閉経前5年、閉経後5年に何が起こる?“嵐のよう”と言われる理由
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閉経前5年、閉経後5年に何が起こる?“嵐のよう”と言われる理由
閉経前5年は、大きなエストロゲンの波が!
性の一生に大きくかかわっている、エストロゲン。いかに重要なものかは、これまで本誌で幾度かお伝えしてきました。前号でとり上げた足のアーチのくずれも、エストロゲンの分泌低下が関係していました。
「エストロゲンには数多くの働きがあり、主にコラーゲンの産生を促して肌や髪の潤いを保つ、骨を丈夫に保つ、血管のしなやかさを保つ、筋肉量を維持する、コレステロール値を下げる、などが挙げられます。エストロゲンは女性の美や健康を守るもの。実にさまざまな働きがあります」
10代でエストロゲンの分泌量が増え、20代で安定。35歳くらいから徐々に減少し、40代になるとさらに減少して更年期を迎えます。
「更年期の10年間に起こる不調のほとんどはエストロゲンの欠乏によるものです。それによって起こることのひとつに、コラーゲンが産生されなくなることが挙げられます。それで肌が乾燥するわけですが、実は、目や口、腟、外陰部などにも乾燥は起こります。全身の乾燥は、更年期の代表的な不調のひとつです」
閉経前5年はエストロゲンの欠乏に加えて、自律神経の乱れも起こります。
「エストロゲンは、脳の視床下部からの指令を受け卵巣で作られます。30代までは、その指令を受けて必要な量のエストロゲンを作ることができますが、40代で卵巣の機能低下が進みエストロゲンを作りにくくなります。しかし、そんな卵巣の変化に視床下部はなかなか気づきません。『足りないからもっと作って!』と指令を出します。卵巣はそれにこたえることができませんから、今度は指令を出し続ける視床下部も混乱して疲弊してきます。
そうなると、視床下部の重要な働きのひとつである自律神経のコントロールが機能しづらくなり、呼吸や体温、消化機能などの調整が上手くできなくなってしまうのです。代表的な更年期症状である、ホットフラッシュ(暑くないのに汗が出るなどの症状)や動悸なども、自律神経の乱れによるものです」
閉経後5年に訪れる、人生初の穏やかなとき
エストロゲンの欠乏と自律神経の乱れ。閉経直前と直後にはそれが同時に押し寄せるのだそう。
「閉経前2年、閉経後の数年間は最も不調が起こりやすくなる時期で、起こりうる不調は200種類あると言われています。ただ、それを過ぎれば安定してきます。閉経後5年は、出血しないだけでもスッキリ。自律神経の乱れも落ち着いてきます。20代から続いていたエストロゲンの波による不調が、閉経後はなくなるわけです。それは人生で初めてと言ってもいいくらい穏やかなとき。年齢的に病気になりやすくはなりますが、今は対処方法が多くありますから、過度に恐れることはありません」
次ページから、先生に閉経前5年、閉経後5年を進むための正しい知識をお聞きします。