Vol.3
食材の力で、毎日をもっと健康に。
管理栄養士がお悩みに答えます。
水分補給だけじゃダメ?熱中症を予防したい!
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水分補給だけじゃダメ?熱中症を予防したい!
「本格的な夏を前に、熱中症が心配です。去年はお水をたくさん飲むようにしていたのに、熱中症になってしまったんです。お水を飲むだけではダメなんでしょうか?」(群馬県・ヨウコさん39歳・自営業)
汗で水分と一緒にミネラルが失われてしまっています。
お水とともに、ミネラル補給が大事!
不足しているのは水分とナトリウム。
ここ数年、夜も気温が下がらず熱帯夜になり、昼は各地で40℃を超えるなど過酷な夏が続いています。屋外だけでなく屋内にいても熱中症になる人が増えていますので、やはり対策することが大切です。ヨウコさんはお水を飲んでいても熱中症になってしまったとのこと。まずは、なぜ熱中症になるのかをお話ししましょう。
ヒトは体温を一定に保つため、暑くなると汗をかくことで体温を下げようとします。打ち水をすると涼しくなるのと同じで、汗が蒸発するときに体温を下げています。
ところが、気温や湿度が高く、汗が蒸発しにくい環境だと体温が下がらず、心臓や脳を守るために血管が収縮。体温のコントロールができなくなって汗が流れ続けます。汗の中には私たちの身体にとって重要なナトリウムが含まれています。熱中症のきっかけは、汗で水分とともにナトリウムが体外に出ていってしまうことにあります。
お水だけでは対策できない理由はこのナトリウムの流出。ナトリウムが失われると、体内の水分を調整する浸透圧が維持できなくなります。浸透圧とは、薄いほうが濃いほうに行く、体液の濃度を保つための圧力。浸透圧が維持できなくなると細胞の脱水を進めてしまうこともあるのです。
神経系を維持したり、心臓や筋肉の機能を保つのもナトリウムの役割。汗でナトリウムが不足するとけいれんやめまい、頭痛、失神などを招くおそれもあるので注意してくださいね。
ナトリウムの補給が熱中症対策のカギ。
熱中症対策に欠かせないナトリウムは、塩に多く含まれています。最近は飴やタブレットで塩分を摂る人も増えてきましたね。健康のために「減塩」と言われているのに、それでも摂る必要があるほど夏はナトリウムを喪失しやすいのです。
カリウムも汗によって失われやすいので積極的に補給しましょう。夏野菜に多く含まれ、中でも夏に旬のウリ科に豊富です。
もちろん水分も大切。お水だけではなく、ナトリウムと糖分を含んだミネラルドリンクを作りましょう。塩3g、砂糖40gをぬるめのお湯1リットルに溶かし、お好みの柑橘類を搾ればできあがり。精製されていない岩塩などの自然塩や、きび糖など色の濃い砂糖を使えば、さまざまなミネラルの補給にもなります。
睡眠中は知らず知らずのうちに汗をかいていますから、朝も補給を忘れずに。1リットルを1日分として、喉が渇く前にこまめに補給してください。今年も熱くなりそうですから、ミネラルドリンクを活用して楽しい夏を過ごしてくださいね。
- 柑橘類
- クエン酸で疲労回復。 熱中症を寄せ付けない!体調不良や疲労でも熱中症になりやすくなるので、柑橘類に含まれるクエン酸を摂って疲労回復を!
- 塩
- 体液の濃度を調節するナトリウムは自然塩が◎ナトリウムは浸透圧を維持する重要なミネラル。ナトリウム以外のミネラルも豊富な自然塩で補給しましょう!
- 夏野菜
- 旬の夏野菜からカリウム+マグネシウムを補給!ウリ科の夏野菜は、カリウムに加えマグネシウムなどのミネラルも豊富。身体を冷やしてくれるので暑さ対策にも◎。