身体によいとはわかっていても、不足しがちな食物繊維。なぜ摂るのが難しいのでしょうか? もしかしたら、食物繊維のことを“知っているつもり”になっているのかもしれません。まずはそのチカラを知ることから始めましょう。
知っているようで実は知らなかった食物繊維。
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知っているようで実は知らなかった食物繊維。
知らないうちに摂る機会を逃している! ?
食物繊維は、便秘解消に効果があり、美と健康に大切なものであることは誰もが知っていること。それなのに日本人の食物繊維摂取量は慢性的に不足していると言われていて、厚生労働省が推奨する成人女性の1日の摂取量18gにあと4~5g足りないのが現状です。それはなぜなのでしょうか。
「意外かもしれませんが、食物繊維が不足しているのは、不足するような偏った食事内容になっているからです。気づかないうちに摂れない状況を作っているんですよ」と語るのは、日本食物繊維学会で長年研究を続ける奥 恒行先生。
食物繊維というと、ごぼうやキャベツなどのシャキシャキとした繊維質の野菜をまず思い浮かべる人が多いと思いますが、実は野菜だけでなく、私たちの身の周りのさまざまな植物性の食品に含まれているのです。
β-グルカンやセルロース、ペクチン……fufufu読者なら、きっと一度は耳にしたことがありますよね?これらはすべて食物繊維。β-グルカンはきのこや麦に、セルロースは米や豆にと、こんなに馴染みのある身近な食品にも含まれているんです。
「戦後日本人の食生活が欧米化し、米を食べる量も機会も少なくなったことで、食物繊維も摂れなくなってきているんです。炭水化物を摂りたくないからと、ご飯を控えたりしていませんか?体重を減らしたいという思いで米を避けるだけでも、食物繊維を摂る機会を逃してしまっています」
和食は米以外にも豆や海藻、野菜がまんべんなく摂れる食物繊維の宝庫。それを食べない日が続くと不足に傾いてしまいます。栄養バランスの面だけでなく、食物繊維の量の面で見ても、食の欧米化による影響は大きいようです。さらに米は、玄米から食物繊維などを含む外皮を除いて精製した白米が一般的になり、これも摂取量減少の理由のひとつと言えます。
食物繊維というと、まだまだ便通の改善や肌荒れ予防のためのもの……というイメージが強いですが、実はほかにも身体にとっていい働きがたくさん。第1特集でご紹介したように腸内細菌の餌になることで腸内環境が整えられたり、さまざまな病気を予防する効果も認められており、現在では5大栄養素に次ぐ大切なものとして“第6の栄養素”と呼ばれてもいるのです。
知っているようで意外と知らないことがたくさんありそうな食物繊維。今一度、見直してみる必要がありそうです。