加齢や生活習慣病が原因コラーゲン架橋の劣化で骨がもろくなる……。
読了時間:15分
加齢や生活習慣病が原因コラーゲン架橋の劣化で骨がもろくなる……。
加齢によるエストロゲンの減少でコラーゲンが少なくなる以外にも、不規則・不摂生なライフスタイルに起因する 「酸化」や「糖化」、そして「ホモシステインの増加」などがコラーゲンの悪玉架橋を発生させ、骨質を劣化させる原因となります。
「骨質」が劣化すると骨密度が高くても骨折!?
骨にとって重要な存在であるコラーゲンも加齢やエストロゲンの低下によって減少し、劣化していきます。
「骨中のコラーゲン線維同士をつなぐビス=架橋が劣化すると、骨が本来持つ“しなり”が悪くなり、まるでチョークがポキッと折れるように、ちょっとした衝撃にも耐えられず骨折しやすくなります」と石島先生。骨密度の値が標準以上なのに、小さなアクシデントで骨折してしまうというようなケースは、まさに骨質の劣化の一例です。
「酸化」と「糖化」でコラーゲンに“錆びたビス”が増加。
また、ストレスや飲酒、喫煙、不規則な生活などが原因で体内に活性酸素が発生すると、そこに「悪玉架橋」と呼ばれる“錆びたビス”が無秩序に発生し、増加してしまうことがあります。この悪玉架橋の数が増えると、一見骨が硬く頑丈になったように見えますが、逆に柔軟性が奪われ、しなりに対する許容範囲が狭くなって、骨折しやすくなります。
その他にも、「糖化」という変化も悪玉架橋を増加させる原因になります。体内で糖とタンパク質が結びつく糖化が骨でも起こると、悪玉架橋が増加してコラーゲン線維が硬くなり、骨のしなりが失われてしまいます。
ビタミンB群不足によって増加する「ホモシステイン」。
さらに、血中に「ホモシステイン」という物質が極端に多い場合も、悪玉架橋を増加させます。ホモシステインとは、タンパク質が代謝される過程で体内に生じるメチオニンというアミノ酸の一種。健康な時はすぐに代謝されますが、ビタミンB6、B12、葉酸などの栄養素が不足した状態だと、ホモシステインが過剰に増加し、コラーゲン架橋に悪玉架橋を発生させます。ちなみに、実は「日本人のおよそ4人に1人はホモシステインが増加しやすい体質」だとも言われているのです。
「もともと、骨中には善玉架橋とともに少量の悪玉架橋が存在しているのですが、大切なのは、悪玉架橋を極端に増やさないような日常生活を送ること。それが骨質を高め、ひいては骨粗しょう症の予防につながります」。