酸化は、知らないうちに美容と健康に多大なダメージを及ぼしている。
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酸化は、知らないうちに美容と健康に多大なダメージを及ぼしている。
いい材料がなければいい身体は作れない。
「大工がいい仕事をするには何が必要でしょうか? 確かな技術も必要ですが、釘などの材料がきちんとそろっていることも大事ですよね。ボロボロに傷んだ材料でいい家は作れません。人間もいい材料がないと、いい身体を作れないんですよ」と吉川先生。人間の身体をきちんと働かせるタンパク質や脂質などが、吉川先生の例える大工にとっての“材料”に当たります。「しかし、身体の中でフリーラジカルが発生すると、タンパク質や脂質などの構造を壊してボロボロにしてしまいます。本来は、身体をきちんと働かせようとするものでも、ボロボロに傷んでしまっては、まるで腐敗した釘のように役に立ちません。そんな状況が健康と美容に好ましくない結果を生むんです」。
例えば、皮膚や骨、筋肉などに多く存在するタンパク質の一種・コラーゲン。肌のハリや弾力に大きく関わり、若さを保つために、とても大切なものです。「紫外線を浴びると、フリーラジカルが生み出されます。コラーゲンが酸化を受け、構造が破壊されることによって、シワやたるみを引き起こしてしまいます」。
また、心筋梗塞や脳梗塞の直接の要因である動脈硬化も、フリーラジカルによって引き起こされます。よく動脈硬化の原因はLDLコレステロールだと言われますが、LDLコレステロールがフリーラジカルによって酸化され、超悪玉と言われる酸化LDLコレステロールとなり、血管の中でプラークを形成します。これが動脈硬化の始まりです。さらに細胞がガン化するのも、フリーラジカルがDNA を傷付けるのが原因だと言われています。細胞の中にあるDNA が酸化し、突然変異を起こしたり、傷付けられたりして、その修復ができなくなると細胞がガン化。その犯人がフリーラジカルだと考えられています。また、ストレスもエイジングを進める原因になっています。
酸化から身体を守って体内外から健康美人に!
「酸化を防ぐためには、フリーラジカルを発生させる原因をシャットアウトすることと、自らの抗酸化力を高めることが必要です」と吉川先生。“フリーラジカルを発生させる原因”の代表的なものは、下に紹介している4つ。ストレスを溜めない、紫外線を防ぐなどのほか、適度な運動を取り入れたり、生活習慣の改善を心がけて、フリーラジカルの発生を防ぎましょう。
「そして、抗酸化力を高める方法ですが、そもそも人間には、フリーラジカルの攻撃から身を守るために抗酸化力が備わっているんです。10~20代はその抗酸化力が高いので、フリーラジカルが細胞にダメージを及ぼすのを防いでくれますが、年齢とともにそれは低下してしまいます。ですから年を重ねるにともなって、抗酸化力を高めることが大切なのです」。そのためには、高い抗酸化力を持つ物質を摂取することが効果的。フリーラジカルを消去する働きがあるビタミンCや、自らが酸化することでほかの酸化を防ぐポリフェノールをはじめ、役立つ物質は私たちの身の回りに数多くあります。いつまでも、みずみずしい肌で元気に過ごすためには、「抗酸化」が大事。酸化しないことが、アンチエイジングにつながるのです。
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過度なストレスが老化を進める原因に。
不安や著しい緊張状態、イライラなど、人の身体はストレスを感じた時に交感神経が活性化され、血管が収縮して血行障害となり、各細胞に酸素が行きわたらなくなります。この状態が繰り返されるとフリーラジカルが大量に発生してしまい、細胞がダメージを受けてしまいます。
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コラーゲンやエラスチンを壊す。
通勤時、洗濯物を干す時など、紫外線が皮膚に当たるだけで、体内にフリーラジカルを生み出してしまいます。そして皮膚のハリを保つコラーゲンや、エラスチンを破壊。美肌の大敵である、シワ、たるみの原因になってしまいます。
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タバコの煙に含まれる物質はフリーラジカルそのもの。
タバコにはフリーラジカルを生み出したり、抗酸化物質を破壊して抗酸化力を低下させてしまう物質が多く含まれています。また過度の飲酒でもフリーラジカルが発生します。大量のアルコール分を肝臓が分解しきれずに、大量に残った中間産物がフリーラジカルを発生させます。
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排気ガスが体内に入るとフリーラジカルが大量に発生!?
自動車の排気ガス(特にトラックなど大型ディーゼルエンジンから排出される化学物質・ディーゼル小粒子)が、身体の中に入ってしまうと危険! 排気ガスにはフリーラジカルそのものが含まれていたり、体内に入ってフリーラジカルを生み出し、抗酸化力を低下させてしまいます。