「病気にならない身体を作りたい」。昨年からコロナ禍が続いていることもあり、その思いはいっそう強くなったのではないでしょうか。健康作りに“よい食事” は欠かせないもの。ただ、それをわかっていても、忙しい日々の中でなかなか実践できない、ということもあるでしょう。fufufuでは、身体を支えることができる薬膳を、楽に、楽しくとり入れてほしいという思いから、その魅力をお伝えする『楽薬膳』をご紹介します。「薬膳って難しいのでは?」「手に入りにくい食材が必要でしょ?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。今日から作りたくなる、薬膳の魅力を、国際薬膳師・栄養士・野菜ソムリエの溝間さおり先生にお聞きしました。一児の母でもあり、忙しい中でも手軽に作れて実践している薬膳とは。
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薬膳は、身体を変えるいいものだとはなんとなくわかっているんですが、そもそもどんなものなのでしょうか。まず、そこから教えてください。
「漢方医学の考えに基づいて、体質や体調に合わせて健康へ導くための食材をとり入れた料理のことです。健康のための料理というと栄養やカロリーを考えて作ることが多いと思いますが、それとは違って、不調を予防、改善できる力を持った食材をとり入れる、というのが薬膳の考え方です」
作ってみたい気持ちはありますが、そう聞くとやっぱり、ちょっと難しいような気が……。
「難しいと思っている人は、とても多いんです。確かに、本格的なものは簡単ではないのですが、力のある食材をとり入れるということは、そんなに難しくはありません。旬のものを選ぶのもひとつの方法なんですよ」
それは家庭料理でも考えることですね。でも、それが薬膳!?
「私たちは、季節や気候の変化の中で生活をしています。気温や天気などの影響で不調が起こりやすくなることもあります。旬の食材には、季節や気候の変化に対応して、病気にならない身体を作る力があるんです。例えば、夏が旬のトマトやきゅうりには、暑さに負けないよう、身体を冷やす力があります。冬が旬の長ねぎやかぼちゃには、寒さに負けないよう身体を温める力があります。日本でも昔から『旬のものを食べると病気にならない』という考えがありますよね。冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない、とも言われています。薬膳は、そのようにすでに多くの人が実践していることなんですよ」
今はトマトもきゅうりも一年中手に入りますが、身体を冷やさないためには、夏以外は食べないほうがいいのですか?
「生で食べるのはおすすめしませんが、火を通すと身体を冷やす作用は弱まります。蒸す→茹でる→煮る→焼く→炒める→揚げる、の順でその効果が高まります。また、身体を温める食材と組み合わせるのもひとつの方法ですよ」
溝間先生ご自身、薬膳で身体が変わった実感はありますか?
「薬膳に出合う前は、冷えがひどくて、冬になるとしもやけに悩まされていたんです。薬膳を勉強し始めて、それまで水代わりにガブガブ飲んでいたコーヒーを1日1杯にしました。コーヒーは身体を冷やす作用があるからです。冷やすものを控える、温めるものを摂るようにしたら、体温が高くなりました。以前の平熱は36度に届かなかったんですが、今は36度5〜7分。冷えも気にならなくなりましたし、しもやけもできなくなりました。体温が低いと免疫力が弱まると考えられていますから、病気になりにくい身体作りができているのかなと思います。我が家の食事が薬膳中心になって、夫も風邪をひきにくくなったんですよ」
免疫力が高まったように感じています
私も薬膳をとり入れたい!でも、毎日となるとハードルが高い……。
「私も仕事と幼い娘の世話があるので、料理を作る十分な時間がとれません。時短のために、出来合いのお惣菜や冷凍食品なども使っているんですよ」
お惣菜も!?それは意外です
「旬のものを選ぶこと。それができるようになると、自分で作るだけでなく、外食でもテイクアウトでも、今、何を食べればいいかわかるようになります。そうして毎日の食事を考えることで、身体は変わってくると思います。連載では、その季節に起こりやすい不調を予防・改善できる、力を持った食材を紹介していきます。スーパーで手に入るものばかりなので、ぜひ、毎日の食事にとり入れてください」
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『身体を支える力』があるんです