指のつけ根や手首、肘に痛みはありませんか? それは腱鞘炎と呼ばれる疾患の可能性があります。腱鞘炎は手の使い過ぎだけでなく、実は女性ホルモンの低下も大きく関係しているのです。女性の腱鞘炎を研究する、西本華子先生にメカニズムや予防法をうかがいました。
腱鞘炎を予防&改善!マッサージ&ストレッチ〈ばね指・テニス肘・ドケルバン病〉
読了時間:4分
腱鞘炎を予防&改善!マッサージ&ストレッチ〈ばね指・テニス肘・ドケルバン病〉
妊娠期、更年期など、無理をせず安静に。
重いものを持ったときなどに、手首や肘に痛みが走る。指のつけ根が痛み、動かせなくなる……。そんな症状はありませんか? それはもしかしたら腱鞘炎かもしれません。
「腱鞘とは、筋肉と骨をつなぐ腱を包む部分。鞘という字のごとく筒状になっていて、この中を腱が筋肉の動きに合わせて行き来しています。手指を使い過ぎると腱と腱鞘の摩擦の回数が増えますから、腱鞘に傷がつき、炎症が起きてしまう。これが腱鞘炎です」
家事や育児、仕事、スポーツなどで、手指を使い過ぎることが腱鞘炎の原因ですが、女性ホルモンの低下もその原因のひとつになっているのだそうです。
「女性ホルモンのエストロゲンには、腱鞘の炎症を修復する働きがあります。使い過ぎで炎症が起きたとしても、ひどくなる前に修復してくれるのですが、エストロゲンが低下すると修復しきれず、炎症が大きくなって腱鞘炎になってしまうのです。エストロゲンが低下するのは妊娠期、出産後、更年期。また、乳がんの治療中にもエストロゲンが低下します。中でも妊娠期にある女性の20%が腱鞘炎を発症するという報告があります」
妊娠期や出産後は、慌ただしさから特に自分のことを後回しにしてしまいがち。でも、安静にしなければ痛みを治めるのは難しいのだそうです。
「お風呂の目地をブラシなどでごしごし磨いたり、固い食材を包丁できざんだり……。掃除や料理を完璧にしようと考える人ほど、腱鞘炎にかかりやすいようです。エストロゲンが低下する時期は特に、がんばり過ぎずに自分をいたわってあげましょう」