誤解4:難聴は、避けられない。
⇒『難聴にならない人もいる。予防が大事』
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誤解4:難聴は、避けられない。
⇒『難聴にならない人もいる。予防が大事』
難聴の約60%は予防することができる!
大きな音、加齢をはじめ、さまざまな原因がある難聴。遺伝もそのひとつです。
「約40%が遺伝的なものが絡んでいると考えられています。残りの約60%は後天的な要因。つまり多くの難聴は、生まれてからの環境によって悪くなってしまっているのです」
加齢性難聴は、75歳以上で70%の人がなるとされています(上の表を参照)。が、言い換えれば、30%の人は、聞こえに困っていないということ。加齢性難聴は、決して避けられないものではありません。
「例えば肌のシミも、視力が低下する目の病気・白内障も、年齢を重ねれば現れやすくなります。ただ、シミが少ない人もいますし、白内障になっていない人もいます。そういった人たちは、原因のひとつである、紫外線ダメージの対策ができていた可能性が高い。難聴の原因は、まずは大きな音です。できるだけ耳に負担をかけないことが難聴の予防法のひとつ。音楽などを聴くときは、音量を抑える、長時間聴くことを避ける。カラオケも利用時間を決めるなど、耳を休ませる工夫を」
生活習慣病予防が耳の健康にもつながる。
音による耳の負担を減らすことに加え、動脈硬化を防ぐことも、実は難聴の予防になります。意外かもしれませんが、難聴は血流の悪さも影響します。
「人は血管から老いる、と言われています。耳も同じで、動脈硬化は加齢性難聴の大きなリスク。血管の柔軟性が低下すると、血流量の変化の影響を受けやすく、活性酸素が急激に増加してしまいます。この活性酸素によって、有毛細胞がダメージを受けるのです。糖尿病や高血圧も、血管に負担をかけ動脈硬化を進行させます。加齢性難聴は耳の病気ではありますが、生活習慣病のその先にある病気だと言えます」
血管をすこやかに保つことは、生活習慣病の予防に、そして難聴の予防にもなるのです。
「予防法は、バランスのとれた食事、運動など本当に基本的なこと。EPAやDHAは動脈硬化を防ぐ効果がありますから、それらを多く含む魚は摂ったほうがいいでしょう。活性酸素を除去する力の高い、ポリフェノールを含む食品もいいでしょう。サプリメントなら、コエンザイムQ10やアルファリポ酸がいいというデータがあります。これは動物実験でのデータですが、ヒトにも有効かもしれません。もちろん運動も大切。長時間の負荷の高い運動である必要はないので、普段から身体を動かすことを考えましょう。料理をする、掃除をするなどの家事もよい運動になります。加えて、カロリー制限をすると難聴になりにくいというデータもあります。カロリー制限によって、老化の進行を遅らせる長寿遺伝子が活性化するからだと考えられます。食事を整え、運動をすること。喫煙など悪い習慣をやめること。生活習慣病を防げば、加齢性難聴を含めた、老化に伴う疾患になりにくくなると言えます」
高齢になっても聴力が衰えない人がいることも事実。耳に負担をかけないこと、食事や運動など健康に役立つこと。それらを実践していれば、聞こえに問題のない、豊かな未来につながると言えそうです。
血管の健康を保つためにできること
- 1役立つ成分を摂る
- ・血液をサラサラにするEPAやDHAを。魚に多く含まれています。
- ・活性酸素を除去する力が高い、コエンザイムQ10や、アルファリポ酸も◎。サプリメントが便利。
- 2運動は一番の処方箋
- ・激しい運動でなくてもOK。座ったままの時間を減らすことも大切。
- ・何歳からでも遅いことはありません。今から始めて継続を!
- 3タバコをやめる
- ・活性酸素を大量に発生させて血管へのダメージに。タバコはやめる努力を。
- 4食べ過ぎない
- ・適度なカロリー制限は活性酸素を減らし、 生活習慣病の予防・改善にもつながります。