目を大切にすることは脳と心を大切にすること
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目を大切にすることは脳と心を大切にすること
デスクワーク中、遠くを見ることも休憩に
今の見えづらさの原因が、加齢と目の酷使だけではないかもしれないと感じた筆者。まずはパソコンとスマートフォンの使い方を見直そうと決意しました。パソコンでの作業は、適度に休憩をとる。スマートフォンとは適度な距離を保つ、などを心がけるつもりです。
「厚生労働省のガイドラインでは、デジタル機器での作業で1時間に10~15分の小休止を、としています。難しいかもしれませんが、目や脳を疲れさせてしまうとかえって仕事の効率が悪くなるとも言えます。休憩時間をとれるよう上手に工夫しましょう」
目を疲れさせないために、時々遠くを見るようにする。昔から言われているこの方法もよいそうです。遠くを見るときは水晶体を厚くする、目を寄せるといった調節をしていない状態なので、目が休まると先生。
「デスクワークの途中で、部屋の中のできるだけ遠いところに視線を動かすだけで目を休めることになります。さらにおすすめしたいのが【きょろきょろ運動】です。外出時に周囲をきょろきょろと見渡して、いろいろなものを見つけるという運動です。通勤や買い物、散歩中に景色を見てみましょう。季節ごとの花を探したり、雲の形からどんなものを想像するか考えたり、何か課題をもってきょろきょろすると脳を使うことにもなり、効果的です」
さらに、心の健康を保つことも大切です。
「不安やイライラを溜め込まないよう、親しい人に愚痴を聞いてもらったり、悩みに応じて適切な相談相手を見つけておくのもいいでしょう。趣味の時間を楽しむことや、適度な運動も心の健康に役立ちます。やりたくないこと、できないこと、苦しいことを無理にやるのはよくありません。きっぱりやめる勇気も大切です」
自分の身体を知る。それが健康への第一歩
目と脳を十分に休め、心の状態をよくしておく。それでも目の不調が改善しない場合は、神経眼科や心療眼科を受診するという選択肢もあります。
「病気はさまざまな要因が絡んでいる場合が多いものです。それは目も同じです。神経眼科、心療眼科は抱えている心身の疾患や服用している薬の影響も考えます。目の病気だから関係ないと考えず、自分がどんな薬を飲んでいるのか、過去にどんな病気があったか管理をしておきましょう。また、自分がどんな症状なのか、何に困っているのか、何を解決したいのかをよく考え、自分の言葉で伝えられるようにしておくことも大事です。まぶしい、痛いなどの感覚は数値化できないものだからこそ、患者の言葉は医師にとって重要なのです」
この言葉に筆者はハッとしました。医者にかかればなんとかなると思っていたからです。自分の身体を管理し、状態を伝えられるようにする。これは神経眼科、心療眼科だけでなく、どの病院にかかるときでも同じだと言えます。
「五感による知覚のうち、視覚が80~90%近くを占めています。私たちはほぼ視覚を使って生活をしているということ。ですから目に不調が起こるとかなり不便になってしまいます。目はとても大切です。だからこそ、脳と心も大切にすることを忘れないでください」
“見え方”の悩みや不安を
サポートしてくれる
『目と心の健康相談室』
病院で解決できない、相談できる環境にないなど、見え方の悩みや不安を解消できない人に寄り添うNPO団体『目と心の健康相談室』。若倉先生が副理事長を務める機関で、原因不明の目の不調に詳しい医師と看護師が相談に乗ってくれます。相談は電話、メール、面談などで受け付けています。
※相談には費用がかかります。ウェブサイトは「目と心」で検索を
NPO『目と心の健康相談室』
〈問合わせ・申し込み〉
☎・FAX/042-719-6235
(電話は、月、水、木、金曜日 9:00~12:00、13:00~17:00)
メール/metokokoro@gmail.com
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