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内から外から美容ケア

顔のたるみの意外な原因!!今、知っておきたい骨の真実。

掲載号 vol.11

女性では60代で10人に1人、70代で4人に1人、80代以上になると何と約半数が骨粗しょう症と診断されており、その数は今や約1300万人とも言われます。一見すると高齢者だけの症状のように思われがちですが、実は誰もがその“予備軍”といっても過言ではありません。最近の研究からわかってきた新たな「骨の真実」をもとに、丈夫で健康な骨を作り、維持する方法についてご紹介しましょう。

記事内容

読了時間:15分

目次

頭蓋骨の老化がシワやたるみの原因に!?

頭蓋骨の骨粗しょう症が顔の印象を老けさせる。

鏡を見るたび気になり始めた、フェイスラインのたるみ、目尻や額のシワ。その原因は、主に加齢による肌の保湿力の低下、コラーゲンの減少といった「肌の老化」であることは知られていますが、実はこれ以外にも「頭蓋骨の老化」が大きく関係しているということが、アメリカの美容医療雑誌『Plastic and Reconstructive Surgery Journal 2011』で発表されています。

その研究では、各年代の男女の頭蓋骨をMRIで撮影して比べてみると、高齢になるほど頭蓋骨が下方向へと崩れ、眼窩(がんか)という眼球の入る穴が拡大している……という結果が報告されています。これらの変化は、頭蓋骨の骨量が減少してしまう、つまり頭蓋骨が痩せてもろくなる「骨粗しょう症」が原因であると言われています。頭蓋骨が痩せると、頭皮がたるんでフェイスラインがぼやけ、あごが痩せて口元のシワが増える、ほうれい線が濃くなる等の変化が現れます。

顔の印象を老けさせるシワやたるみが、骨の劣化による骨粗しょう症が原因だったとは、今まで私たちが考えもしなかった事実です。しかも男性に比べて女性の方が何と約3倍も骨粗しょう症の患者数が多いというデータがあり、これを見逃すことはできません。

女性にとって避けられない加齢による骨密度の減少。

さまざまな理由から骨がもろくなり、容易に骨折しやすくなる病気・骨粗しょう症。

ではなぜ、男性より女性の方が骨粗しょう症になりやすいのでしょうか?「女性は閉経を迎えると女性ホルモンの一種・エストロゲンの量が急激に減少し始めます。それがお肌と同じく骨にも影響するんですよ」とは、順天堂大学医学部整形外科の石島旨章先生。

「頭蓋骨を含む人間の全身の骨は、成長期を終えて大人になると、その後は変わらないと思われがちです。しかし、実際は半年周期でターンオーバーを繰り返して新しい骨へと生まれ変わっています。新しい骨を作る骨芽細胞と、古い骨を壊す破骨細胞が相互にバランスよく働き、古くなった骨が壊れて、そこに新しい骨が作られる仕組みになっているんです」

骨はコラーゲン(鉄筋)とカルシウム(コンクリート)で構成され、しなやかさと強度を保っている構造図

ところが閉経によってエストロゲンが減少し始めると、破骨細胞が活性化され、骨を壊すスピードが加速します。骨芽細胞はそれを補うため懸命に新しい骨を作ろうとしますが、そのスピードには追い付けず、結果として骨量が減っていく……つまり、「骨密度」が低下し始めるのです。そしてこの状態がさらに進むと、骨の中に鬆(す)が入ったようにスカスカの状態になってもろくなる、「骨粗しょう症」になります。

私たち女性にとって非常にショッキングなのは、「加齢による骨密度の低下は、女性なら100%避けられない」という事実。医学の世界で100%と言い切れることはそうないだけに、今から注意しておく必要がありそうです。

さらに、最近の研究でもうひとつ重要なことがわかってきました。「骨が丈夫で健康な状態であるためには、骨密度だけでなく、『骨質』も大切な要素。そしてその骨質に重要なのが、実はコラーゲンなのです」。骨密度ならぬ骨質とは? そして、なぜ骨質にとってコラーゲンが大切なのでしょうか?

カルシウムだけじゃない!“強くしなやかな骨”に大切なのはコラーゲン。

骨は単に”硬い”だけでなく、実は木の枝のように“しなる”性質を持っているのをご存知ですか? 硬い骨であること=「骨密度」が高いことに加え、しなやかな骨であること=「骨質」がよいことが、強く健康な骨の必須条件。そんな骨の柔軟性を生み出す重要な存在が、骨中の「コラーゲン」なのです。

骨の約50%はコラーゲンでできている!

