Vol.14
思わず笑顔になる!
日本の旅をご紹介します。
紡がれる伝統。進化する伝統。
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紡がれる伝統。進化する伝統。
美しい伝統技術が、大切に守り継がれる街。
「この春、北陸新幹線が開業する」。そのニュースを耳にして、北陸の中心都市・金沢を訪ねたくなりました。これまで関東方面からは少し遠く感じられた金沢。北陸新幹線は、東京〜金沢間を最速2時間28分で結びます。
江戸時代には、加賀藩前田家のお膝元として、江戸・大坂・京都に次いで栄えた街。戦災などに遭うことなく、城下町の風情を残すこの街には、その昔から大切にされている日本特有の美しさが、今もなお守られています。
友禅や、箔(はく)、九谷焼(くたにやき)に漆器……。金沢には多彩な伝統文化が息づいています。それは、歴代の加賀藩主が工芸などの文化事業を積極的に勧めたからなのだそう。大切に受け継がれるさまざまな伝統工芸を体験できる施設が多くあるのも、この街の魅力。老舗呉服店が経営する『久連波(くれは)』は加賀友禅の試着体験ができるお店。加賀友禅が豊富にそろい、どれを着ようか選ぶだけでも心が躍ります。
「柄には写実的な草花模様が多いんです。加賀五彩と呼ばれる五つの色を基調として描かれているんですよ」。お店の人からそんなお話をうかがいながら着物を見ると、花弁の色がぼかしてあったり、葉に小さな虫喰いが表現されていたり。絵画のような美しさに驚かされます。鏡の中の加賀友禅をまとう自分は、まるで知らない人のよう。凛とした気持ちが、いつもと違う自分にしてくれたのでしょう。
伝統的な加賀友禅を現代アートで楽しむ。
ユニークな形で加賀友禅を体験できるのが『金沢21 世紀美術館』。台湾のアーティスト、マイケル・リンが、加賀友禅の手法や図案から着想を得て完成させた『市民ギャラリー2004.10.09 -2005.03.21』を見ることができます。壁いっぱいにあふれる、鮮やかな色! 現代のアーティストの目を通して表現された加賀友禅から、自由な発想と刺激がもらえるようです。
『ほかにも、水引細工や加賀手鞠など、街を歩いているだけでたくさんの伝統工芸品に出合えます。それぞれの職人や作家の技に、金沢の人々の美意識の高さが感じられました。
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風情ある茶屋街で加賀友禅をまとう楽しみ。久連波(くれは)
老舗高級呉服店『ゑり虎』の姉妹店。加賀友禅の着物や和小物を販売するほか、和甘味を味わえる茶房も併設しています。加賀友禅の試着体験ができ、美しい着物でひがし茶屋街を散策することもできます。
●石川県金沢市東山1-24-3 ☎076-253-9080 営業時間/ 0:00〜17:30 水曜(祝日の場合は営業)。加賀友禅の試着体験は1 時間¥5,000〜
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あふれる鮮やかな色!加賀友禅をアートで体感。金沢21世紀美術館『市民ギャラリー 2004.10.09−2005.03.21』
マイケル・リン 2004 年制作『金沢21世紀美術館』の交流ゾーンにある作品。同じ模様が描かれたロッキングチェアに座って眺めるなど、自由なスタイルで楽しめます。手がけたのは台湾出身のマイケル・リン。
●石川県金沢市広坂1-2-1 ☎076-220-2800 無料の交流ゾーン(9:00〜22:00)、有料の展覧会ゾーン(10:00〜18:00、金・土曜は〜20:00)がある。月曜休(休日の場合は翌平日休)
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金箔職人の技術に感銘。金箔職人の技術に感銘。
日本の金箔の99%が金沢で作られているもの。職人の技でわずか1 万分の1〜2mmの薄さにまで金を延ばしていきます。ここではその金箔を使って、箸や盆などに箔を貼る体験ができます。
●石川県金沢市東山1-13-18 箔座ひかり藏内 ☎076-252-3641 体験は10:00〜、11:00〜、13:30〜、14:30〜、15:30〜、16:30〜。要予約。日・月曜、祝日休。体験メニューは、ハガキ¥540、四季皿¥1,404、箸&箸置き¥1,512 ほか
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工芸品をアレンジした雑貨も豊富
観光名所のひとつ、ひがし茶屋街には、伝統工芸の技術を
活かして作られた和雑貨を扱うお店が
いっぱい。お土産にぴったりな、カワイイ
雑貨がそろいます。水引や加賀手毬をアレンジした雑貨。
『縁煌』☎076-225-8241