幸福は、自分で作ることができる。信じられないような話かもしれませんが、幸福を学問として明らかにする研究が進み、その基本メカニズムがわかってきました。多様な形がある幸福。でもメカニズムはシンプル。誰もが、自分で幸福をコントロールすることができるのです。
そのメカニズムが、明らかに!自分で作れる、幸福。
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そのメカニズムが、明らかに!自分で作れる、幸福。
ハッピーとラッキーは実はまったく別のもの。
あなたにとっての幸福とはどんなものでしょうか?健康であること、自分の家を持つこと、愛する人と暮らすこと……??その答えは、さまざまにあると思います。では、周囲の人を思い浮かべてみて、どんな人が幸せだと感じますか? 幸福そうな人と、そうでない人がいるように感じませんか? 「幸福は簡単にはつかめないもの」「選ばれた人だけがなれるもの、幸運な人だけがなれるもの」。そんな風に感じているかもしれません。しかし、幸福は、幸運な人だけがなれるものではないのだそうです。
「確かに以前は、幸福と幸運は同じだと考えられていました。英語で幸せを意味するHAPPY。その語源となるHAP は、偶然や運という意味。いいことが、運よく起こることがHAPPYだったのです。その言葉が生まれたときは、幸せは運のいい人がなるものだと考えられていたのでしょう。ところが、今は違います。幸福と幸運は別のものだとわかっているのです」
今回お話をうかがったのは、慶應義塾大学の前野隆司先生。「人の役に立つことをしたい」と、エンジニアからキャリアチェンジし、幸福学を切り拓いた先生です。
幸福学とは、統計学に基づいて、アンケートや実験の結果から、どういう人が幸せなのかを明らかにしていく学問。人の幸せを科学的に解明するという新しい学問領域です。
幸せになるためには理解と実践が重要。
幸運な人だけのものではない幸福。では、幸せな人とそうでない人には、どんな違いがあるのでしょうか。
「最近の幸福学の研究で、“幸せになるための行動”をしていると、その結果幸せはやってくる、逆にその行動をしていなければ幸福は来ないという風に、行動との関係がどんどんわかってきました」
幸福になるためには、そのための行動が大切だということ。つまり、行動次第で誰にでも幸福はやってくる。自分で幸福を作れるということなのです。
「研究を進める中で、『幸せって何だと思いますか?』といろいろな方にお聞きする機会があります。おもしろいことに、その答えは百人百様。十分なお金があること、平穏で何もないこと、楽しいイベントがたくさんあることなど、実に多様です。幸福の形は多様。ただ、人間の脳が幸せと感じるための基本メカニズムは単純だと、私は考えています」
幸福になるためには、まずその基本メカニズムを理解することが大事なのだそうです。
「ダイエットも、気合だけでは成功しませんよね。成功するためには、ダイエットのメカニズムを理解することが大事です。筋肉が増えれば代謝が増える。急に痩せるとリバウンドをする。余った糖質は脂肪に変わるなど、システムとしてダイエットの全体像を理解すれば成功にかなり近づきます。そして、実践することもきわめて重要です。実際に身体を動かさないと、体重を落とすことはできません。基本メカニズムを理解した上で実践するからこそ、成功できる。それは幸福もダイエットも同じです。知識と実践がないと、ずっと不幸なまま、ということもあるのです」