骨というと単なるカルシウムの塊のように思いがちですが、実は骨の体積の約50%はコラーゲンでできています。

「骨の構造は、鉄筋コンクリート製の柱に例えられ、鉄筋がコラーゲンでコンクリートがカルシウム。網の目に組まれた鉄筋の間にコンクリートが流し込まれているイメージです」

骨の内部にコラーゲン線維があることで、骨への衝撃を和らげ、骨折を防止するクッションのような役割を果たしています。

「骨質」の良い骨は“しなり”がある。

また、これらのコラーゲン線維は、実際は小さな分子が連なってできています。その分子同士をつなげる”ビス”のような存在は「コラーゲン架橋」と呼ばれ、ビスが分子同士をしっかりとつなぎ止めることで、コラーゲン線維が丈夫になり、骨に”しなり”が生まれます。ところが、その架橋には「善玉」と「悪玉」があり、悪玉架橋が増えると、コラーゲンが劣化してしなりが悪くなり、骨折のリスクが高くなってしまいます。骨のカルシウム量を増やして、骨密度を高めると同時に、コラーゲンとコラーゲン架橋を健康な状態に保ち、「骨質」を高めてこそ、本当の意味での”強い骨”と言えるのです。

「骨の強度の70%は骨密度に、30%は骨質に依存している」と言われるだけに、女性は40代半ばを過ぎたら骨密度をチェックするだけでなく、骨質を劣化させないライフスタイルにも目を向ける必要がありそうです。

加齢やエストロゲン低下により骨密度と骨質が低下し、骨粗しょう症に進行する仕組みの図解

加齢や生活習慣病が原因コラーゲン架橋の劣化で骨がもろくなる……。

加齢によるエストロゲンの減少でコラーゲンが少なくなる以外にも、不規則・不摂生なライフスタイルに起因する 「酸化」や「糖化」、そして「ホモシステインの増加」などがコラーゲンの悪玉架橋を発生させ、骨質を劣化させる原因となります。

「骨質」が劣化すると骨密度が高くても骨折!?

骨にとって重要な存在であるコラーゲンも加齢やエストロゲンの低下によって減少し、劣化していきます。

「骨中のコラーゲン線維同士をつなぐビス=架橋が劣化すると、骨が本来持つ“しなり”が悪くなり、まるでチョークがポキッと折れるように、ちょっとした衝撃にも耐えられず骨折しやすくなります」と石島先生。骨密度の値が標準以上なのに、小さなアクシデントで骨折してしまうというようなケースは、まさに骨質の劣化の一例です。

「酸化」と「糖化」でコラーゲンに“錆びたビス”が増加。

また、ストレスや飲酒、喫煙、不規則な生活などが原因で体内に活性酸素が発生すると、そこに「悪玉架橋」と呼ばれる“錆びたビス”が無秩序に発生し、増加してしまうことがあります。この悪玉架橋の数が増えると、一見骨が硬く頑丈になったように見えますが、逆に柔軟性が奪われ、しなりに対する許容範囲が狭くなって、骨折しやすくなります。

その他にも、「糖化」という変化も悪玉架橋を増加させる原因になります。体内で糖とタンパク質が結びつく糖化が骨でも起こると、悪玉架橋が増加してコラーゲン線維が硬くなり、骨のしなりが失われてしまいます。

ビタミンB群不足によって増加する「ホモシステイン」。

さらに、血中に「ホモシステイン」という物質が極端に多い場合も、悪玉架橋を増加させます。ホモシステインとは、タンパク質が代謝される過程で体内に生じるメチオニンというアミノ酸の一種。健康な時はすぐに代謝されますが、ビタミンB6、B12、葉酸などの栄養素が不足した状態だと、ホモシステインが過剰に増加し、コラーゲン架橋に悪玉架橋を発生させます。ちなみに、実は「日本人のおよそ4人に1人はホモシステインが増加しやすい体質」だとも言われているのです。

「もともと、骨中には善玉架橋とともに少量の悪玉架橋が存在しているのですが、大切なのは、悪玉架橋を極端に増やさないような日常生活を送ること。それが骨質を高め、ひいては骨粗しょう症の予防につながります」。

酸化・糖化・ホモシステイン増加によってコラーゲン架橋が劣化し、骨がもろくなる仕組みの図

意外と簡単にできる!毎日の骨ケア・テクニック。

「酸化」や「糖化」、「ホモシステイン増加」による悪玉架橋の発生を抑えて骨質を劣化させないために。そして未来の元気のために。今から毎日のプチ・エクササイズと食生活の改善を始めましょう。

あなたは大丈夫?|
今は元気!でも、将来あなたの骨は大丈夫?
骨粗しょう症の危険度をチェック!

  • 乳製品や魚が嫌いであまり食べない。
  • お腹がすくと、まずご飯・パンなどの炭水化物から食べてしまう。
  • 喫煙している。
  • アルコールを1日500㎖以上飲む。
  • 仕事や日常生活にストレスを感じている。
  • 過激なダイエットを頻繁に行っている。
  • 年齢は45歳以上だ。
  • 階段よりエスカレーターやエレベーターをよく利用する。
  • 運動はたまにしかしない。
  • 女性で母親が大腿骨頚部骨折をしたことがある、もしくは親類に腰の曲がった人がいる。

上記は骨粗しょう症をまねく可能性のある要因。
Yesが5つ以上ある人は、骨の健康に要注意!

