剥がれ落ちる耳石がめまいの原因に!
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剥がれ落ちる耳石がめまいの原因に!
リンパ液の中で耳石が揺れ動く!
健康と切り離すことのできない耳石。私たちにとって身近な、ある症状に関係しています。それは、めまいです。
「ひと口にめまいと言っても、さまざまな種類のものがあります。脳に原因がある深刻なものもありますが、多くは耳に原因があるもの。よく知られているメニエール病もそうです。そして、その耳に原因があるめまいで最も多いのが、【良性発作性頭位めまい症】。これは耳石が原因です。めまい専門外来の統計では、すべての年代層で40~50%、60歳以上では67%が良性発作性頭位めまい症なのです」
症状は、頭を動かしたときにぐるぐると回ったように感じたり、ふわふわと揺れるように感じる、というもの。
「何らかのきっかけで耳石が剥がれ、三半規管に入り込むことで起こります。先ほどお話したたように、三半規管にはリンパ液という液体があります。頭を動かして耳石が動くと、液体が波打ち、脳に身体が動いたという情報が伝達されます。それによって、実際には動いていなくても、身体が動いていると判断してしまうのです」
40代以降、特に女性に起こりやすい。
なぜ、耳石が三半規管に入り込んでしまうのか。実は、意外にもシンプルな理由でした。
「あおむけに寝るから、です。耳石の入った袋は三半規管の隣にあり、あおむけで耳石が落ちやすい向きになります。特に入りやすいのは、袋の真下になる後半規管と、外側半規管。後半規管に入った場合は、首を左右にかしげるなどしたときに、外側半規管に入ったときは、振り向くなどしたときに耳石が動いてめまいが起きます。誰かに呼ばれて振り向く、というのはよくある行動ですから、その分めまいが起こりやすくなります。また、入り込む耳石の量によっても症状の強度が違い、多く入れば、ぐるぐるする、少しならふわふわする程度だと言えます」
あおむけになると
耳石が落ちやすい位置に
耳石の剝がれは、特に40代以降に多くなります。
「耳石は新しいものができて、古いものは吸収され、体外に排出されるということを3〜4週間で繰り返しています。剥がれやすくなる理由は、さまざまですが、ひとつにはカルシウム代謝の低下があります。耳石は骨と同様にカルシウムでできています。年齢を重ねると、カルシウム代謝が低下しますから、骨と同じように耳石ももろくなってしまうのです。耳石がもろくなることは、“耳の骨粗しょう症”とも言われています」
耳石が原因のめまいは、特に女性が多く見られます。それには女性ホルモン【エストロゲン】が関係しています。エストロゲンにはカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがありますから、分泌が減少する更年期や閉経後、妊娠中や出産後は耳石が剥がれやすくなります。
「ただ、耳石が三半規管に落ちても、リンパ液の中でだいたい3~4週間で溶けてなくなります。ですから、多くの場合、それに合わせてめまいも収まります。耳石が原因のこのめまいは、それほど怖がる必要はないのです」