痛みを和らげるマッサージで、負の連鎖を断ち切る!
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痛みを和らげるマッサージで、負の連鎖を断ち切る!
エストロゲンの減少で関節の変形が加速
へバーデン結節は、仕事や家事で手を酷使する人に多く見られると前ページでお伝えしましたが、中でも水を使うなどで手先が冷えてしまう人に多いそうです。
「指の血管はもともと細い上、冷えると収縮してますます血流が悪くなります。そうすると酸素や骨に必要なカルシウムなどの栄養が届きにくくなるわけです。それも指の変形の原因のひとつです」
40歳以上の女性に多い理由は、女性ホルモン・エストロゲンの低下も関係しています。
「エストロゲンは女性の健康を支えるさまざまな働きがあります。その中のひとつが関節をしなやかに保つこと。更年期を迎え、エストロゲンが低下していくとその恩恵を受けられなくなり、次第に関節が変形していきます。これは、へバーデン結節にならない人も同じです。ですから、もともと痛みやしびれなどがあった人は、そこで加速度的に症状が悪化すると考えられます」
仕事や家事で手を酷使する人、特に手先を冷やしてしまう人。女性に多く、特に40歳以上に多いこと。ただそれは、あくまでも結果であって原因ではないと先生。
「へバーデン結節の原因は、はっきりわかっていません。今なお原因不明の病気です。9割は女性ですが男性もなりますし、30代で発症することも、手を酷使しない人でも発症することがあります。遺伝や体質も関係していますから、性別や年齢、手を使う頻度だけで考えないほうがいい。特徴的に40歳以上の女性、手を酷使する人に多いということです。『私はあまり手を使わないのに、なぜ?』と言う患者さんもいますが、悩まないでほしいなと思います」
指の痛みは、百害あって一利なし!
先生のクリニックでの治療は、痛みをとることから始まります。
「一時的に痛みをとるだけで、根本の治療にはならないのでは?と思われるかもしれませんね。でも、実は痛みをとることはとても重要なんです。痛みは百害あって一利なし。痛みを感じると動かすのがおっくうになるため、筋肉を使う機会が減り、血流が滞ります。そうなると痛みを感じさせる物質が体内に溜まって、さらに痛みが増すという負の連鎖に陥ります。
それを断ち切るために、痛みをとり除くわけです。痛みがなければ指を動かしやすくなり、筋肉や血管がゆるんで血流もよくなります。指を使わずに生活することはできませんし、年齢を止めることもできません。でも、痛みを軽減することはできます。私のクリニックでは、痛みを止める注射などに加えて、患者さんにセルフケアとして10秒神経マッサージをとり入れてもらっています。これで指を動かしやすくなります」
今、へバーデン結節に悩まされているなら、まずは痛みから解放されることから始めましょう。
富永先生が考案!
10秒神経マッサージ
手指の浅いところを通る神経に、10秒間瞬発的な力を加えるマッサージ。痛みを感じにくくなるので、手指を動かしやすくなります。
- 神経ポイントに刺激を加える
- 刺激したシグナル(情報) が脳に伝わる
- 脳から痛みを抑える物質や、痛みのシグナル(情報)が伝わるのを抑える物質が分泌される
- 手指の痛みが和らぐ
両手、全指を行う必要はありません
指の腹ではなく、爪を立てて刺激します。小刻みに揺らしながら、特に痛い箇所を刺激
刺激を脳に送ることが重要。少し痛みがあるが、気持ちよさもある程度で
長過ぎると身体が緊張してしまうので、必ず10秒で。朝と夜の2回行うようにしましょう
手首(親指側)
コップを持つようにして手を少し開くと、親指と人さし指の交差する点の延長線上にうっすらと静脈が走っているのが見えます。その静脈の流れと手首の交差するところから、静脈に沿って3センチ下に神経ポイントがあります。刺激するとグリグリとした感覚を得られるところが正解です。
指の第一関節
第一関節の横ジワのわきにある、ごりっとした部分が神経ポイント。
人さし指のつけ根
人さし指と親指の骨を、もう一方の手で触りながらたどっていき、両方が交わってV字型になる地点を探します。そこから人さし指の骨の際を指先に向かって押していくと、ピリッとした感覚のある場所が神経ポイントです。
手首(小指側)
親指を下に向け、小指側の手首にあるコブのような骨のでっぱりから、肘側に4センチほどの場所が神経ポイント。手首から肘までを4等分し、手首から4分の1あたりが目安です。