女性では60代で10人に1人、70代で4人に1人、80代以上になると何と約半数が骨粗しょう症と診断されており、その数は今や約1300万人とも言われます。一見すると高齢者だけの症状のように思われがちですが、実は誰もがその“予備軍”といっても過言ではありません。最近の研究からわかってきた新たな「骨の真実」をもとに、丈夫で健康な骨を作り、維持する方法についてご紹介しましょう。
頭蓋骨の老化がシワやたるみの原因に!?
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頭蓋骨の老化がシワやたるみの原因に!?
{骨の真実。1} 頭蓋骨の老化がシワやたるみの原因に!?
頭蓋骨の骨粗しょう症が顔の印象を老けさせる。
鏡を見るたび気になり始めた、フェイスラインのたるみ、目尻や額のシワ。その原因は、主に加齢による肌の保湿力の低下、コラーゲンの減少といった「肌の老化」であることは知られていますが、実はこれ以外にも「頭蓋骨の老化」が大きく関係しているということが、アメリカの美容医療雑誌『Plastic and Reconstructive Surgery Journal 2011』で発表されています。
その研究では、各年代の男女の頭蓋骨をMRIで撮影して比べてみると、高齢になるほど頭蓋骨が下方向へと崩れ、眼窩(がんか)という眼球の入る穴が拡大している……という結果が報告されています。これらの変化は、頭蓋骨の骨量が減少してしまう、つまり頭蓋骨が痩せてもろくなる「骨粗しょう症」が原因であると言われています。頭蓋骨が痩せると、頭皮がたるんでフェイスラインがぼやけ、あごが痩せて口元のシワが増える、ほうれい線が濃くなる等の変化が現れます。
顔の印象を老けさせるシワやたるみが、骨の劣化による骨粗しょう症が原因だったとは、今まで私たちが考えもしなかった事実です。しかも男性に比べて女性の方が何と約3倍も骨粗しょう症の患者数が多いというデータがあり、これを見逃すことはできません。
女性にとって避けられない加齢による骨密度の減少。
さまざまな理由から骨がもろくなり、容易に骨折しやすくなる病気・骨粗しょう症。
ではなぜ、男性より女性の方が骨粗しょう症になりやすいのでしょうか?「女性は閉経を迎えると女性ホルモンの一種・エストロゲンの量が急激に減少し始めます。それがお肌と同じく骨にも影響するんですよ」とは、順天堂大学医学部整形外科の石島旨章先生。
「頭蓋骨を含む人間の全身の骨は、成長期を終えて大人になると、その後は変わらないと思われがちです。しかし、実際は半年周期でターンオーバーを繰り返して新しい骨へと生まれ変わっています。新しい骨を作る骨芽細胞と、古い骨を壊す破骨細胞が相互にバランスよく働き、古くなった骨が壊れて、そこに新しい骨が作られる仕組みになっているんです」
ところが閉経によってエストロゲンが減少し始めると、破骨細胞が活性化され、骨を壊すスピードが加速します。骨芽細胞はそれを補うため懸命に新しい骨を作ろうとしますが、そのスピードには追い付けず、結果として骨量が減っていく……つまり、「骨密度」が低下し始めるのです。そしてこの状態がさらに進むと、骨の中に鬆(す)が入ったようにスカスカの状態になってもろくなる、「骨粗しょう症」になります。
私たち女性にとって非常にショッキングなのは、「加齢による骨密度の低下は、女性なら100%避けられない」という事実。医学の世界で100%と言い切れることはそうないだけに、今から注意しておく必要がありそうです。
さらに、最近の研究でもうひとつ重要なことがわかってきました。「骨が丈夫で健康な状態であるためには、骨密度だけでなく、『骨質』も大切な要素。そしてその骨質に重要なのが、実はコラーゲンなのです」。骨密度ならぬ骨質とは? そして、なぜ骨質にとってコラーゲンが大切なのでしょうか?