多くの女性が悩まされている気象病。不調とうまくつきあっていくために何をすればいいのでしょうか?気象病に詳しい後山先生にお聞きします。
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関節の痛み
雨が降る前には膝が痛むので明日は雨!とわかります。(71歳・女性)
関節が痛くなるのは、だいたい雨の日です。(50歳・男性)
膝が痛むので予防法があるなら知りたいです。(31歳・女性)
気圧が下がると関節(特に膝)がきしむような気がします。(44歳・女性)
腰痛持ちで気圧が下がると痛みがひどくなるような……。(63歳・女性)
雨の日に関節が痛む。原因は関節包の膨張!?
昨夏にスタートした本連載は、これが最終回です。気象による頭痛・めまい・気分の落ち込みのお話をしてきました。それぞれ反響が大きかったと編集スタッフから聞き、お役に立てたことを嬉しく思っています。
最終回のテーマは関節の痛み。頭痛やめまいほど多くはありませんが、気象の変化による関節の痛みを訴える患者さんは、私のクリニックにもよく来られます。一番多いのは膝の痛みで、階段の昇り降りがつらい、歩く速度が遅くなると言う人がいます。耐えられないほどではないようですが、じわじわと痛んだり、動くと痛んだり……。腰や手指に痛みが出るケースもあります。
この痛みには、【関節包】という関節を覆う袋のようなものが関係します。スムーズな動きをサポートする関節包は、気圧が低くなると膨張。平地より気圧が下がる山上や飛行機でスナック菓子の袋がふくらむのと同じ現象です。関節包が膨張して血管を圧迫すると血流や体液の流れを悪化させる上、周囲の神経を刺激して痛みが現れます。
関節の痛み改善のカギは血液や水分の流れ。
【気(き)】【血(けつ)】【水(すい)】を身体の柱とする漢方医学では、気象による関節の痛みは、血行が悪いこと、体液循環が滞ることが原因だと考えます。それらを改善して痛みを緩和するために、漢方薬をとり入れるのもひとつ。例えば【防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)】。溜まった水分を流すとともに、温めて血管を広げる作用もあると言われています。【桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)】という薬もあり、血行不良を改善してくれるので水分の滞りがない人には服用してもらっています。
ただ、関節の痛みがある人は、まず整形外科でレントゲンを撮るなど骨や関節に異常がないかを調べるようにしてください。問題がないのに痛みが続くようなら、漢方医に相談してみましょう。
普段からストレッチなどの適度な運動や入浴時のマッサージを習慣として、血行を促進することが予防や症状の改善につながります。痛みが出やすい部分とその周辺をマッサージするときは、心臓に向かって流すようにしましょう。サポーターの活用もおすすめします。関節包の膨張を防ぐわけではありませんがサポーターは動きを補助してくれるので、動かしにくい、動くと痛い部分に巻くと楽になりますよ。また、痛むと冷やしがちですが、冷やすと血行が悪くなったり筋肉がこわばったりしますので急性炎症ではない関節の痛みは温めることが基本です。
自律神経を鍛えつつ早めの対策を!
関節の痛みに限らず、すべての気象病のカギとなるのは自律神経の働きです。特に“木この芽めどき時”と言われる三月から四月は、寒暖差や気圧の変動に自律神経の調節が追いつかず、不調を訴える人が多くなります。しばらく顔を見ていなかった患者さんがクリニックを訪れることもしばしば。気象の変化に対応できるよう、普段から自律神経を鍛えることを心がけましょう。その上で、気象病は個性のひとつととらえ、なくすというよりも症状の軽減や予防を意識してみてください。気温差が大きくなりそうだな、雨が降りそうだな、というときは、早めの対策を打ちましょう。自分の個性との上手なつきあい方を見つけて、春という季節を楽しんでくださいね。
【水】を巡らせる防已黄耆湯で関節の痛みを楽に!
防已黄耆湯は、ボウイ、オウギ、ビャクジュツなど水分代謝に働きかける生薬を含みます。むくみや関節の痛みの改善につながる、水を巡らせる力を生み出す漢方処方です。
体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみに。
販売名/ラクリア
上/168錠 第2類医薬品 ¥2,800(税抜)
下/36錠 第2類医薬品 ¥900(税抜)
- まずは整形外科で検査を行い骨や関節に異常がないかを確認。
- 血行促進のために適度な運動とお風呂でのマッサージを習慣に!
- 漢方薬を上手くとり入れて動きを補助するサポーターも活用。
気圧予報で頭痛対策
ウェザーニュース天気痛予報
医師と共同開発。
ユーザーから寄せられた症状報告と、
気圧データの分析で頭痛や関節痛が出やすいタイミングを
市町村単位で予想しています。
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