パソコンにスマートフォンなど、デジタル機器の普及によって、私たちの目を取り巻く環境が大きく変化しています。そんな毎日の中で目の疲れを感じる人も多いのですが、「見えているから大丈夫」と、疲れをそのままにしていませんか?昔も今も”見る”という行為は変わらないけれど、”何を見るか”が現代では大きく変化しています。10月10日は目の愛護デー。一度立ち止まって、目の健康について考えてみませんか?
「視力がいい」は時代遅れ!?
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”いい目”に関する大きな誤解。
「視力がいい」は時代遅れ!?
視力がいい人ほど疲れやすい?
私たちは目について、昔から“視力がいい”ことを“目がいい”と表現してきました。“視力がいい”というのは、子どもの頃の視力検査で視力1.5だったとか、教室の黒板に書かれている文字が後ろの席からでもはっきり見えた、ということで判断していたのですが、実は現代社会では、遠くまではっきり見えることがいい、という考え方がどうやら間違っているようです。
「視力がいいと言われてきた人ほど、最近は目の疲れを訴えてくることが多いんですよ」とは、梶田眼科の梶田先生。“いい目”に関する誤解が、目の疲れを引き起こしていると先生は言います。
「目が見えることが私たちにはあまりにも当たり前過ぎるので意識しませんが、カメラのピントを合わせるのと同じように、目も“見る距離”に合わせてピントを自動的に合わせています。しかし目は機械ではないため、ピントを合わせる際に力を使っているのです。つまり私たちの目は、力を使わないと遠くも近くもはっきりと見ることができないんですよ」
今このページを読んでいるあなたは、文字を裸眼で見ていますか?それともメガネやコンタクトレンズなどで矯正した状態で見ていますか?どちらにしても、“視力がいい”状態で読んでいる人が多いのではないでしょうか。その状態こそ、疲れ目の原因かもしれません。
毎日の生活の中で目はがんばり過ぎている!?
ではなぜ、遠くがよく見える人に、目の疲れを訴える人が多いのでしょう?その原因を梶田先生は「目ががんばり過ぎているから」だと言います。
「遠くがよく見える、いわゆる”視力がいい”人は、現代の生活の中で、目ががんばり過ぎているのです。私たちは視力検査の結果がよくないと、遠くがはっきり見えるように視力を矯正してきました。しかし現代の私たちの生活を考えてみてください。パソコンにスマートフォンなど、遠くではなく近くを見ることが中心になってきていると思いませんか?遠くを見るために矯正された目だからこそ、近くを見るときにとてもがんばらないといけないのです」どうやら“遠くが見えることがいい”という私たちの思い込みと、デジタル機器に囲まれた現代生活とのギャップが、疲れ目を引き起こしているようです。そのギャップを埋めるためには、まず目がピントを合わせる仕組みを理解し、目が疲れる本当の理由を知る必要があると梶田先生は言います。どういうことなのでしょうか。次ページで詳しく見ていきましょう。