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知っトク!?健康スキル

疲労の原因は“かくれ酸欠”!?根来先生が教える呼吸チェック方法と改善メソッド(3/3)

掲載号 vol.58

目指すのは深い呼吸!かくれ酸欠改善メソッド

ゆっくり吐く&吸う。自律神経を整えよう

細胞の酸欠を招く、浅い呼吸。それをやめることが不調の改善につながりますが、呼吸は無意識に続けているものだからこそ、やめにくいと言えます。やめる、というよりも意識的な呼吸法をとり入れるとよいでしょう。

「私が提唱している、【4・4・8呼吸法】をとり入れてみてください。息を吐き切った状態から、4秒かけて息を吸い、4秒止めたら8秒かけて息を吐くというものです。浅い呼吸に気づいたときはもちろん、1日の中で何セットかやるとよいでしょう

ゆっくりと息を吸って吐く。【4・4・8呼吸法】をはじめ深い呼吸がよい理由は、過度に二酸化炭素が出ていくのを防ぎ、自律神経を整えることができるからです。

「呼吸は、自律神経に制御されています。自律神経とは、呼吸をはじめ体温や血圧、心拍、消化、代謝などを、自分の意思と関係なく自動的に働かせる神経。それぞれの器官を活動に導く交感神経と、リラックスに導く副交感神経にわかれています。それぞれのバランスがよいと身体はいい状態を保てますが、ストレスが多い現代社会では交感神経が優位になりがち。緊張や不安、イライラなどが表れ、それによっても浅い呼吸になってしまいます。しかし、呼吸は意識的にもできるもの。呼吸法によって自律神経をコントロールすることもできます。深く呼吸をすることで、交感神経が優位な状態から、副交感神経が優位な状態へ変えることができ、栄養と酸素を全身の細胞に届けることができるようになります」

リラックス状態に導く
4・4・8呼吸法

浅い呼吸に気づいたときのほか、1日の中で何度か行いましょう。座った状態でも、立った状態でも、仰向けに寝て行ってもOK。

4・4・8呼吸法_1
  1. 鼻から軽く息を吐いたら、お腹を膨らませながら4秒かけて鼻から息を吸う。お腹が数センチ膨らむようにしっかりと吸い込む
4・4・8呼吸法_2
  1. 4秒呼吸を止める
  2. 8秒かけて、鼻から細く長く息を吐く。お腹を絞るようなイメージで行う。13を4回ほど繰り返す

副交感神経を優位に導くスイッチは、横隔膜にあるそうです。

「横隔膜は肺の下にあるクラゲのような形をした筋肉。そこに、副交感神経のセンサーがあります。深い呼吸で横隔膜をゆっくり緩めるとそのセンサーが敏感に反応し、スムーズに副交感神経が優位な状態に変わり始めます。 横隔膜を動かしやすくするストレッチもとり入れるとよいでしょう」

時間があればこちらも追加を!
横隔膜を動かしやすくする
胸郭(きょうかく)ストレッチ

悪い姿勢を続けていると、肺を囲む部屋のような【胸郭】が閉じ、浅い呼吸に。胸郭をしっかり開くことで横隔膜が動きやすくなり、深い呼吸につながります。4・4・8呼吸法の前にとり入れるとより効果的。

胸郭(きょうかく)ストレッチ_1
  1. 椅子に座り、背筋を伸ばして胸の前で手を組む。ゆっくり息を吐きながら前に腕を伸ばし、同時に骨盤を後傾させる。左右の肩甲骨が開くのを感じながら行う
胸郭(きょうそく)ストレッチ_2
  1. ゆっくり息を吸いながら骨盤を前傾させ、伸ばした腕を胸の下に引き寄せる。左右の肩甲骨が背骨に寄り胸が開くのを感じながら行う。12を5回繰り返す

リラックスだけじゃない。運動することも休息に!

自律神経と密接な関係がある呼吸。呼吸法をとり入れることに加え、自律神経の乱れにつながる生活習慣はないか、見直すことも大事だと先生。

「睡眠不足は、自律神経を乱れさせる大きな要因。日本人は忙しく、睡眠時間を十分にとれていません。睡眠を含め休息はとても大切です。ただ、私が考える休息とは、リラックスすることだけではありません。あまり動かない人は、逆に運動などで身体に負荷をかけることもまた休息なのです。仕事や運動のあとに身体や頭を休めリラックス状態に導くように、デスクワークなどで座っている時間が長く続いたら、適度な運動をとり入れて覚醒に導くことも休息。休息とは交感神経、副交感神経のどちらかに偏り過ぎずバランスをとること。それもまた、細胞の酸欠を防ぐことになるのです」

4・4・8呼吸法は、場所や時間を選ばずともできる方法。そして、休息することも、さまざまな健康法を実践している本誌読者のあなたなら、きっと難しくはないはず。より快適な明日を想像しながら、今日からの過ごし方を変えていきましょう。

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この先生に聞きました!

根来 秀行 先生

根来 秀行 先生

ねごろ ひでゆき

医師・医学博士
ハーバード大学 、
ソルボンヌ大学 医学部客員教授

東京大学 大学院 医学系研究科内科学専攻 博士課程修了。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたる。奈良県立医科大学 医学部客員教授、信州大学特任教授、東京大学客員上級研究員、高野山大学客員教授・評議員、事業構想大学院大学教授を兼任。『ハーバード&ソルボンヌ大学ドクターが教える! 超休息法』(徳間書店)ほか著書多数

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