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疲労の原因は“かくれ酸欠”!?根来先生が教える呼吸チェック方法と改善メソッド(2/3)

掲載号 vol.58

細胞の酸欠を防ぐには、実は、二酸化炭素が重要!

エネルギー作りに不可欠なものは酸素

呼吸の真の目的は、細胞呼吸。それはなぜなのでしょうか? 細胞呼吸の仕組みと、それが重要な理由を教えていただきました。

「先ほど、細胞が酸欠になると、エネルギー不足になる、とお伝えしましたね。細胞呼吸が重要なのは、細胞に届ける酸素が、エネルギー作りに必要だからなのです。体内にとり込まれた酸素は、食事などから摂った栄養素とともに血液の流れに乗り、全身の細胞に届きます。そして、その酸素と栄養素は細胞の中で燃やされてエネルギーが作られます。ご存知のようにエネルギーは生きていく上で必要不可欠。スポーツや運動で身体を動かすときにも、内臓を働かせているときにも使われます。さらに、細胞の修復にも必要。ですから、酸素が届かなくなるとエネルギーが作られにくくなり、だるさや疲れのとれにくさ、集中力の低下などの不調が表れるのです。細胞には呼吸によって常に酸素が送り込まれ、エネルギーが作り出され続けています。数分呼吸が止まっただけで死につながるのは、エネルギーが供給されなくなり、脳や心臓など生きていく上で不可欠な臓器が、働かなくなってしまうからです。呼吸の真の目的は細胞呼吸だという理由は、そこにあるのです」

細胞呼吸に重要なのは実は、二酸化炭素

細胞の酸欠を防ぐために、呼吸で酸素を多く吸い込めばいいのか、と考えてしまった筆者ですが、実は細胞呼吸には、二酸化炭素が重要なのだそうです。

「呼吸で二酸化炭素は排出されますから、二酸化炭素は不要なものと思われるかもしれません。でも細胞呼吸を促すのは、実は二酸化炭素。血液中の酸素は、赤血球のヘモグロビンと結合して細胞へ届けられます。細胞まで到着した際に、ヘモグロビンから酸素を切り離すのが二酸化炭素の役割。それがあってようやく細胞に酸素を引き渡すことができるのです。血中の二酸化炭素濃度が低過ぎると、ヘモグロビンから酸素を切り離しにくくなり、結合したまま再び血液中を漂うことになってしまいます

Check!
二酸化炭素が担うのは、
酸素を切り離す役割
二酸化炭素が担うのは、酸素を切り離す役割

エネルギー作りに必要な酸素は、ヘモグロビンと結合して血液の中を流れ細胞まで届きます。そこで二酸化炭素の出番。ヘモグロビンから酸素を切り離し、細胞が酸素を受けとれる状態にしているのです。二酸化炭素が少なければ、この切り離す作業ができないため、酸素はヘモグロビンと結合したまま、再び血液中をさまようことになります。

浅い呼吸がよくないのは、血中の二酸化炭素濃度が低下し過ぎることになるからだそうです。

「浅い呼吸というのは、吸う、吐くといった回数が多い呼吸だと言い換えられます。一定時間内の呼吸の数が多ければ多いほど、口から呼気として二酸化炭素が出ていってしまいます。それによって細胞が酸欠状態に陥りやすくなるのです。前ページで紹介したブレスホールドタイムテストで30秒息を止められない人は、呼吸が浅いため、日頃から二酸化炭素濃度が低い状態になっている可能性があります。呼吸を止めることで、いつもより高くなった二酸化炭素の濃度に耐え切れず、息を止めていられなくなるわけです。マスクの着用や、パソコン、スマートフォン使用時の前かがみの姿勢のほかに、口呼吸も浅い呼吸になりやすいため、注意が必要です」

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