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毎日出ないのが「便秘」ではない! 便秘解消に薬は危険?ヨーグルトは効く?(3/4)

掲載号 vol.34

要注意!「便秘」は大きな病気の初期症状かもしれません

便秘が大きな病気の初期症状であることも。

便秘の大きな問題のひとつとして挙げられるのが、別の病気に気づきにくくなること。単なる便秘だと片づけてしまうと、深刻な病気の進行を見過ごしてしまうことにもなってしまいます。

「その代表的な病気が、大腸がんです。ただの便秘だ、と市販薬などで自己流の治療をするうちに大腸がんが進行してしまうこともあります。便秘が原因で大腸がんが発症するのではなく、大腸がんが発症したから便秘になる、ということもあるからです。ほかには橋本病(*1)や、パーキンソン病(*2)でも、初期症状として便秘が現れます」

便秘はありふれたものというイメージがあるため、放置してしまったり、安易に薬で改善すればいいと考えてしまいがち。しかし、それが大きな病気のサインである可能性も忘れてはいけません。

便秘が、別の病気の初期症状として現れている場合もある。便秘が、別の病気の初期症状として現れている場合もある。

「また、薬の使用にも気をつけるべきです。刺激性下剤は便秘の改善に効果的ではありますが、あくまで症状があるときに使う頓用。定期的に服用すると耐性ができ、量を増やさないと効果が出なくなってきます。私が診た中には、1回100錠服用しないと排便できないという人もいました。そうなってくると、生活にかなり支障が出ます。便秘を抱える人は、学校や会社を休みがちになるというデータもあります。精神症状の一環として便秘があることも多く、うつ病の人に便秘が多いこともわかっています」

自己流の治療によって、大きな病気を見過ごしたり、ココロに影を落とすことにもなる。その結果、生活の質が落ちてしまうということなのです。便秘がある人はない人に比べて寿命が短いというデータも(下のグラフを参照)。ですから、やはり治療・改善に向き合う必要があるのです。

慢性便秘の有無と生存率

慢性便秘の有無と生存率慢性便秘の有無と生存率

参考文献:Chang JY, et al. Am J Gastroenterol. 2010 Apr;105(4):822-32.

慢性便秘症がある人(平均年齢59歳/622人)と、ない人(平均年齢53歳/3311人)の生存率を15年間追跡調査。慢性便秘症がある人のほうが、生存率が低いことがわかります

便秘はココロに影響する便秘はココロに影響する

便秘を改善することが幸福を増やしていく。

あるかないかで、生活を大きく変える便秘。

「かつてはトイレに行ったらすぐに排便できたのが、5分、10分かかるようになったとか、それだけ時間をかけても出ないという場合もある。そうすると明らかにその人の生活は変わります。トイレにこもる時間が長いことを気にして、友人や家族との旅行に行けなくなったという人もいます。そうして苦しんだ人たちが、便秘ではなくなると本当に喜ぶ。“すっきり出る”ことは、幸福のひとつなのです。よく食べた、よく眠れたと感じたら自分は健康であると満ち足りた気持ちになりますね。食事がおいしい、ぐっすり眠れたという満足感があるから人生は充実します。すっきり排便できた! という満足感も、それと同じです。すっきり出せれば健康だと感じられて、心も晴れやかにいきいきとするはずです。快便は快食・快眠と並ぶ幸福のひとつなのです」

便秘を改善すれば、幸福が増えていく。そう前向きに考えられれば、その時点で幸福がひとつ増えている、と言えるかもしれません。

快便は快食・快眠と並ぶ幸福のひとつ。快便は快食・快眠と並ぶ幸福のひとつ。

*1 甲状腺ホルモンの分泌が不足し、新陳代謝が低下する病気

*2 神経が働くときに使われる物質・ドパミンが減少し、手足が震えたり、動作が遅くなったりする病気

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