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知っトク!?健康スキル

太るだけ、じゃない!“運動不足”で起きる不調と解消法(3/4)

掲載号 vol.49

“じっとしてる”と得られない!病気を防ぐ、ある物質の力

運動が身体にいい。その理由はホルモンにある!?

じっとしていると、筋肉や血管に異所性脂肪が溜まって、硬化が進んでしまう原因に。それに加えて、多くの病気を抑制すると考えられている、ある物質の恩恵を受けられない可能性があります。

「その物質とは、マイオカインというホルモンです。ギリシャ語で、マイオ(myo)は【筋】、カイン(kine)は【作動物質】という意味で、筋肉から分泌されています。2000年代に入って世界中で研究が進められ、現在では機能があるとわかったマイオカインは約30種類。その多くが、筋肉を動かすことで分泌されるものです」

“運動が身体にいい”とはよく知られていますが、実は何が健康に作用しているのかわからない部分も多くありました。しかし今、研究が進み、運動による健康効果はマイオカインの力が大きいのではないかと注目されています。

「心臓や胃、腸などもホルモンを分泌し、さまざまな臓器が相互に情報を伝え合うネットワークを形成していることがわかりました。この“臓器間ネットワーク”は身体の恒常性を維持しようとするシステムだと考えられています。筋肉もそのネットワークの中にあり、マイオカインは、ほかの臓器へのメッセンジャーの役割を果たしています」

病気の抑制に関係する代表的なマイオカインは、イリシンやスパーク、IL-6などがあります。例えばスパークは、大腸がんのリスクを下げる働きがあるとされています。初期の大腸がんで、ガン化した細胞を自死に追い込むことが報告されています。これは、スパークががん細胞に「成長するな」というメッセージを送っているのです。

筋肉から分泌される
マイオカインは
全身に影響
筋肉から分泌されるマイオカイン

「私が注目しているのはイリシンです。2012年に、ハーバード大学医学部の研究で脂肪を溜め込む白色脂肪細胞を、脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞に変える作用があることがわかりました。また脳に作用することもわかっています。記憶を司る【海馬】の神経細胞を活性させることから、認知症予防にもつながると考えられています。私たちは、イリシンが動脈硬化の改善にも関係があると見て研究を進めています」

加齢によって増える悪いマイオカインも!

このように病気の抑制が期待されているマイオカインですが、実は健康を損なうことにつながるものもあります。

「ひとつはC1qというマイオカインです。加齢によって分泌される量が増え、筋肉を線維化させる原因になっています。じっとしているとマイオカインの恩恵を受けられない上、加齢によっても筋肉の質が低下し、よいマイオカインが分泌されにくくなると言えます。加齢は避けられませんが、身体を動かすことはできます。悪いマイオカインを増やさず、よいマイオカインを増やすことを目指しましょう」

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