多くの女性が悩まされている気象病。不調とうまくつきあっていくために何をすればいいのでしょうか?気象病に詳しい後山先生にお聞きします。
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めまい
雨の前には耳鳴り、めまいがして、ひどいときは吐き気も……。(46歳・女性)
低気圧に弱く、船酔いのような状態に。(49歳・女性)
季節の変わり目に、めまいが起こります。(70歳・女性)
春は毎日のようにめまいがして雨の日は特につらい。酔い止めの薬が手放せません!(56歳・女性)
天気のせいなのか?ふわふわした感覚になります。(55歳・女性)
原因も症状もさまざまなめまい。
皆さん、体調はいかがでしょうか?本連載第1回の頭痛のお話に対して、編集部にたくさんのお声が寄せられたと聞きました。やはり、お悩みの方が多いようですね。今回は、頭痛と並び二大気象病と言われる、めまいのお話です。気圧、気温、湿度などの変化によって起こりやすいめまい。台風がくると、気圧が大きく変化するので、台風の多い夏から秋は、私のところへ来られる患者さんも増えます。
ところで、地震が来たときに小さな揺れでも感じる人とまったく感じない人がいるでしょう?耳の奥の内耳(ないじ)には、三半規管や前庭という【平衡感覚のセンサー】があります。その感度が人によって違うため、揺れの感じ方にも差が出るんですよ。センサーが敏感な人は、気圧、気温、湿度などの変化に反応しやすく、それがめまいの原因になるんです。
気象変化によるめまいは、【乗りもの酔いのよう】【雲の上を歩くようにふわふわする】【地面が揺れているように感じる】が特徴。めまいを訴える患者さんにそれを話すと「あぁ、まさにそれですよ!」とおっしゃいます。めまいで気分が悪くなり、吐き気を感じる人、耳鳴りがする人も。めまいといえば、メニエール病が有名ですが、これは【ぐるぐると回転する】【立っていられないほど激しい】のが特徴で、症状の出方がまったく異なります。めまいはね、ちょっと複雑なんです。
原因を探り漢方の力で楽に!
前回、気象病の多くは余分な水分が体内に滞った状態=水毒だというお話をしましたね。めまいも水毒が原因のこともありますが、内耳の血の巡りが悪いことが原因の人もいるんです。漢方医学では【気】(精神的なもの)、【血】(血液循環など)、【水】(体液循環など)が、身体を支える3つの柱と考えます。めまいは、すべてが原因になりうるので、【気】が弱っていて【水】が滞るというように、問題がふたつかかわっている人もいるんです。頭痛より複雑で、どれが原因かによって対処の仕方が変わります。漢方外来などでは、原因を調べた上で合う漢方薬を処方してくれますよ。ひとまず薬局で薬剤師さんに相談してもよいでしょう。気象変化によるめまいに効く代表的な漢方薬は【苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)】【桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)】【五苓散(ごれいさん)】。
また、今のめまいをすぐに抑えたいときは、乗りもの酔い止めの薬も助けになります。ただ、大きな病気が隠れている可能性もあるので、一度は耳鼻科を受診するとよいでしょう。
耳のマッサージなどで普段から予防を!
気象病は自律神経のバランスが悪い状態ですから、めまいのつらい症状を出さないようにするには、普段から自律神経を鍛えることが大事です。今はどこもエアコンが効いているので自律神経が鈍ってしまいがちだけど、暑さや寒さに身体をしっかり対応させましょう。そのためにはやはり、食事、運動、睡眠。そして、規則正しい生活が基本です。加えて、めまいの予防に役立つ耳のマッサージも取り入れてみましょう(詳細は下記参照)。血流がよくなり、耳のセンサーが過剰に反応するのを防ぐことができます。耳が温かくなるまで、1日に2~3回やってみてください。
秋は台風が多くなるものの、何をするにもいい季節です。素敵な秋をお過ごしくださいね。
- 内耳のセンサーが敏感になり過ぎないよう自律神経のバランスを整えて。
- 気象変化よるめまいは原因も症状もさまざま。漢方医、薬剤師に相談するのもおすすめ。
- 病気が隠れている可能性もあるので耳鼻科を受診して!
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