vol.3
[今回の野菜] 白菜(茨城県 八千代町)
本格的な冬のはじまりを迎え、食べたくなるのは、やっぱり冷えた身体を温めてくれるお鍋。寒さで甘味を増す「白菜」は、ビタミンCや食物繊維の宝庫でお鍋や温野菜などの冬の料理に欠かせない野菜です。そこで、今回は、冬が旬の白菜の産地、茨城県の八千代町を訪れました。
白菜にピッタリの風土は、
人と人の心をひとつにしています。
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白菜にピッタリの風土は、
人と人の心をひとつにしています。
八千代町の自然が“冬の旬”を育てる
日本一の白菜生産量を誇る茨城県八千代町。町を見渡すと、いくつもの白菜畑が目に飛び込みます。白菜にとって寒さは甘味を左右する大切なポイント。八千代町ならではの秋から冬にかけての気温の変化は、白菜に甘味を生み出すのにピッタリな環境。訪れたのは収穫を目の前に控えた秋のはじめ。肌寒い気温に納得です。その八千代町で、先代から畑を受け継ぎ、30年を超えて白菜を作りつづける、ベテラン生産者の小竹さんにお話を聞きしました。
人のつながりなしに、白菜づくりは語れない
「日本一は譲れませんから、みんなの意見でよりよくしていく」と、1生産者でありながら、JA常総ひかり八千代地区 秋冬白菜部会部会長も務める小竹さんは言います。部会では120名もの農家が育成の情報を共有して、技術を高め合っています。八千代町では農業の技術を学びたい外国人研修生を積極的に受け入れています。白菜づくりから町が活気づき、町への愛情も深まってか、子どもたちは畑を継ぐことが多いといいます。きっと海の向こうでも、研修を終えた人たちの手によって、白菜畑が広がるだけでなく、町全体が明るく活気づいていくのではないでしょうか。
白菜はわが子のようなものだから
記憶に新しい、今年の記録的な大雨。「一番の大敵は雨、晴天に不作なしってな」と、小竹さん。雨に害虫に、白菜づくりは毎年、前途多難です。だから、日々、土を見つめ、手間暇をかけた畑の管理が欠かせません。冬になると一つひとつ白菜を紐で縛る。これも、寒さから白菜を守るための大切な仕事です。小竹さんの一番の喜びは、畑一面に実った白菜を見たとき。「白菜は、わが子のようなもの」そう話す小竹さんの笑顔に、八千代町の愛情いっぱいの白菜づくりを実感しました。
白菜はもっとおいしくなれる!
小竹さんの夢。それは「新理想」と呼ばれる品種の白菜を、次の時代へ残していくこと。「とにかく甘味が違う。肉厚で柔らかくて、断然旨い。だから残していきたい」と、小竹さん。新理想は育てるのが難しく、作る生産者が減ったといいます。一方で現在、品種改良を重ねる白菜は、新理想の味を目指しているとも聞きます。残していく、新しくしていく。心根にある想いはどちらも、おいしさへのこだわり。もっとおいしい白菜が、私たちの元に届く日は、もうすぐかもしれません。
- まずはカタチ。
鮮度と甘味は色がサインです。 -
今回、お話をお聞きした小竹さんによる、おいしい白菜の見分け方をご紹介。
白菜のカタチは砲弾型が理想、先まで丸みがあって開いてないものが良いそうです。白菜はカットされている場合は、断面の中心部分が盛り上がっていない状態で、底面の切り口は白いものが新鮮です。そして、断面の葉に黄色い部分が多いもの。葉が黄色い部分は柔らかくて甘いため、サラダなどの生食に向いているそうです。選ぶ時の参考にしてみてください。