近視の原因だと言われている、遺伝やテレビ・スマホの見過ぎ。それは間違いではないようですが、ただ、それだけではありません。最近、近視の研究が進み、さまざまなことがわかってきたのです。近視にさせないために、そしてこれ以上進ませないために。今わかっている“近視のホント”をお伝えします。
わかり始めた、近視のホント。
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わかり始めた、近視のホント。
たかが近視ではない!近視は病気ととらえて。
昔から海外の映画や風刺画などで、メガネ着用で描かれることが多い日本人。近視が多い民族とされ、人口の約半数に当たる、6198万人(2010年時)もの人が、近視だと言われています。しかし、それほど身近にあるものだからか、近視を深刻な問題としてとらえられていないようです。
※Holden et al, Ophthalmology.2016
「メガネやコンタクトレンズで矯正できることから、さほど心配していない人が多いようですが、私は近視は目の万病のもとだと思っています」と、慶應義塾大学で、近視の研究に取り組む鳥居秀成先生。
例えば風邪も病気とはとらえられないようですが、肺炎などの合併症を起こすこともあります。
「風邪が万病のもとと言われるように、近視も目の万病のもとだと言えます。近視が進むと、網膜剥離や、日本人の失明原因の1位である緑内障のリスクが高まるなど、さまざまな目の疾患につながると考えられています」
驚くべきことに、近視は現在、世界的に増加中。しかもそれは“爆発的な”レベルで、本来、感染症の流行を表す“パンデミック”という言葉まで使われるほどです。
「特に日本をはじめとする東アジア。約50年間の増加率は、香港で約8倍、韓国・台湾で約4倍(下のグラフを参照)。世界でいったい何が起こっているのか? と思うほどの、爆発的な増加です。2050年には、実に世界人口の約半数が近視になるとの予測も発表されています」
近視の進行が、子どもだけではなくなってきたことも、かなり深刻な問題です。
「かつて近視は、小学生の頃に発症し、20歳頃で進行が落ち着くと言われていました。しかし、今は大人になっても進行が止まらないだけでなく、大人になってから近視になることもあるのです」
近視の増加は、パソコンやスマホなどデジタル機器の普及が原因? そう思われるかもしれませんが、実はそれだけではないことがわかってきました。最新の研究によって明らかになってきた“近視の本当”は、私たちが知っている“近視の常識”とは異なるものだったのです。
たかが近視と考えないで。“見える”という幸せを失わないために、まずは、何が近視の本当なのか? を見つめてください。