毎日のプチ・エクササイズで骨に適度な負荷をかける。

いつまでも健康な骨を保ち続けるには、日々の生活の中でどんなことに気を付け、何を実践すればいいのでしょうか? 石島先生にアドバイスをいただきました。

「まず、一番に挙げたいのが運動です。運動で骨に適度な負荷をかけることで、骨の代謝がよくなり、骨質も向上します。人間の身体には“怠けぐせ”があり、運動しないとすぐ身体もそれに順応してしまいます」。たとえ普段から極限まで身体を鍛えているスポーツ選手でも、ケガで半年休むと、その間は身体に負荷がかからないため、骨の働きが衰え、回復には意外に時間がかかります。丈夫な骨を維持するためには、継続的に適度な負荷をかけるトレーニングが必要なのです。

そのことからもわかるように、運動の頻度については“週に1度のジム通い”よりも、毎日行う10分程度のプチ・エクササイズの方が効果的なのだそうです。

食生活の改善もポイント。将来を見据えたケアを今から。

こうした日々のエクササイズに加えて、に挙げた食生活の改善も大切な要素です。これらは生活習慣病の予防にもつながるので、まさに一石二鳥といえるでしょう。

骨粗しょう症という病気自体は、痛みなどの症状もなく、生命をおびやかすものではありません。しかし、明らかな自覚症状もないまま進行し、わずかな衝撃でも骨折しやすくなります。そうなると身体が自由に動かないストレスに悩まされるだけでなく、高齢者はそれをきっかけに要介護状態になる人も少なくありません。成長期の子どもの頃から運動面・食事面両方で積極的に骨ケアを行っていくことが理想的ですが、大人になってからでも決して遅くはありません。今後の人生のQOL(生活の質)の向上のためにも、今からライフスタイルを見直してみませんか。

はじめてみよう!骨ケア・テクニック。

care1|毎日プチ・エクササイズ。

骨ケアのためには、日常生活+αの運動がおすすめ。「家事をがんばっている」「1万歩歩いている」という日常の行動にプラスして“負荷を与えるエクササイズ”を行いましょう。最適なのは、ウォーキングやランニングなど、日光浴を兼ねた屋外でのエクササイズ。適度な紫外線を浴びることで、骨を強くするビタミンDが体内で作られます。屋内では全身の骨に負荷がかかるエアロビクスなどの有酸素運動がおすすめ。激しい運動が苦手な人は、体重の移動によって骨に負荷をかけるスクワットやヨガなどを。ちなみに「水中ウォーキングは骨に負荷があまりかからないので、骨の強化にそれほど効果はない」のだとか。

骨に適度な負荷をかけるために片脚でバランスを取る骨ケアエクササイズを行う女性

care2|「骨密度」を上げる栄養素。

骨に必要な栄養素は、サプリメントよりも食事から摂取するほうがよいと言われています。最近ではヨーグルトや牛乳、シリアルなどにそれらのビタミンが添加されているものもあるので、手軽に利用できます。

  • カルシウム……骨を作る(乳製品や小魚、小松菜など)
  • ビタミンD……カルシウムの吸収をよくする(鮭、鰻、さんまなど)
  • ビタミンK……骨コラーゲンを増やす(納豆、卵、ほうれん草など)
  • 葉酸……血と骨を作る(モロヘイヤ、パセリ、ブロッコリーなど)

care3|「骨質」を上げる栄養素。

サプリメントやドリンクなどでコラーゲンを摂取するのもよいのですが、下記の食品からも補うことができます。

  • 大豆イソフラボン……コラーゲンの発生を促す(納豆、豆腐、豆乳など)
  • ビタミンB群……ホモシステインの増加、発生を防ぐ(レバー、モツ類、海藻など)

care4|糖化を防ぐベジタブル・ファースト。

食事の際、野菜など血糖値の上昇を抑制する働きのある食材からいただく「ベジタブル・ファースト」。最近はダイエット法としても注目されています。逆に空腹時に炭水化物や糖類を食べると血糖値が急激に上昇し、体内の活性酸素が増加して糖化を引き起こす原因となるので注意を。

care5|フェイササイズで“顔トレ”。

骨粗しょう症は、身体の骨だけに起こるものではありません。顔の骨や筋肉も動かさなければ老化し、骨密度の低下や骨質の劣化を招き、その結果皮膚のたるみやシワにつながります。“頬を思いっきりふくらます”“舌を口の中で動かす”など顔筋を大きく動かす「フェイササイズ」を取り入れてみましょう。

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この先生に聞きました!

石島旨章先生

石島旨章先生

いしじま むねあき

医学博士 順天堂大学医学部 整形外科 准教授

順天堂大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。米国国立衛生研究所(NIH)等を経て2012年より現職。専門分野である骨粗しょう症や変形性膝関節症の研究に取り組む。日本整形外科学会・日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会・米国骨代謝学会・国際スポートロジー学会等所属

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