります。学歴や収入や資産など、数値的基準によって測れるものが客観的ウェルビーイング。対して主観的ウェルビーイングは、自分自身の認識や感覚によって見えてくるものです。基準があるものではないので、自分がよい状態だと思えば、ウェルビーイング。実に多様で、必ずしも学歴や年収、資産などが関係するわけではありません。これからの時代は、この主観的ウェルビーイングを高めることが重要とされています」
先生によると、[満足]と[幸福]のふたつがそろえば、おおむねウェルビーイングだと考えられているのだそうです。満ち足りていて、幸せ。推し活をしている友人・知人の“イキイキ”は、ウェルビーイングなのだろうと筆者は思いました。推し活が、ウェルビーイングにつながる理由。それがわかると、あなたのウェルビーイングのヒントになるかもしれません。