“不要不急の外出を控える”ことで、身体を動かす機会はかなり減少しています。運動不足になると、やはり体重の増加を心配してしまいますが、困ることは実はそれだけではありません。家でじっとしている。それだけで身体にさまざまな影響があることが明らかになってきました。
太るだけ、じゃないんです!“じっとしてる”がよくないワケ
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太るだけ、じゃないんです!“じっとしてる”がよくないワケ
じっとしていると身体が硬くなっていく!?
長く会えていなかった友人と、久しぶりに食事をすることになった筆者。会うなり「コロナ太りしちゃって」と笑顔で言う友人に「同じく~」と笑いながら返答しました。そんな風にコロナ太りを報告し合うような場面、あなたも経験ありませんか? 自宅で仕事をするようになり、食品や日用品を気軽にネットで注文。映画や演劇、コンサートも配信で楽しむ……。さまざまなことを家でできるようになり、私たちは明らかに動く機会が減りました。太りやすくなる環境であることは間違いありません。ただ、家でじっとしているのは、太ることだけが問題ではないそうです。
「日本人を対象にした疫学調査で、身体不活動、つまりじっとしていることが、喫煙、高血圧に次ぐ、死因につながる三番目の危険因子(感染症を除く)だと報告されています」
そう話すのは、運動療法のスペシャリストである、立命館大学の家光素行先生。じっとしている、それだけのことが死のリスクを高めているということ。それは、身体の中のさまざまな臓器が“硬くなっていく”ことがひとつの理由なのだそうです。
「身体不活動によって硬くなるものとして、まず筋肉が挙げられます。それは身体の柔軟性が失われるという状態で現れることもあります。前屈ができないなど“身体が硬くなった”と感じることはありませんか?それは筋肉が硬くなっているサインでもあるのです。身体が硬いことにそれほど不便を感じていないかもしれませんが、身体の柔軟性は、実は体力の一部。柔らかければ、ものが落ちたときにかがむことなく拾うことができますが、硬い場合はそうはいきません。動かせる範囲が制限されるため、無駄な動きが増えてしまうのです」
そうなると、ますます動こうという気持ちが薄れてしまうかもしれません。
手がつま先に
届きますか?
身体の硬さをチェック!
上のイラストのように、長座体前屈でつま先に手が届きますか? 届かなければ身体が硬い人だと言えます。家光先生の研究で、身体が硬い人はそうでない人に比べて動脈硬化が進んでいることがわかっています。
じっとしていることに慣れてはいけない!
「座っている時間が長い人は、動脈硬化が進みやすくなることもわかっています。じっとしていることは、動脈硬化になるための努力をしているようなもの。私はこのコロナの影響は、将来、動脈硬化がもとになる心筋梗塞や脳梗塞の増加、という形で現れるのではないかと考えています」
2年半前、緊急事態宣言という初めての経験で運動不足を痛感し、身体を動かさねば!と思い立った人が増えたように思います。でも、そのとき始めた運動は、習慣になっているでしょうか?家で過ごすことが日常になってしまった今だからこそ、“じっとしてる”ことの影響を考えてみましょう。