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知っトク!?健康スキル

歯があっても、危険!噛めなくなる、本当の理由。(1/5)

掲載号 vol.37

歯があっても、危険!噛めなくなる、本当の理由。歯があっても、危険!噛めなくなる、本当の理由。

いつか歯を失う。自分の歯で噛めなくなる。漠然とそう考えているかもしれません。でも、噛めなくなるのは歯を失ってからとは限りません。噛めないことは、不調や病気にもつながっていきます。 きちんと噛めれば、歯も身体も守れると言えます。今も未来も、ずっと笑顔でいられるように噛めなくなってしまう、本当の理由をお伝えします。

噛むと肥満や認知症、がんの予防も?噛まないとどうなる?

噛めなくなると、顔つきまで変わる。

ものを食べるとき、きちんと噛めていますか?本誌読者ならきっと、「噛めている」と答えられる人が多いと思います。厚生労働省の発表によると【何でも噛んで食べることができる人】*は、40代までは94%以上。50代で86.7%になり、80歳以上では55.1%にまで減少します。これは、歯の本数とも関係していて、【歯が20本以上ある人】の減少につれて、【何でも噛んで食べることができる人】も減少していきます。その数字を知っても、特に驚きはないかもしれません。噛めなくなる理由は、歯を失うことぐらいしかないと感じているからでしょう。でも、そのほかにも、実にさまざまな理由があるのです。

神奈川歯科大学附属病院の小児歯科医、中村朋美先生によると
「ここ10年ほどで、子どもに大きな変化が見られます。歯の本数は正常でも、きちんと噛めていない子どもが実に多い。これは異常な状況だと言えます」

ひとつには、食べものの変化もあります。現代には噛む回数が少なくても飲み込める、“食べやすいもの”があふれています。

咀嚼そしゃく研究の第一人者である、斎藤 滋先生の興味深い調査があります。弥生時代から現代までの食事を再現し、それぞれの時代の咀嚼回数と食事の時間を算出したものです。それによると、卑弥呼が生きた弥生時代の一食の咀嚼回数は3990回。現代は620回と約6分の1に。時間で見ると51分から11分と約5分の1に減っています」

昭和初期でも、咀嚼回数は1420回、時間は22分。現代の食事での咀嚼回数が圧倒的に減っているのです。

「食べやすいものが増えたことで、噛む回数が減っているのは確かですが、“食べ方”も大きな問題。食べ方の変化で、きちんと噛むことができない子どもが増えているのです。20年くらい前と比べて、今の子どもは顎が小さくなっています。それは噛めていないことの現れ。顎が小さくなることで、おでこも目も大きく見えます。それは、テレビ番組などで見る、宇宙人のような極端な顔の形に近い。噛めなくなることは見た目にも影響しますし、もちろん健康にも大きく影響します」

* 平成29年国民健康・栄養調査より

噛まないと得られない数々の健康効果。

噛むことの健康効果は数多くあります。それをわかりやすく伝えるために、学校食事研究会が【ひみこの歯がいーぜ】という標語を作りました(下図を参照)。子どもに向けたものですが、私たち大人も理解を深められるものです。

「ひみこの歯がいーぜ」とは?

「ひみこの歯がいーぜ」とは?

咀嚼回数が多かったであろう卑弥呼は、きっと健康だったという考えから、学校食事研究会によって作られた標語。よく噛むことで得られる健康効果・メリットが表されています。

「ひみこの歯がいーぜ」とは?「ひみこの歯がいーぜ」とは?

「噛めなくなるということは、これらの健康効果を得られなくなるということです。それによって病気につながっていくのです」

噛めない子どもが増えた、食べ方の変化とは?大人にもまた、噛めなくなる意外な理由があります。歯のケアはもちろん大切ですが、それだけでは防げないということが“本当の理由”から見えてくるはずです。

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