家で何も手伝わない、脱いだ服も片付けられない。そんな男性の行動、さらに体型の変化にも、実は男性ホルモン『テストステロン』が関係しています。
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“体型や行動にもテストステロンが関係。
男性に対して、「なぜ、そうなるの?」と疑問に思うことがあるのではないでしょうか。それも、テストステロンの働きがわかれば納得できることが多くあります。まずは、体型の変化。男性は年齢を重ねると、お腹周りが大きくなる傾向にあります。
「テストステロンの主な働きは、筋肉や骨を大きくする、血を作る、動脈硬化を抑える、性欲や精子の形成などがあげられます。内臓脂肪がつくのを抑えるのも、その働きのひとつ。ですから、テストステロンが低下すれば、お腹がぽっこりとしてきます。食べものや運動不足が太る原因だと言われていますが、食事量や運動量が以前と大きく変わらないのに体型が変化した、という場合はテストステロン値の変化が大きいと言えます」
体型のほか、行動にもテストステロンは関係しています。「仲間と鍋料理や、バーベキューをするとき、味つけや焼き加減など男性が仕切り役になることが多いと感じませんか。それはテストステロンの働き、“承認欲求”によるものです。料理の腕前がいいと、認められるための行動です。また、行きつけのお店がある男性も多くいます。女性は新しいお店の開拓に熱心ですが、男性は行きつけのその店に“指定席”まであったりします。それは“縄張り意識”によるもの。自分だけの居場所にこだわっているのです」
テストステロンが多いかどうか。それを、指の長さで推測することができます。人さし指よりも薬指が長ければ、テストステロン値が高い傾向にあるとか。指の長さは、胎児期に浴びたテストステロンの量によって決まると考えられています。薬指にテストステロンの受容体が多くあるため、薬指のほうが長くなるのだそうです。これは男性だけでなく女性にも当てはまります。多くの場合は人さし指のほうが長いのですが、仕事を持っている人、上昇志向の強い人、経営者などは、薬指が長い傾向にあります。
家に帰るだけで、テストステロンは急激に減少する!
「仕事熱心なのに、家にいるときは全然違う」「家で何も手伝ってくれないのはなぜ?」。そんな疑問も、テストステロンの働きを理解することで解決しそうです。
「家に帰ると、テストステロンの量は急激に減少します。外、つまり職場は、獲物を捕る場所として認識していますからテストステロンが高い状態。しかし、家はそれとまったく違います。獲物を捕る場所ではありませんから、戦闘モードにならないのです。なぜ脱いだ服さえ片付けられないのか、女性には理解しがたいと思いますが、テストステロンの減少を考えれば自然なこと。家で何かをしようという発想は、男性には起こりづらいのです」
外に出る、家にいる。それだけでも変化するテストステロン。分泌される量に限りがある女性ホルモン、エストロゲンとは異なる点です。
「テストステロンの分泌量は、かなり個人差があります。統計的には、40代からゆっくり減少する傾向にありますが、例えば、20歳の若者よりもテストステロン値が高い80歳もいます。それは、テストステロンが、加齢よりも生活習慣や環境の影響を受けやすいことが理由です。定年を迎えた男性が元気がなくなると言われるのは、年齢よりも、仕事など家の外での活動が少なくなったからだと考えられます」
簡単に減るが、テストステロンは増やすことも簡単。
テストステロンは、“簡単に増減する”と堀江先生。
「身体の痛みや、強い疲労感、頻尿、集中力・記憶力の低下、イライラや不安、性欲の減退などが現れたら、テストステロンが低下しているかもしれません。獲物を得られないことで充足感がなくなっているのでしょう。外に出ないだけでテストステロンは低下しますが、高めることもまた、簡単なのです」
男性の心と身体の健康のために、できることは多くあります。