味噌は塩分が高い!?実は血圧降下や抗がん作用に注目が
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味噌は塩分が高い!?実は血圧降下や抗がん作用に注目が
健康に役立つとは思いながらも、「塩分が高い」と控える人も多いのでは?先にもお伝えしたように、味噌には血圧を下げる力があるとわかってきたのです。
味噌汁の具材で減塩。血圧降下の働きも!
味噌が豊富に含むペプチドに、血圧を下げる効果がある。 “健康にいい”発酵食品、いい理由はそれぞれ違う。ページでそうお伝えしましたが、ホントに?……と思われるかもしれません。実は、編集部メンバーにも「塩分が高いから」と味噌を控える者もいました。いいものであるとは思いながら、塩分の摂り過ぎによる高血圧症、さらには心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を避けたいという理由から、味噌を控えていたのです。
「味噌の塩分を気にする人は多いと思います。1960年頃から始まった減塩運動で、味噌を控えるようにとの呼びかけがありました。毎食味噌汁を摂る人が多かったため、単純にその回数を減らせば簡単に減塩ができるということだったのですが、それで味噌=塩分が高いというイメージがついてしまいました。意外かもしれませんが、味噌汁の塩分は1杯、1グラム前後。醤油ラーメン(5・5グラム)などほかの食品と比較しても少ないほうだと言えます」
1日のナトリウム(食塩相当)摂取目標は、男性8グラム未満、女性が7グラム未満。味噌の塩分は多くはないものの、毎日摂るには気になるかもしれません。ただ、具材を工夫することで、塩分の排出を促すことができるのだそうです。
「じゃがいもや、ほうれん草、大根、わかめ、えのきだけやなめこ……。これらが多く含むカリウムに、ナトリウムの排出を促す働きがあります。先に挙げた食材をはじめ、味噌汁の具としてよく使う食材には、カリウムを含むものが多くあるのです」
排出を促すことで減塩できる上、“中途半端”な発酵によってできたペプチドの力で、血圧を下げる働きまであるのです。
「高血圧マウスに、味噌の抽出液を与える実験で、抽出液の濃度が高いほど血圧が下がることがわかりました(下のグラフを参照)。塩分が高いイメージのある味噌ですが、高血圧症の一番の原因ではないと言えるでしょう」
高血圧マウスに、水と無塩の味噌抽出物をそれぞれ1回与えた実験。水を与えたマウスでは血圧に大きな変化は見られませんが、味噌抽出物を与えたマウスの血圧が下がり、より多く与えたマウスが最も血圧が下がることがわかります。投与から1日を過ぎると血圧が元に戻り始めることからも、味噌には血圧を下げる効果があると言えます。
毎日の味噌汁が、がん予防にも!?
血圧降下作用に加えて、注目されているのが味噌の抗がん作用。
「国立がん研究センターが、味噌汁の摂取頻度が高くなるほど胃がんによる死亡率が低くなること、乳がんの発生率が低くなることを発表しています(乳がんについては下のグラフを参照)。発酵食品の中でも、味噌は特に日本人の長寿に長く関係してきたのかもしれません」
40~59歳の女性2万人を10年間追跡した調査で、味噌汁を摂る頻度と乳がん発生率の関連を調べた結果。1日1杯未満の人を1としたとき、それ以上摂取している人が何倍乳がんになりやすいかを示しています。1日3杯以上摂取している人は発生率が0.6倍。つまり40%減少しているということ。味噌汁を多く飲む人ほど乳がんになりにくい傾向が見られます。
味噌は麹を何で作るかによってさまざまな種類があります。
「米、麦、そして大豆そのもので作るものがあります。白味噌と言われる西京味噌は米で麹を作り、短期間の発酵で仕上げます。赤味噌と言われる豆味噌は、大豆そのもので麹を作り長く発酵させます。米で麹を作り、中~長期酵母を発酵させるものは、その過程でがんを予防すると考えられる成分が作られます。より健康に役立てたいなら、中~長期発酵させた米味噌を選ぶといいでしょう」
発酵のカタチはさまざま。奥深い発酵の世界に触れ、編集部メンバーには“身体にいい”とは何か? を考える機会になりました。発酵食品だからいいわけでも、摂らないだけが減塩でもない。そして、おいしさも健康づくりに大切。健康のための食を、今一度見つめ直してみませんか?