女性は100%避けられない骨の衰え。
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女性は100%避けられない骨の衰え。
すらりと伸びた美しい背筋。それを支えているのは、健康な骨。“年齢は背中に出る”と言われることもあり骨の健康を保ちたいものですが女性は、骨の病気・骨粗しょう症のリスクがとても高いのが事実。それはなぜなのでしょうか。
身長が低くなる。その原因は背骨の骨折!
年をとると身長が低くなるという話、聞いたことありませんか?冗談のように思われるかもしれませんが、実はこれは本当の話。驚くべきことに、骨折によって身長が低くなるのです。
「それは脊椎、いわゆる背骨の骨折が大きな要因です。骨が押しつぶされるようにして変形し、背中が前かがみになって身長が低くなってしまうのです。この骨折の怖いところは、半分以上の例でほとんど痛みがなく、気づきにくいこと。また、痛みの有無によらず、ひとつの骨折をきっかけに次々に背骨の骨折を引き起こすことも多くあります。年齢を重ねると、それほど骨がもろくなってしまうのです」
背骨の骨折は主に、骨がスカスカになる病気、骨粗しょう症が原因で起こります。骨には“変化することのないカルシウムの塊”というようなイメージがあるかもしれませんが、実は常に生まれ変わりを続けている生きた器官。古い骨を壊す【骨吸収】と、新しい骨を作る【骨形成】を繰り返し、約7年で全身の骨の半分が新しい骨に変わると言われています。骨粗しょう症は、骨を壊すスピードに、骨を作るスピードが追いつかなくなるなどの理由で発症します。
「骨粗しょう症は、圧倒的に女性に多い病気。男性の約3倍です。なぜかというと、女性ホルモンが関係しているからです。女性ホルモン・エストロゲンには、古い骨を壊す【骨吸収】を穏やかにして、骨の健康を維持する働きがあります。しかし閉経前後からエストロゲンの分泌が減少するため、【骨吸収】が異常に早くなり【骨形成】が追いつかなくなってしまうのです」
備えるべき期間に、骨の蓄えを失っている?
骨の強度の指標である骨密度は、閉経前後から急激に減少。これは女性である以上、避けられないことなのです。
「骨粗しょう症の発症率は、50歳後半から急激に増加しますが、決して若い人に関係のない病気ではありません。骨密度の低下に備えて、骨を蓄えておかねばならないのです。女性の骨量は、20歳前後の骨量と閉経後の影響だけで決まると思ってください。骨量が最も多くなる20歳前後までにできるだけ増やし、閉経後はできるだけ減らさないようにすることが大事です」
女性であることは、それだけで骨粗しょう症のリスクがあるということ。それに加えて、偏食や食事を控えるダイエット、運動不足、喫煙、アルコールの多飲などの習慣があると、閉経を迎える前にも骨量を減らしていくことになります。
「骨粗しょう症を発症すると、背中や腰、脚のつけ根、手首、肩を骨折しやすくなります。しかもそれは、つまずいて転んだとか、少し重い物を持ったという、実に簡単なことで起こってしまいます。50代になってちょっとしたことで骨折したら、若い頃とは違うタイプの骨折だと考える必要があります。骨粗しょう症が発症して、かなり骨がもろくなっていると考えられます」
若い頃の骨折は、時間が経てば治るものですが、年齢を重ねてからの骨折は、寝たきりに直結することもあるほど怖いもの。それが認知症につながっていくこともあります。骨折が、それまでの生活や人生を激変させてしまうことを、考えておかねばなりません。