冬眠状態になるのは光が関係していた!
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日光を意識していますか!?
冬眠状態になるのは光が関係していた!
ふたつの大きな役割が身体に影響を与える。
冬が近づくにつれて私たちの気持ちや体調に変化が起こってくるのは、身体が冬の到来を感じることで、来たるべき厳しい季節に備えようとしているためです。言うなればこれは「季節を先読みする力」。しかし私たちの身体は、どんなことをきっかけに冬が来ることを察知しているのでしょうか。
「季節を先読みする力は、動物に本来備わっている能力です。そして、先読みするための判断基準となっているのが光、つまり日の長さなんです。日照時間は夏至が最も長く、冬至に向かって徐々に短くなっていきますね。日の長さは季節の到来よりも1〜2か月早く変化するので、動物は季節を先読みできているのです。人間にもこの能力が備わっているのですが、現代の生活では、すべての人が先読みできているわけではありません。だから冬に体調や気持ちが変化する人としない人がいるのです」と内山先生は言います。
ちなみに日の長さの変化をどこで感じ取っているのかというと、それが目。厳密に言うと目の奥の網膜で感じ取っています。目にはものを見る機能以外に、周囲の明るさを感じる“光センサー”ともいえる機能があります。これによって、日の長さの変化を季節と結びつけています。「目が感じ取っている光には、“ものを映し出す”だけでなく、光センサーを通じて“身体のリズムを調整する”役割もあります。日の長さが変化したことを目が感じ取ることで、その変化が体内時計や気持ちに影響を与えているのです」(図1参照)。
図1:光のふたつの役割
現代人には光が足りていない!?
ここで知っておきたいのは、目から入ってきた光が体内時計などに影響するには、ある程度の明るさが必要だということ。光は身の周りに一年中あり、部屋の中には照明の光もあります。それでも冬になると気持ちが晴れなかったり、動くのがおっくうになるのは、光の明るさが関係しているからなのです。
内山先生によると「体内時計が光によって昼だと感じるのは、太陽の光程度の明るさを必要とします」とのこと。明るさの単位で言うと2500ルクスよりも明るい光でないといけないそうです。
「室内を明るくしても1000ルクスもありません。一方屋外では、曇りでも8000ルクス以上、晴天なら2万ルクス以上と、明るさの差は歴然です。つまり、太陽の光は別格なのです」と内山先生。
しかし現代人は、日中の多くを室内の人工光のもとで過ごしています。さらに冬は夕方に外に出てもすでに暗く、2500ルクス以上の光を浴びる機会が絶対的に不足します。日の長さが短くなるだけではなく、室内にずっといることで身体が感じる光そのものが足りないことが、冬眠のような症状を感じてしまう原因なのです。
前ページのセルフチェックで多くチェックがついた人は、環境に適応しようとする力が強く、季節の変化が体調に影響しやすいと言えます。またこの傾向は女性に強く、これは本能的に子孫を残すために生き延びようとする力を持っているためかもしれない、とも内山先生は言います。
とはいうものの、季節を先読みすることで日常生活に支障があっては困りますね。内山先生によると、「光を意識する生活を心がければ改善できます」とのこと。そこで最後に、光を意識して冬を元気に過ごすためのキーワードを次ページでご紹介します。